栃木県立高校のトイレで、生徒による暴行の様子を撮影した動画がSNSで拡散しました。報道によると、加害生徒は暴行の事実を認め、反省の言葉を述べています(反省で済む話ではありませんが)。

動画の拡散と同時に、ネット上では学校名や生徒の個人情報を特定し、学校や教育委員会に抗議が殺到する事態も起きています。また学校や県教委への怒りに加えて、加害生徒への「刑罰」や学校や教員の「保身」も話題になっています。

私たちが考えなくてはいけないのは、私たちの怒りや正義感が、誰のために、どこへ向かっているのかという点です。

ココがポイント

トイレで1人の生徒が、無抵抗の生徒の顔面を2度拳で殴り、後頭部を足蹴りする様子や、複数の生徒が周囲ではやし立て出典:下野新聞デジタル「生徒暴行の動画が拡散、栃木県警が容疑で捜査 加害生徒「本当に申し訳なかった」 県教委などに抗議殺到」 2026/1/5(月)

今回拡散している高校生による動画は、『いじめ』という言葉で片づけられるものではなく、明確に暴行や傷害事件に該当する行為出典:日刊スポーツ「トイレ“いじめ”動画拡散 元1課刑事が懸念「加害者を私刑のように…解決策にはなりません」 2026/1/5(月)

SNSでは動画に映っている生徒たちの個人情報がアップされ、大きな炎上状態となっている。出典:弁護士ドットコムニュース 高校トイレでの暴行動画が拡散 栃木県教委「警察が捜査中」と明かす 2026/1/5(月)

いじめは客観的には小さなことでも、被害者に大きなダメージを与えるものです出典:碓井真史 Yahoo!ニュース いじめの心理学:なぜいじめるのか、どう防ぐのか 2021/11/30(火)

エキスパートの補足・見解

いじめが悪化すると、いじめ非行(犯罪)となります。拡散された動画の内容は、暴行・傷害でしょう。法に基づく制裁が必要です。さらに「仲間はずれ」「無視」のようないじめも、心には大きなダメージを与える行為です。

全国の学校で、いじめ防止の活動をしています。それでも、「何もしていない」「保身」と感じられ批判されるのは、事態がここまで悪化した事実や、学校としては加害者生徒もまた教育すべき生徒の一人であることが影響しているでしょう。

まず私たちがすべきことは、被害者の保護です。苦情電話が殺到し、教職員が電話対応で忙殺されれば、本来するべき役割が果たせなくなることもあるでしょう。

いじめ加害者は、しばしば自己肯定感が低いことがあります。いじめることで、歪んだ優越感を味わおうとします。いじめ行為をはやし立てる人も、同様です。見ているだけの傍観者は、何もしないことで加害者の背中を押しています。

いじめ悪化防止のためには、相談できる人や場が大切です。「心配や面倒をかけたくない」などと思い相談できないのですが、大人は子供のことを心配するのが仕事であり、面倒をかけても良いのだと伝えましょう。相談は弱虫の行為ではなく、勇気ある行為だと。