米国がベネズエラ攻撃:識者はこうみる

写真はベネズエラの旗を掲げる人。1月4日、コスタリカのサンホセで撮影。REUTERS/Mayela Lopez

[ 5日 ロイター] – トランプ米大統領は3日、米国がベネズエラを攻撃し、マドゥロ大統領を拘束したと明らかにした。

市場関係者に見方を聞いた。

◎<三菱UFJモルガン・スタンレー証券 チーフ為替ストラテジスト 植野大作氏>

米軍が事態を掌握した状態で週明けを迎えたこともあり、週明けの市場では比較的冷静に受け止められている。今回の件で米国の成長率やインフレ、金利の見通しが動くわけではないだろうし、グローバル経済のファンダメンタルズに甚大な影響が及ばないのであれば、影響はニュートラルと考えていいだろう。

懸念材料を挙げるとするなら、国境紛争などの拡大だ。米国がやるならと、中国やタイ、インド、ロシアなどでも国境付近での紛争が続々と発生するような事態となれば、リスクオフムードが強まり、その性質によって買われる通貨と売られる通貨が出てくるだろう。円はリスク発生時の感応度が低下しているが、スイスフランには引き続き買いが入りやすいとみている。

◎「悪いインフレ」懸念強まる、円債売り材料に

<三井住友トラスト・アセットマネジメント シニアストラテジスト 稲留克俊氏>

ベネズエラ情勢を巡っては、投資家による「質への逃避」の動きが出て円債買い材料となる可能性もあり得たが、けさの円債市場の動きを見るとむしろ「悪いインフレ」懸念から金利上昇(円債売り)の材料となっている。

この悪いインフレ懸念については、いくつか経路がある。1つは将来的に原油供給が減ることが意識されてのインフレ、2つ目は世界経済のブロック化が進むことが連想されてのインフレ、3つ目は台湾有事が近づくとの連想から円安が進むことによるインフレだ。

きょうの円債売りは、日本が休場中に米長期金利が4.2%近辺まで上昇したことが最たる要因と考えられるが、ベネズエラ情勢で「悪いインフレ」への警戒感が高まり、日銀の「ビハインド・ザ・カーブ」(政策判断が後手に回る)懸念が増したことも追加的な円債売り材料となっている。

◎株価影響は限定的、市場は米重要指標に目線

<大和証券 チーフストラテジスト 坪井裕豪氏>

世界経済への波及経路としては原油価格の動向が想定されるが、原油施設への攻撃は伝わっていない。年始は重要な米経済統計の発表が多く控えており、市場の目線はそちらの方に向かっている。

トランプ米大統領はベネズエラへの攻撃やマドゥロ大統領の拘束について成功したとの認識を示したことが伝わっており、米国サイドからの動きはひとまず終息したとみていいだろう。

地政学リスクが他地域に伝播するなど広がらなければ、株価や為替に大きな影響はないとみている。原油高や地政学リスクの高まりへの思惑から、関連株は物色されるかもしれないが、本格的なポジション構築ではなく短期筋が中心だろう。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab