
「フェラガモ」2026-27年秋冬コレクション
マキシミリアン・デイヴィス(Maximilian Davis)が2022年に「フェラガモ(FERRAGAMO)」のクリエイティブ・ディレクターに就任して以降の大きな功績の一つは、新たなアイコンバッグ“ハグ(HUG)“を生み出したことだ。次に注目したいのは、ウエアで「フェラガモ」の現代的コードをどこまで確立できるかだろう。
新たな生活を求め海を超えた人々に想いを馳せる
「フェラガモ」(当時の「サルヴァトーレ・フェラガモ」)が誕生した1920年代への探究は今季も続いた。禁酒法時代の米国で密かに営業した違法酒場スピークイージーに集った、自由を求める人々の装いは、デイヴィスを魅了し続けている。今季はなかでも、船乗りたちの装いに着目。
デイヴィスは、新たな暮らしを求めて海を越える船乗りの姿に、創業者と自身の経験を重ねたのだという。「サルヴァトーレはイタリアを離れてアメリカへ渡り、その後帰国した。私の家族もトリニダードとジャマイカからマンチェスターへ移住した。彼らは皆、新しい始まりを求めて海を越えたのだ」と、リリースに綴る。
「フェラガモ」2026-27年秋冬コレクション
「フェラガモ」2026-27年秋冬コレクション
「フェラガモ」2026-27年秋冬コレクション
「フェラガモ」2026-27年秋冬コレクション
「フェラガモ」2026-27年秋冬コレクション
「フェラガモ」2026-27年秋冬コレクション
ファーストルックのネイビーのピーコートは、肩幅を大胆に張り出し、彫刻的なオーバーサイズにアレンジした。フロントにはサイズの異なる白のパネルを差し込み極端に強調する。ピーコートを出発点にしながら、海軍のコードは徐々に「ボタンの配列」へと集約されていく。彫刻的なアウター群で印象付けた2列のボタンは、ニットの肩へ移り、スカートには斜めに走る。秩序の象徴的ディテールを、留め方次第で着る人がシルエットを変形できる「自由」の仕掛けとして再配置した。
伝統的なコードを、自身の感覚でモードへと組み替えるーーそれがデイヴィスの持ち味だ。創業から約1世紀を迎えようとするメゾンが、彼に託した役割があらためて腑に落ちる。
「フェラガモ」2026-27年秋冬コレクション
「フェラガモ」2026-27年秋冬コレクション
迫力あるアウターとは対照的に、海軍シャツを連想させるレースアップのトップスは、とろみのあるオフホワイトのサテンで表現し、ミリタリーの文脈に、ラグジュアリーなナイトウエアのような色気を忍ばせる。セーラーのディテールを残したサテンのドレスには、アーカイブに着想したヴァンプの深いピンヒールを合わせ、イブニングスタイルを完成させた。
“ハグ“に次ぐ新作バッグも登場
「フェラガモ」2026-27年秋冬コレクション
「フェラガモ」2026-27年秋冬コレクション
「フェラガモ」2026-27年秋冬コレクション
ナッパレザーで仕立てたキルティングジャケットやキルティングベストは、スプレー加工でくすませたようなグラデーションを重ね、スピークイージーに集う労働者の日常を想起させる。サンドベージュのユーティリティドレスは、海軍制服を連想させるフラップポケットやスタンドカラーを備えた端正な一着だが、モデルが小脇に抱えた艶のあるボルドーの“ハグ“バッグが、硬派なムードに色気を差し込む。“ハグ“はカーキやボルドーなどの新色に加え、横長のイーストウエスト型も登場。さらに“ハグ“に次ぐ新作として、細身ストラップの横長バッグ“ケア(CARE)“も提案した。
「フェラガモ」2026-27年秋冬コレクション
「フェラガモ」2026-27年秋冬コレクション
「フェラガモ」2026-27年秋冬コレクション
フィナーレを盛り上げたのは、シアーシフォンに細かなプリーツを走らせたコクーン型のドレス。彫刻的なアウターとは異なるアプローチで、立体的な迫力を見せた。
イタリアブランドの官能表現はレースやスリップドレスに偏りがちな中で、デイヴィスの表現するイタリアの色気は異質だ。その唯一無二の存在感は、「フェラガモ」の新たなデザインコードになり得る片鱗を見せる。その確立を期待したい。
