ミッチェル宇宙航空研究所の報告書によると、アメリカ軍は少なくとも185機のF-47戦闘機と100機のB-21爆撃機を導入する計画であるという。Courtesy of the US Air Force専門家によると、アメリカ空軍には、導入を計画している数からさらに数百機のF-47戦闘機とB-21爆撃機が必要だという。ミッチェル宇宙航空研究所の報告書は、中国との紛争が生じた際にアメリカ空軍が直面するであろう問題を検証している。アメリカ軍に十分な予備機がなければ、機体の損失を恐れて、積極的な攻撃を仕掛けられない「消極的な戦い」を強いられる恐れがあるという。
アメリカ空軍が中国との戦争を戦い抜くためには、今よりもはるかに多くの次世代戦闘機や爆撃機が必要である。元パイロットや航空戦力の専門家たちは最新の報告書の中でそのように論じている。
専門家たちは、アメリカ空軍は新型機と今後導入予定のB-21レイダー(B-21 Raider)爆撃機とF-47戦闘機(F-47 fighter jets)を計画よりも多く調達する必要があると述べている。2026年2月初旬に発表されたミッチェル宇宙航空研究所(Mitchell Institute for Aerospace Studies)の政策論文の中で、彼らは「配備数が不十分であれば、空軍は積極的な作戦が実施できなくなる。その結果、中国との戦いで、相手にとって有利な隙を与えてしまう可能性がある」と警告している。

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報告書によると、「中国の接近阻止・領域拒否(Anti-Access/Area Denial:A2/AD)ネットワークは、その『地形の利』と最新の防衛システムによって敵が手出しできない聖域を生み出している」という。そこでの中国の防空システムやミサイルでの攻撃は、アメリカ軍にとって大きな脅威となる可能性があるため、これらの脅威を排除することが、アメリカの作戦において極めて重要だという。
「アメリカ空軍が持っているステルス爆撃機や戦闘機は、敵の激しい攻撃の中でも撃墜されることなく作戦を遂行できる高い能力がある。しかし、中国との紛争において十分な出撃回数を確保するための機体数が不足している」と、報告書の執筆者であるヘザー・ペニー(Heather Penney)と、退役空軍大佐のマーク・ガンジンガー(Mark Gunzinger)は記している。
空軍が進めている「投資のための売却」戦略、つまり新型機を導入する予算を確保するために旧型機を退役させるという手法は、結果として保有数を減少させ、即応能力に悪影響を及ぼしている。US Air Force photo by Airman 1st Class Heather Amador Paulino
報告書の執筆者たちは、少なくとも200機のB-21と300機のF-47をアメリカ空軍が配備することを提案している。これは、軍が現在計画している数の約2倍に相当する規模だ。同空軍はこれまで、ボーイング(Boeing)が開発するF-47を少なくとも185機、ノースロップ・グラマン(Northrop Grumman)が製造するB-21を少なくとも100機購入するとしてきた。なお、ミッチェル宇宙航空研究所は、ボーイングとロッキード・マーティン(Lockheed Martin)をこの計画の支持者として挙げている。
報告書の執筆者たちはさらに、ロッキード・マーティンの第5世代統合打撃戦闘機(Joint Strike Fighter:JSF)であるF-35ライトニングII(F-35 Lightning II)や、ボーイングの最新鋭機であるF-15EXイーグルII(F-15EX Eagle II)の調達数を増やすことも推奨している。
報告書について議論する2026年2月13日のオンラインイベントにおいて、元F-16パイロットであるヘザー・ペニーは、過去の朝鮮戦争やベトナム戦争、そして現在進行中のロシアによるウクライナ侵攻といった紛争は、「敵の基地や聖域を排除できなければ、消耗戦に陥ってしまう」ということを示していると述べた。消耗戦とは戦場での動きがほとんどないまま、人員や資源がじわじわと失われていく状態を指す。
中国との紛争において、アメリカは2025年の対イラン作戦である「ミッドナイト・ハンマー(Midnight Hammer)」や、2026年の対ベネズエの「絶対的な決意作戦(Operation Absolute Resolve)」で直面したよりも、はるかに高度な防空網に遭遇することになる。ヘザー・ペニーは、「機体の予備が十分になければ、限られた保有数への不必要なリスクを避けるために、中国の聖域を標的とする空軍の戦術は消極的にならざるを得ないだろう」と述べている。
報告書によると、旧型機の稼働を維持することは、艦隊の即応体制を整える上で極めて重要だという。US Air Force photo by Todd Schannuth
報告書によると、最新鋭のステルス爆撃機のB-21は、低率初期生産(Low-rate initial production:LRIP)の段階にあり、アメリカの大手防衛企業であるノースロップ・グラマンから空軍に引き渡されたのは試験機のみで運用機ではない。一方でF-47戦闘機の設計・開発の契約は2025年に締結されたばかりである。
いずれの航空機も、今後数年間は十分な数が揃うことはなく、運用可能な状態になるとは見込めない。そのため、当面の間、空軍は旧型ではあるものの、依然として高い能力を有するB-52 ストラトフォートレス(B-52 Stratofortress)、B-1 ランサー(B-1 Lancer)、B-2 スピリット(B-2 Spirit)といった爆撃機に依存することになる。
ミッチェル研究所によると、年間少なくとも400億ドル(約6兆円)の予算増額があれば、調達率の引き上げに加え、無人の共同戦闘機(Collaborative Combat Aircraft :CCA)、通称「ロイヤル・ウィングマン(Loyal Wingmen)」の導入も可能になるという。空軍当局は、これらドローンの役割について、有人機に取って代わるものではなく、それを補完するものになると述べている。
複数の評価報告書によると、現在のアメリカ空軍の航空機数は過去数十年で最小かつ最も老朽化が進んでおり、実戦への準備状況も最低水準にあるという。数値で見ると、現在の戦闘機、爆撃機、および情報・監視・偵察(Intelligence, surveillance, and reconnaissance:ISR)機の保有数は、冷戦期(20世紀後半の米ソ対立期)の規模には遠く及ばない。
同時に、専門家らはアメリカ空軍が絶え間ない紛争や任務によって、負担が増大していることを指摘している。2024年のアメリカ政府監査院( U.S. Government Accountability Office:GAO)の報告書によると、休みなく次々と部隊を海外などの任務地へ送り出し続けることで空軍の即応性、人員、装備、そして航空機の質を低下させてきたという。アメリカ政府の監視機関であるGAOは、空軍はこれらの問題の解決に取り組んでいるものの、部隊に対する需要は、依然として供給能力を上回っているとの見解を示している。

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