トップニュース「台湾半導体の4割を米国へ」トランプ政権の要求に専門家が異論 「実現は不可能」供給網の現状浮き彫りにドナルド・トランプ米大統領とハワード・ラトニック商務長官が、ビザの早期入国審査プログラム「トランプ・ゴールドカード」を紹介する様子。(写真/AP通信提供)

ドナルド・トランプ米大統領とハワード・ラトニック商務長官が、ビザの早期入国審査プログラム「トランプ・ゴールドカード」を紹介する様子。(写真/AP通信提供)

米台通商協議がついに妥結へと至った。台湾は「15%非累積」という関税の最適解に加え、一部商品における関税の相互減免や通商拡大法232条に基づく関税の優遇措置を勝ち取った。一方で、その対価として2500億ドルの直接投資と2500億ドルの政府債務保証という重い負担を負うことになった。特にハワード・ルトニック米商務長官が、ドナルド・トランプ大統領の任期中に台湾の半導体生産能力の4割を米国に移転させると宣言したことは、台湾国内で大きな議論を呼んでいる。しかし、著名な半導体アナリストであるボブ・オドネル(Bob O’Donnell)氏は、現実的な観点からこの目標は「不可能な任務(ミッション・インポッシブル)」であると述べている。

米台間の関税合意が発表された後、ハワード・ルトニック米商務長官は米経済メディア「CNBC」の専訪において、トランプ政権の目標は台湾の半導体生産能力の40%を米国に移転させることにあると指摘した。交渉のため訪米した行政院副院長・鄭麗君氏は、台湾側の理解として「ルトニック氏の発言は、チップ自給率向上という米国の国家安全保障上の目標であり、台湾はパートナーとして米国のAI産業振興に共に参画するものだ」と説明した。しかし、ルトニック氏が「これは台湾のために特別に設計されたものだ」「台湾はトランプ氏に媚びを売る必要がある」といった趣旨の発言を重ねていることは、依然として懸念材料となっている。

一方で、経済部長・龔明鑫氏は、5ナノメートル(nm)以下の先端プロセスにおける生産能力シェアの試算を公表した。それによると、2030年時点では台湾85%に対し米国15%、2036年時点でも台湾80%に対し米国20%にとどまるという。龔氏は、今後10年を見据えても台湾が引き続き半導体生産の最重要拠点であると強調した。

米国の著名な半導体産業アナリストであるボブ・オドネル氏は、台湾の通信社「中央社」に対し、現在の半導体需要は極めて旺盛であり、投資家も地政学リスクに懸念を抱いていると分析した。その上で、製造工程の多くを米国本土で行うという流れは半導体業界全体の潮流であると指摘。企業はすでにこの傾向に合わせて調整を行っており、長期的には「政府の施策は、すでに起きている動きを加速させるに過ぎない」との見解を示した。

オドネル氏は、半導体サプライチェーンの移転には一定の進展が見られるものの、顕著な変化が現れるまでには非常に長い時間を要すると述べている。ルトニック氏の発言については、トランプ政権は政策の実現可能性を誇張する傾向があると指摘し、「これほどの工程には何年もかかり、トランプ氏の任期中に完了させることは現実的に不可能だ」と断じた。特に半導体サプライチェーンは極めて複雑であり、多くの者が非現実的なスケジュールを立てがちであると警鐘を鳴らしている。

また、オドネル氏はアリゾナ州に続き、隣接するニューメキシコ州も米国の半導体拠点となり、さらに多くのサプライヤーが進出すると予測している。市場需要が十分に満たされている状況下で、TSMC(台湾積体電路製造)やインテルが大量生産を行うことは、サプライチェーン全体にとって有益であるという。特にロジック半導体、DRAM、NAND型フラッシュメモリなどの分野で需要が非常に強いため、たとえ米国の生産能力が増加したとしても、台湾の主要な生産能力を代替することは不可能であると結論づけている。

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