静岡県のアートやカルチャーに関するコラム。今回は2025年11月17日初版発行(奥付記載)の、田川とまたさん作「CHANGE THE WORLD」第3巻(小学館)を題材に。同社のコミックサイト「マンガワン」で配信された作品を単行本化。
(文/論説委員・橋爪充 写真/写真部・二神亨)

1 月18日に静岡芸術劇場で上演された静岡県舞台芸術センター(SPAC)の「ガリレオ~ENDLESS TURN」を見に行ったらアフタートークがあり、3人が登壇した。「SPAC秋のシーズン2025-2026」のアーティスティック・ディレクターを務める劇作家の石神夏希さん、台本・演出の多田淳之介さん。それからもうお一人、小学館マンガワン編集部の編集者である千代田修平。正直なところ、千代田さんのことは存じ上げなかったが、こちらも鑑賞し終えたばかりの「ガリレオ」に対して、実に歯切れよくコメントしていて、「何者なんだ、この人は」と驚き、軽く嫉妬した。
そんな千代田さんのプロフィル紹介で、高校演劇をテーマにした漫画「CHANGE THE WORLD」を知った。高校演劇への興味半分、千代田さんへの興味半分で2025年春以降に出ている1~3巻を一気読みした。
打ちのめされた。演劇を題材にした作品をいくつか読んだことがあるが、これほどまでに「演劇」の本質を「逃げずに」語ろうしたものがあっただろうか。エンターテインメントとして成立させる必要上、演劇を構成するさまざまな役割においてスーパーな高校生たちが出てくるが、全然うそくさくない。
北海道の高校でイチから演劇部を立ち上げる生徒たちの話。脚本家志望の男子、俳優として類いまれな才能を持つ女子、周囲からは「リア充」に見られがちだが自分の「中身のなさ」を自覚する男子。それぞれに漫画的なドラマを背負ってはいるが、「演劇人」として自立する物語に心地よく回収されていく。
「演劇」「高校演劇」が単なる舞台装置になっていないから、こんなことができるのだと思う。登場人物はどこまでも本気(マジ)だが、作り手側も「演劇」「高校演劇」ならではのマジックがどういうメカニズムで発生するのか、本気(マジ)で追求している。
「演劇で世界を変えたい」という主人公の宣言も、大言壮語に聞こえない。今年の春に発刊される第4巻では本当に世界が変わっているかもしれない。
第3巻にはSPACの初代芸術総監督だった演出家の鈴木忠志さん(劇団SCOT主宰、静岡市清水区出身)のトレーニング法や、劇作家で演出家の宮沢章夫さん(掛川市出身、2022年死去)のワークショップの話も出てくる。