スペインリーグはクリスマス休暇を終え、後半戦に向けて戦いを再開した。消化試合に差はあるものの、上位陣に関しては大きな動きなく、ほぼ例年通りとなっている。
エスパニョール戦でセーブするバルセロナGKジョアン・ガルシア(2026年1月撮影、ロイター)
■GKジョアン・ガルシアが救世主
首位で26年を迎えたのは、2連覇を目指すバルセロナ(19試合16勝1分け2敗、勝ち点49)。サウジアラビアで今週開催されるスペイン・スーパーカップ参加のため1試合多く消化しており(※レアル・マドリード、アトレチコ・マドリード、ビルバオも同じ)、前半戦の全日程を一足早く終了し“冬の王者”に輝いている。
シーズン序盤はけが人続出の影響を受け、攻守ともにパフォーマンスが安定せず、フリック監督の手腕やハイラインに疑問が持たれた。しかし主力選手が復帰すると状況は一転。第10節のクラシコに敗れたのを最後に、リーグ戦9連勝で首位の座を奪還した。特にエスパニョールから獲得したGKジョアン・ガルシアがファインセーブを連発し、救世主となっている。
首位バルセロナと勝ち点差4で2位につけるのは、シャビ・アロンソ新政権でシーズンを開始したRマドリード(19試合14勝3分け2敗、勝ち点45)。昨季抱えていた守備面の問題はハイセン、カレーラス、アレクサンダー=アーノルドを獲得することで解消し、エムバペが序盤から驚異的な得点力を発揮したことで、開幕からのリーグ戦11試合で10勝1敗と好スタートを切り、一時はバルセロナに勝ち点5差をつけて首位に立った。しかしその後、DF陣が次々とけがを負い、システムやスタメンを固定できず、チーム全体のパフォーマンスが低下していった。その結果、シャビ・アロンソ監督解任の可能性が報じられるまでになっていた。
3位につけるのはビリャレアル(17試合12勝2分け3敗、勝ち点38)。ビッグ3よりも2試合少ない状況ながら3位につけていることは特筆すべき点だ。生え抜きのバエナやジェレミ・ピノといった主力放出で戦力ダウンが懸念されたが、アルベルト・モレイロ、ミカウタゼ、レナト・ベイガなどの補強が見事に的中。ボール支配率は例年に比べて低いが、優れた連携プレーや効果的な攻撃でチャンスを生み出し、攻守に安定したパフォーマンスで勝ち点を積み重ねている。
Aマドリード(19試合11勝5分け3敗、勝ち点38)は夏にメンバーの3分の1を入れ替える改革を実施したことで大幅な戦力アップが期待されたものの、アウェーで結果を出せない消極的なサッカーが大きく影響し、4位に留まっている。序盤は新戦力の融合に難航し、15位に沈む時期もあった。シメオネ監督はその後、ピースをうまく当てはめていき、中盤に下部組織出身のコケとバリオスを配置してバランスを取り、前線にフリアン・アルバレスとセルロートを並べ、最終的に欧州チャンピオンズリーグ圏内に浮上した。
アトレチコ・マドリード戦の前半、競り合うレアル・ソシエダードの久保(右)(2026年1月撮影、共同)
■久保調子上向き2戦連続MVP
日本人選手はけがに苦しむ前半戦となった。レアル・ソシエダードの久保建英は9月上旬のメキシコ戦で負傷した左足首の完治に2カ月を要し、本領発揮できない時期が続いた。そこへ今季加入したゲデスが素晴らしいパフォーマンスを見せていることで、現地ではスタメン落ちの可能性が指摘されたが、ここ2試合連続でマッチMVPに輝き、調子を取り戻してきた。
リーグ戦成績は16試合出場(先発11試合)、2得点2アシストと、徐々に数字を伸ばしている。
チームは開幕前から、補強の遅さによる準備不足、中盤の要スビメンディの退団、トップチーム経験のないBチームの監督が昨季すでに調子を落としていたメンバーを率いたことなど、さまざまな問題が指摘されていた。期待されたヤンヘル・エレーラを含むけが人続出により、降格圏内の19位まで沈む時期もあった。現在、リーグ戦で5試合連続勝利なく、18試合4勝6分け8敗の勝ち点18で15位と厳しい状況が続いている。
しかし、昨年末に解任されたセルヒオ・フランシスコ監督の後任を務めるマタラッツォ監督が、初陣となった新年最初のAマドリード戦で手応えを感じさせるサッカーを展開したことは、シーズン後半に向けて朗報となりそうだ。
マジョルカの浅野拓磨は開幕時こそレギュラーの座を確保していたものの、左足ハムストリング負傷後、リーグ戦での先発出場は1度のみ。リーズから期限付き移籍で加入したマテオ・ジョゼフとのポジション争いに勝てず、ここまでの成績は13試合出場(先発5試合)、1得点0アシストと苦しんでいる。さらに今冬の移籍市場で右サイドのアタッカー獲得の可能性が報じられており、より状況が悪くなる可能性もある。
チームは序盤から勝ちきれない試合が続き、初勝利は浅野の今季唯一のゴールが決勝点となった第7節のアラベス戦まで待たなければならなかった。堅守速攻を武器にここ5試合でわずか1敗と安定したパフォーマンスを発揮しているが、10ゴールでリーグ戦の得点ランキング3位につけるムリキへの依存が強く、18試合4勝6分け8敗の勝ち点18で16位と低迷している。
5位につけるエスパニョールの選手たち(2026年1月撮影、ロイター)
■補強当たりエスパニョール5位
今季サプライズを起こしているのは5位につけるエスパニョール(18試合10勝3分け5敗、勝ち点33)だ。
昨季14位に終わり、今季前半のサラリーキャップ(選手の契約年数に合わせて分割された移籍金や選手年俸などの限度額)は5658万7000ユーロ(約101億8566万円)と、20チーム中12番目にもかかわらず、夏に効果的な投資を行い11人の補強に成功。マノロ・ゴンサレス監督が組織的なチームを作り上げ、ボール支配率は20チーム中最低ながら、効率の良い攻撃と堅固な守備を武器に、勝利数を2桁台に乗せている。
もうひとつ注目すべきチームは今季1部に昇格したエルチェ。サラリーキャップは4048万ユーロ(約72億8640万円)で20チーム中、下から3番目と少ないながらも、6番目に得点数の多い攻撃的なサッカーがサポーターを魅了している。特にホームで5勝4分け1敗と強さを見せ、9位(18試合5勝7分け6敗、勝ち点22)につけている。
今季一緒に昇格してきたレバンテとオビエドが降格圏に沈んでいることを考えると、申し分ない成績と言えるだろう。
束の間の休息を終えた選手たちは、26年の初めから複数の大会を並行して戦っていく。過密日程に突入するチームが出てくることで、順位が激しく変動することが予想される。この状況をどのチームがうまく乗り切るのか、間もなく後半戦に入るスペインリーグの白熱した展開を期待したい。
【高橋智行】(ニッカンスポーツコム/サッカーコラム「スペイン発サッカー紀行」)