筆者は『Path of Exile』を2016年のバージョン2.4から現在の3.27に至るまで継続してプレイしてきました。期間中は全リーグに参加し、各リーグの当時のエンドコンテンツを攻略しています。レベル92以上のキャラクターも複数保持しており、ゲームの変遷に合わせてプレイ経験を積み重ねてきました。現在も継続する意志は強く、次リーグもプレイ予定です。

3.27の進捗は、プレイ時間115時間、キル数89万です。レベル100到達まではまだ数日要る状態です。

『Path of Exile 2(以下、『2』)』の発表時には強い期待を抱き、事前情報を追いながら早期アクセス(0.1)にも参加しました。しかし複数の不満点があり、継続してプレイする動機を持てませんでした。

以降では、まず『Path of Exile(以下、初代)』の魅力を解説し、そのうえで『2』が別種のゲームへ変化した点を確認します。

初代『Path of Exile』のコア体験

初代のコア体験はとても簡単で、伝統的なハクスラのループです。

このループを構成する各要素がそれぞれ独自の面白さを持ち、相互に増幅し合う点が強い中毒性につながっています。

戦闘:序盤から終盤まで輝くスキルが多く、テンポの速い殲滅プレイが成立する

収集:ドロップ品を集める行為自体が楽しい

育成:ビルド構築に創意工夫の余地が大きい

序盤の路上の装備を拾い集め、弱い攻撃で凌ぐ段階から、秒単位で敵集団を処理する段階まで、キャラクターと一緒に成長する過程は何よりも楽しいものです。成長過程には、スキルツリーの振り分け、装備選択、クラフト、スキル組み合わせなど複数のシステムが絡み合います。プレイ前に一定の座学が必要になるほど複雑ですが、その複雑さ自体が魅力になっています。

育成目標も多様です。オールラウンダー、高速周回特化、ボス特化、特定コンテンツ特化など、到達点が複数用意されています。効率面でも選択肢が多く、単調になりにくいです。理論構築段階で完成形を想像する楽しさがあり、実プレイで得た情報を踏まえて構築を更新する過程も体験を豊かにします。同一のループを繰り返しているにもかかわらず、次々に新しい課題が生まれることが中毒性の源です。

遊び尽くせないエンドコンテンツ量

2013年から継続するオンラインゲームとして、長年積み上げたコンテンツ量の多さは突出しています。終盤の主戦場となるマップ(※本作におけるダンジョン)だけでも現在115種類が存在し、さらにマップ以外の特殊ダンジョンも複数あります。限定ドロップを持つユニーク裏ボスも10体以上存在します。マップコンプリートだけでも、集中して取り組めば丸一日程度を要する規模です。

ただし、マップコンプリートは終盤の入口に過ぎません。実際には、マップシステムにはマップスキルツリーがあり、マップコンプリートで得られるマップポイントを用いて、出現モンスターの強度・レア度・密度・ドロップ期待値を引き上げていきます。そのうえで最強装備の収集とクラフトを進め、ビルドパワーを最大化し、最高難度の裏ボスに挑んで超希少ドロップを狙う、という構造です。

本作には明確なクリア目標が用意されていません。どこまでやり込むかはプレイヤー次第であり、コンテンツが尽きる前にプレイヤー側の自由時間が尽きる、という状態になりやすいです。

総括すると、初代の強みといえば

同じプレイングの反復であるにもかかわらず、プレイ中に新しい発見や課題が生まれ続ける複雑なシステム

どれだけプレイしてもコンテンツが尽きないコンテンツ量

ハイテンポな無双プレイ

『Vampire Survivors』並にモンスターを掃き倒せるハクスラをしたい方には、ぜひおすすめしたいゲームです。

『Path of Exile 2』は何が変わったか

結論から言えば、初代と『2』は別ゲームに近いです。まずは肯定的に評価できた変更点から整理します。

ジェムリンク/ソケットのストレス緩和

初代では、スキルは「スキルジェム」から獲得し、装備品のソケットに挿すことで使用可能になります。ソケット同士はリンクで繋ぐことができ、リンクされたソケットに「サポートジェム」を加えることでスキルを強化する仕組みです。その結果、スキル運用と装備が強く結びつき、装備を変えるたびにスキルの再調整が発生しやすくなっていました。

さらに、装備部位ごとにソケット数が異なり、ソケットには赤・緑・青の色があり、要求色が一致しなければ構成が成立しません。加えて、リンクが揃わない限りサポート効果が得られません。このお揃いミニゲームの面白さは非常に分かりにくいものでした。

特に6リンクは運要素の比重が高く、確定手段を用いても大量の資源を要します。運が悪い場合、数千単位の試行でも6リンクにならないケースも起こり得ます。さらに、プレイヤー側が1回ずつ左クリックを繰り返す作業も負担でした。

この仕組みは序盤のドロップ体験とも相性が悪く、良ステータスの装備が落ちてもソケット条件が合わず使えない、という事例が頻発します。そのため、ストーリー進行中は装備更新が消極的になりやすいです。

初代3.27ではリーグ固有要素などにより6リンク装備の入手が容易になっていますが、運営側もリンクシステムが敬遠されがちな点を認識しているように見えます。『2』ではスキルと装備を独立した仕組みに分離し、装備更新のたびにスキル構成が崩れる問題を軽減しています。

