20年で外国人観光客が約60倍「熊野古道」を再生させたカナダ人“驚きのビジネス”:ガイアの夜明け
1月9日(金)に放送した「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは、あの主人公はいま…SP「激変!インバウンド新時代」。

【動画】20年で外国人観光客が約60倍「熊野古道」を再生させたカナダ人“驚きのビジネス”

歴史的な円安を追い風にインバウンドの需要が急拡大。経済効果18兆円超、雇用118万人を創出するインバウンドは、今や日本経済にとって重要な柱となっている。
「ガイアの夜明け」は、これまで日本の観光資源を磨き、世界から観光客を呼び込んで地域の経済を盛り上げようとする主人公たちの挑戦を追い続けてきた。
コロナ禍を経て、新たな時代に突入したインバウンドブーム。世界遺産「熊野古道」の外国人観光客を60倍以上に増やした立役者、そして沖縄本島北部の「限界集落」を観光の力で再生しようと取り組む若き挑戦者。ガイアが追い続けてきた「あの主人公のいま」を通じて、激変するインバウンドの今を伝える。

外国人視点でインバウンドを呼ぶ…世界遺産「熊野古道」の今

ガイアの夜明け
世界遺産・熊野古道の主要拠点である和歌山・田辺市。和歌山・奈良・三重と3つの県にまたがり、メインルートの中辺路だけで113kmに及ぶ熊野古道。2004年には世界文化遺産に登録され、1000年以上の歴史を持つこの参詣道を、今、多くの外国人が訪れている。
美しい自然と文化的な景観に世界が注目し、訪れる外国人観光客は年間約6万8000人(2024年)。この20年で60倍以上に増えた。

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その立役者が、和歌山・田辺市に住むカナダ出身のブラッド・トウルさん(50)。
ガイアは2008年、閑古鳥がなく世界遺産の街に外国人を呼び込もうと奮闘するブラッドさんに密着していた。

【2008年4月放送「外国人観光客を呼べ」】

田辺市の観光名所は、熊野古道と市内に4つある温泉地。しかしバブル崩壊後は、国内旅行者の足が遠のき、宿泊客数が激減していた。
落ち込んだ観光を復活させようと、市は2年前に「田辺市熊野ツーリズムビューロー」を設立。市内の観光地を外に向けてPRする団体で、特に外国人観光客の獲得に力を注いでいた。

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そこで、国際観光推進員として招かれたのがブラッドさん(当時33歳)。ブラッドさんは、田辺市の学校で1999年から3年間英語を教えており、「恩返しできるいいチャンス」と話す。
ブラッドさんの主な仕事は、外国人の視点から観光地を見て、アピールできる点を探すこと。四季折々、何回も熊野古道に足を運び、外国人が楽しめそうなスポットを探す。

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外国人が過ごしやすい街づくりをアドバイスするのも、ブラッドさんの仕事。
ブラッドさんは日本三美人の湯の一つと言われ、1300年の歴史を持つ紀州の名湯「龍神温泉」へ。ここには9軒の旅館があるが、交通の便が悪く、観光客は減少の一途をたどっていた。

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そこでブラッドさんは、旅館の経営者や従業員たちを集めて研修会を開く。研修の内容は、外国人の客を迎えるのに必要な英語表記について。英語に翻訳した方がいい言葉とニッポンブランドとしてそのまま使った方がいい言葉をレクチャーし、外国人の視点で一つ一つ指導する。

その後は、近くの温泉旅館で実地研修。ブラッドさんは「お風呂に入る前に体を洗う」「タオルはお風呂の中に入れない」など、日本の温泉エチケットなどの文化の違いは、特に丁寧に説明する必要があると指摘した。

ブラッドさんは、田辺市に海外メディアの日本駐在員たちを招き、2泊3日のプレスツアーを開催。海外に紹介してもらうため、街の魅力を懸命にPRした。
記者たちは、日本文化に通じたブラッドさんの説明で、いにしえの風情をいまだ残す田辺市に魅力を感じた様子。

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さらにブラッドさんは、スペインから来た観光協会のスタッフに田辺市を案内。スペインでPRしてもらおうと考えつく。「日本の精神的な原点である田舎の風景を守りながら紹介していくことが大事」(ブラッドさん)。

