カタール航空が、緊迫する中東情勢を理由に、スペインのテルエル空港へフェリーを開始していることがわかっていますが、現在までに約20機以上の航空機が同空港に到着したとみられています。

 今回のテルエル空港に航空機を避難させている背景には、物理的な安全確保に加えて、航空保険の維持という切実な経営課題があるとみられます。紛争リスクが高まると、保険会社は戦争保険の条項に基づき、特定地域での補償を打ち切る、あるいは保険料を大幅に引き上げる通知を行います。

 航空会社には損害を最小限に抑える義務があるため、機体を安全なテルエル空港へ移動させることは、高額な保険料を抑え、万が一の際の補償を確実にするための法的な必要措置でもあります。また、カタール航空の機材の約40%から50%はリース機と推定されますが、リース契約には有効な保険の維持と安全な保管が厳格に定められており、これに抵触してデフォルトとなる事態を避ける狙いも強いと考えられます。

 今回の避難先であるテルエル空港は、乾燥した気候で機体の腐食を防ぐ長期保管に最適な施設として知られています。カタール航空は今回の措置を一時的なものとしていますが、これほど大規模かつ組織的な移動は、紛争の長期化や中東空域の閉鎖が数ヶ月単位で続く可能性を視野に入れた、実質的な長期保管への移行準備であると航空業界では分析されています。

 対照的に、同じ中東のメガキャリアであるエミレーツ航空は、あくまで以前と同様の運航規模での早期再開を目指す姿勢を崩していません。ドバイを拠点とする同社は、情勢を見極めつつネットワークの回復を優先しており、資産を物理的に遠ざけてリスクを最小化するカタール航空とは対照的な経営判断を下しています。かつてパンデミック時に世界中の機体が集まったテルエル空港に、再びカタール航空機が並ぶ光景は、現在の中東情勢がいかに異例の事態であるかを象徴しています。Photo : Qatar Airways

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