JBpress ナナメから聞く
【JBpressナナメから聞く】一橋大学国際・公共政策大学院教授・前駐イラク特命全権大使、松本太氏に聞く(前編)
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イスラエルと米国によるイラン攻撃が世界を揺るがしています。ホルムズ海峡が事実上封鎖され、原油価格は3月9日に一時1バレル=120ドル近くまで急騰。その後は、トランプ米大統領の発言をきっかけに80ドル台に急落するなど、マーケットは荒れ模様です。今回の「戦争」に出口はあるのか。そして、中国やロシアはどう動くのか。
JBpressのYouTube番組「ナナメから聞く」。今回のゲストは、駐イラク特命全権大使を務め、現在は一橋大学国際・公共政策大学院教授の松本太氏です。中東外交の最前線を知る松本氏に、JBpress編集長の細田孝宏が話を聞きました。
(後編:ホルムズ封鎖、本当に怖いのは石油「生産停止」…「選ばれし者」モジュタバ師の徹底抗戦でイラン戦争は長期化の恐れ)
※詳しい内容は、JBpress公式YouTubeでご覧ください。(取材日:2026年3月10日)
イランvsイスラエル、これは「戦争」なのか?
——そもそも今回のイスラエル・米国とイランの衝突は「戦争」と言っていいのでしょうか。
松本太(一橋大学国際・公共政策大学院教授・前駐イラク特命全権大使、以下敬称略):正式な戦争宣言があったわけではなく、「攻撃を開始した」という表現にとどまっています。しかし、第二次世界大戦以降、戦争を宣言した国はほとんどなく、多くの紛争がグレーゾーンで起きています。今回の攻撃もその延長線上にあると考えるのが妥当でしょう。
——後に、「中東戦争」と呼ばれる可能性はありますか。
松本:これまでの中東戦争(イスラエル対アラブ諸国)とはやや性格が違う部分もあります。1979年のイラン革命でイスラム共和国が成立して以来、イランはイスラエルの殲滅(せんめつ)を公言してきました。イスラエルにとってイランは、国家の存続を脅かす存在です。英語で言う 「Existential threat」、つまり存亡をかけた脅威です。
イスラエルのネタニヤフ首相(提供:Israeli Government Press Office/AP/アフロ)
極論すれば、両国は1979年以降ずっと「戦争状態」にあるとも言えます。今回、イスラエルにとっては、イランのイスラム共和国体制を打倒できる最後のチャンスが来たという認識でしょうか。つまり、イランの人々が政府に対する抗議デモで叫んだ「最後のバトル」という言葉を借りれば、イスラエル、イランの双方にとっても、「最後のバトル」という意識が強いのです。
