
「経済・市場に見る100年の軌跡」シリーズの第5回では、日本の政策金利と長期金利の100年の推移について振り返り、人口動態は潜在成長率に影響を与えることを確認しました。第6回では、日本と米国の人口動態100年について振り返ります。
日本の人口推移
日本の総人口は、医療や衛生、食糧生産の改善に加え、第二次産業の発展に伴う製造業の拡大と都市への労働集中とともに変化してきました。
明治期
1868年の明治維新を契機に日本では近代化が一気に進み、衛生環境の改善などによって平均寿命も向上したことで、江戸時代後期から明治初期にかけて人口は徐々に増加しました。
大正から昭和初期
1910年代~1930年代には、製造業を中心としたモノづくりが急速に進みました。大量生産に必要な労働力や資材、輸送インフラを確保するため工場や関連企業が都市やその周辺に集中し、都市部に多くの雇用を生み出しました。これに伴い人口は地方から都市へと移動し、都市化が進展して都市経済が拡大しました。戦時期は人口の増加率が鈍化した年もありましたが、戦後になると情勢は一変します。
戦後
1947年から1949年のベビーブームで出生数が急増したことに加え、1950年代から1970年代の高度経済成長期には工業生産が飛躍的に拡大しました。雇用が安定したことで住宅やインフラの整備が進み、都市部への定着がさらに進みました。衛生・医療が改善して死亡率が低下したことも作用し、総人口は増え続け、1967年には1億人を超えました。

注:日本の人口推移は、大都市圏が東京、神奈川、千葉、埼玉、大阪、京都、兵庫、愛知を示しており、その他はそれ以外を示している。1945年~1971年は沖縄県を含まない。出所:総務省「国勢調査」「人口推計」より、野村證券投資情報部作成
2008年以降から現在
2008年に総人口は頂点に達し、その後減少し始めました。その背景には、1970年代から進んだ出生率の低下が長期的に積み重なったことが挙げられます。これに加えて、高齢化の進行で死亡数が増え、平均寿命の延びだけでは総人口の下支えが難しくなりました。また、都市と地方で進む人口の偏りなどの複合的な要因で、2008年以降は人口の減少が続いています。
米国の人口推移
米国の人口推移を見ると、1946年から1964年にかけて、戦後のベビーブームによる人口増加は日本と共通しますが、その後の変化は異なります。米国では1965年の移民法改正を機に移民流入が本格化し、1970年代以降ラテンアメリカやアジアからの流入が急増して多様化が進みました。移民の流入は、現代社会の分断を招く側面もありえますが、投資においては重要な観点になっています。

注:米国の人口推移は、1939年以前はアメリカ合衆国の居住人口を表しており、海外駐留軍人およびアラスカ州とハワイ州に居住する人口は含まれていない。1940年から1979年はアメリカ合衆国の居住人口と海外駐留軍人を表している。1940年から1949年はアラスカ州とハワイ州に居住する人口は含まれておらず、1950年から1979年には含まれている。1980年以降は米国の常住人口の年次推計。1990年以降はヒスパニックを分別表示している。出所:アメリカ合衆国国勢調査局「人口部門」より、野村證券投資情報部作成
今後の人口推移の見通しと経済成長
国連の人口推計によれば、米国の人口は2050年に約3.8億人となり、世界人口が2080年代の約103億人をピークに減少する中、米国は2100年まで増加傾向が続くと予想されています。人口の増加は、米国の経済成長にとって有利な状況にあると言えるでしょう。
一方の日本では、人口が減少していく中、技術革新や生産性の向上がみられています。不利な状況を克服し、経済成長が持続できるかどうか注目されます。
経済・市場に見る100年の軌跡シリーズ
編集協力:野村證券株式会社 投資情報部 松田 知紗
編集/文責:野村ホールディングス株式会社 ファイナンシャル・ウェルビーイング部
記事公開日:2026年2月20日
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