あれから17年経った2025年11月。午前7時過ぎにJR紀伊田辺駅前に向かうと、多くの外国人の姿が。みんなここから路線バスに乗り、世界遺産・熊野古道を目指す。

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その姿を見守るのは、50歳になったブラッドさん。今も「田辺市熊野ツーリズムビューロー」で働いている。
小さかったオフィスは、街の玄関口、紀伊田辺駅の隣に移転し、当時4人だったスタッフは30人以上に。さらにブラッドさん、外国人観光客が喜ぶ“新たなビジネス”を始めていた――。

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“健康・長寿の村”に外国人がやってきた…“限界集落”を観光で元気に!

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世界自然遺産「やんばるの森」が広がる沖縄本島北部。奇跡の森とも呼ばれ、絶滅危惧種のヤンバルクイナなど多様な動植物が生息している。
そんなやんばる地域には、小さな集落が点在。過疎化が進む集落に、今、外国人が押し寄せていた。
その仕掛け人が、仲本いつ美さん(38)。隠れた地域の魅力を磨いて、新たな客を引き寄せる…ガイアは2022年から、仲本さんの闘いに密着してきた。

【2022年8月放送「変わる夏旅…地元でおもてなし」】

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やんばる地域限定の小さな旅行会社「エンデミック ガーデン H」(国頭村・謝敷区)。
社員は地元出身の若者など8人で、2019年に社長の仲本いつ美さん(当時35)が設立した。
やんばるで生まれ育った仲本さんは、沖縄の大学を卒業後、地元の役場に就職。観光に携わる仕事をしてきたが、高齢化で空き家が増える集落を元気にしたいと考え、役場を辞めて旅行会社を立ち上げた。

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仲本さんのツアーの売りは、集落を結ぶ渡し船として使われた伝統的な小舟(サバニ)によるクルーズ体験や、沖縄の伝統工芸「やちむん」を焼く登り窯の見学など。
知られざる地域の魅力を発掘し、観光資源に変えている。
地元の人たちの暮らしを守りつつ、観光と両立させるのも仲本さんの役割だ。

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2022年7月、仲本さんが始めた新たな挑戦が、持ち主が移住し、空き家になった建物を一棟貸しの宿にしようというもの。
しかし、沖縄で再び新型コロナウィルスの感染が急拡大。大工さんが次々と新型コロナに感染してしまい、工事が止まってしまうこともあったが、仲本さんは何とかその難局を乗り越えて、「やんばるホテル南溟森室 久志」をグランドオープンさせた。
一番の売りは半露天の風呂で、やんばるならではの満天の星空が楽しめる。
集落の人も仲本さんの取り組みに期待していた…。

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あれから3年経った2025年11月。取材班が、青い海とやんばるの森に囲まれた集落を再び訪れると、そこには多くの外国人の姿が。

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お目当ての一つが、やんばるの郷土料理。「健康長寿のランチセット」は人気のメニュー。仕掛け人は、あの仲本さんだ。実は今、欧米を中心に、健康長寿の地域を訪ね、食や自然を楽しむ観光がブームになっている。

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アメリカの有力メディアが、世界の5つのブルーゾーン(健康長寿の地域)の一つに沖縄を選んだことが、集落の盛況につながっていた。
「特に欧米豪の人が、ブルーゾーンとしてここに注目していることが、潮流になりつつある」(仲本さん)。

集落のお祭りをのぞくと、獅子舞のパフォーマンスをはじめ、地元の高齢者が踊る出し物などが行われていた。仲本さんの仕掛けで、村の日常が観光資源に。
仲本さんは海外からの注目をチャンスととらえ、その取り組みを加速していた。

「エンデミック ガーデン H」には、以前より若い社員の数が増えていた。中には、千葉や神奈川から移住してきた社員も。
高齢化が進む限界集落。仲本さんは雇用を生み出して活気づけようと積極的に採用を進め、社員寮も用意して若者を呼び込んできた。
「次のフェーズでは人口を増やす。観光が目的ではないので、そこをブレずにやっていきたい。この集落を次の世代に残すために」。

そんな仲本さん、ブルーゾーンの需要を追い風にして、大勝負に打って出ようとしていた――。

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