令和8(2026)年3月8日(日)、人工知能(AI)と物理学の融合をテーマとした国際シンポジウム「知の協奏: AI×物理」を開催しました。本シンポジウムは、東京大学と理化学研究所が共催し、ダイキン工業株式会社の後援、ERATO沙川情報エネルギー変換プロジェクトの研究協力、東京大学 知の物理学研究センターおよび未来ビジョン研究センター「空気の価値化ビジョン」社会連携研究部門の協力のもと実施されました。会場には約600名の参加者が集いました。

東京大学の藤井輝夫総長による開会挨拶に続き、総合司会を務めた本学工学系研究科物理工学専攻出身のヨビノリたくみ氏から、本シンポジウムの趣旨説明が行われました。

 

基調講演では、AIと物理を牽引する国内外7名のトップランナーが登壇しました。甘利俊一氏(帝京大学 特任教授)による「AIの歴史と現状: 来るべき文明社会」を皮切りに、岡野原大輔氏(株式会社Preferred Networks 代表取締役社長)が「物理のためのAI、AIのための物理」を、画像生成AI(拡散モデル)発明者であるJascha Sohl-Dickstein氏(Anthropic テクニカルスタッフ)が「Diffusion models and other surprising progress」を講演しました。さらに、宇都宮聖子氏(OpenAI, Japan ソリューションエンジニア)による「知が社会になるとき―不確実性の科学と生成AI」、松尾豊氏(東京大学 教授)による「進化する人工知能とAIスタートアップ」、VAE発明者であるMax Welling氏(アムステルダム大学 教授)による「The Confluence of Generative AI and Physics」、そして大栗博司氏(カリフォルニア工科大学 教授)による「AIは自然界の基本法則を発見できるか」と、最先端の知見が次々と提示されました。

続くパネルディスカッションでは、現在のLLMのパラダイムに限界がありうるか、またAIと物理学の関係のさらなる探求について多様な意見が活発に交わされました。

最後に、理化学研究所 五神真理事長が閉会挨拶を行い、本シンポジウムで交わされた議論を総括しました。AIにより知識生産の仕組みが歴史的転換を迎えた現在、社会を支えるのは科学の信頼性と透明性であるとし、AIで何ができるかではなく何を実現したいのかという強い意志と情熱の必要性を強調しました。また、この場で体現された対話の精神が未来を切り拓く大きな力となると述べ、本シンポジウムは盛会のうちに終了しました。