V6ミドシップのモンスターを愛車に
クリオV6は、2000年にルノーが送り出したワイルドなハッチバックだ。英国では前期のフェーズ1と後期のフェーズ2を合わせて、わずか400台しか登録されていないため、めったに見かけることがない。オーナーのマーティン・ハセットさんは、そのことを気に入っている。
「わたしは、珍しくて変わったものが好きなんです」と彼は言う。「父がクルマを運転しなかったこともあって、父の時代のものは欲しいと思いません。その代わりに、アルファ・ロメオSZや少量生産車のような、珍しいクルマが好きです」
マーティン・ハセットさんのルノー・クリオV6
「もう1台、1997年式のマツダRX-7を所有しています。ちなみに、このRX-7はオイルをほとんど消費しないんです。あまりハードに運転していないんだろう、って言われますよ。クリオはとてもパワフルですが、限界域では不安定になります」
マーティンさんのクリオV6は、2004年に初登録されたフェーズ2のモデルで、走行距離はわずか5万3000km。ご存知の方も多いだろうが、フェーズ2ということは、フェーズ1よりもはるかに優れた構造と設計になっているということだ。
「ルノーは、クリオのミドシップにV6エンジンを載せるという奇抜なアイデアを持っていましたが、それを形にする時間がなかったのです。そこで、開発はTWR(トム・ウォーキンショー・レーシング)に委託されました。クリオはフェーズ2への改良を控えており、大至急、フェーズ1を市場に投入する必要があったため、TWRは急ピッチで開発を進めました。つまり、フェーズ1は、控えめに言っても開発が不十分だったんです」
ちなみに英国では、フェーズ1は『クリオV6ルノー・スポール』と呼ばれ、フェーズ2は『クリオV6スポール』と呼ばれていた。2002年に発売されたフェーズ1は、スウェーデンのTWR/ボルボの工場で組み立てられたが、その1年後に発売されたフェーズ2は、フランスにあるルノー・スポール(現在のアルピーヌ)の工場で生産されたため、少々ややこしいことになっている。
新車のようなコンディションを維持
マーティンさんはこう続ける。
「フェーズ1のオールアルミ製3.0Lエンジンは230psを発生しますが、生垣に突っ込んでしまうことで悪名高かった。本当に扱いにくいクルマだったんです」
マーティン・ハセットさんのルノー・クリオV6
「そこでフェーズ2では、シャシーの改良に取り組んでいます。信じられないかもしれませんが、ハンドリングを改善するためにホイールベースを延長して、さらにトレッドを拡大し、リアサブフレームを再設計し、ホイールも大径化しています」
「エンジン出力は255psですが、これは自然吸気エンジンとしては悪くない性能です。フェーズ1とフェーズ2の間で交換可能な部品はほとんどありません」
マーティンさんは、「田舎道でクリオをかっ飛ばす」ことを避けているという。おそらくそれが、愛車の見た目の綺麗さと、トラブルなく走れる理由だろう。さらに、彼はこのクルマで年間1600km程度しか走行していない。そのことは、ボディとエンジンルームが完璧に整備されており、インテリアも新車のように見えることからもうかがえる。雨天時には絶対に運転しないそうだ。
年間走行距離は少ないが、マーティンさんは1年ごとに、ウィルトシャー州にあるクリオV6専門店のSGモータースポーツに点検を依頼している。購入したのもこの店舗だ。
「前のオーナーさんは自分で整備を行っていたんです。このクルマが売りに出されていると聞き、見に行って試乗したところ、『これだ』と思いましたね。オーナーさんは当時入院されていたので、お会いすることはありませんでした」
マーティンさんは、このクリオV6を2万7000ポンド(約570万円)で購入した。現在の車両価値は、4万5000ポンド(約950万円)近いと見積もっているそうだ。
「投資目的で購入したわけではありませんが、損失が出ていないことは素直に嬉しいです。わたしは今74歳ですが、できる限り長く乗り続けるつもりですよ」
画像 小型ハッチバックに3.0L V6を搭載? 「狂気」のホットハッチ【ルノー・クリオV6を詳しく見る】 全32枚