『2』ではソケットに色がなくなり、キャラクターのステータス要件を満たす限り、メニュー操作で比較的容易にスキルを運用できます。リンクも反復クリック中心の作業から、専用アイテムを用いた簡略化された方式に変更されています。これにより、スキルと装備をそれぞれ独立に選べる感覚が強まり、初見時の解放感につながりました。

グラフィック/サウンドの品質上昇

『2』ではグラフィックが全面的に刷新され、テクスチャ解像度、自然物、室内表現、エフェクトなどが大幅に改善されています。見た目の印象だけで比較した場合、『2』の優位性は明確です。

サウンドについても初代からの流用は少なく、再制作が中心に見えます。打撃音やスキル音の満足度は高く、爽快感を損なわずに耳障りになりにくい方向へ調整されている印象を受けました。

プレイヤーキャラクターの背景設定強化

初代はプレイヤーキャラクターの描写が薄く、現時点でも5章から10章までセリフが補完されていないプレイアブルキャラクターが存在します。一方『2』では、初代で言及された各部族の出身者を操作できるようになっており、その部族の価値観に基づく発言やツッコミをプレイを通して聞くことができます。

その結果、自分が操作するキャラクターがこの世界でどのような立場にあり、何を求められているのかが明確に把握できるようになりました。世界観や立ち位置の理解が容易になり、ストーリーを追う動機も生まれやすい構成です。初代未経験者であっても、理解が困難になるような構造ではありません。

WASD移動と移動中スキル使用

初代はクリック移動が基本で、スキルも停止状態での運用が中心でした。『2』ではWASD移動が導入され、移動しながらスキルを使用できるようになっています。これにより「群れに移動→停止して攻撃→次へ移動」というループ感が薄れ、操作の自由度が向上しました。

また、全キャラクターでローリングが可能になり、回避性能は初代と比較して大きく向上しています。機動性の向上は、被弾を避けながら攻撃する設計を後押しし、初代とは異なるビルド発想を生みやすくしています。

それでも0.1で継続意欲を失った理由

肯定的な変更点が存在していても、0.1時点では継続する動機が生まれませんでした。その主因は以下の通りです。

ハクスラというより高難度アクション寄りの設計

0.1の全体バランスは、被ダメージが過剰に高いと感じられました。序盤から雑魚モンスターによって簡単に強靭を削られ、押し切られやすい状況が続きます。さらに複数体が群れで襲ってきた場合、包囲されると離脱が困難でした。

一方で、プレイヤー側の火力は伸びにくく、初代であれば1~2回の攻撃で処理できる雑魚に対しても、さらに複数回の攻撃が必要でした。その結果、雑魚戦においても常に高い集中力を要求され、体力的・精神的な消耗が大きくなります。

防御面の補強も難しい状況でした。有意義な装備が都合よく落ちにくく、仮に落ちたとしても体感差は小さいです。加えて、初代に多かったHP増加ノードがスキルツリーから大きく減っており、数値で安定させる方向性が弱まっています。設計としては、「数字で耐える」よりも「操作で避ける」寄りに見えました。

しかし、ローリングには無敵フレームがなく、当初は敵をすり抜けることもできなかったため、包囲状況を打開するのが困難でした。0.2で包囲のすり抜けが可能になり、小盾によるパリィも実装されましたが、体験を大きく変えるほどの快感にはつながらず、負担感が強く残りました。

また、苦労して雑魚を倒してもドロップが乏しく、難度と報酬が釣り合っていない印象がありました。ボス戦については予兆が分かりやすく、ドロップも多いため満足度は高いです。ただし、モンスター全体が硬いため、序盤のボス戦であっても戦闘時間が長引きやすい傾向がありました。

総じて、爽快な殲滅を期待すると齟齬が生じる内容でした。

マップが広い一方で移動が遅い

フラスコ(※今作におけるポーション)システムの簡略化により、移動速度を上げる手段が大きく減少しました。移動速度の主な増加要素はブーツのステータスに限定され、移動系スキルも序盤ではほぼ存在しません。その結果、歩行に費やす時間が増えています。

加えて、0.1当時のマップは初代よりも広く、目的地までの導線も明確とは言いにくい場面が多くありました。壁沿いに探索して進路を探す状況が続き、戦闘以外の移動が冗長になりやすかったです。

チェックポイントシステムの導入自体は合理的ですが、設置密度が低い局面もあり、根本的な負担軽減には至りませんでした。問題はマップの「広さ」そのものではなく、行き止まりが多く、敵のいない既踏破ルートを戻らされる時間が長い点にあります。

序盤スキルの格差

筆者は初手で火属性スペルを選択しましたが、序盤の火系スキルは火力が伸びにくく、発動までのテンポも悪い印象でした。レベルが上がって上位スペルへ移行しても改善は乏しく、最終的にはキャラクターを作り直す選択に至りました。

初代は長年の調整の蓄積があるため、バランス面で比較するのは少々不公平ではありますが、初見プレイヤーが序盤の選択ミスによって苦行化しやすい設計には問題を感じました。

エンドコンテンツが薄い

初代が115種類のマップを埋めていく構造であるのに対し、『2』は無限拡張型のランダムマップへ転換しています。

早期アクセスのゲームに対し、コンテンツ不足を指摘するのは野暮ではありますが、0.1当時はエンドコンテンツに入っても成長の見通しが立ちにくく、明確な強力ドロップ目標も見えませんでした。その結果、「序盤の延長」を長時間続けている感覚が強まり、初代のような爽快さや到達点のイメージを描けなくなりました。これが引退を決定づける要因となりました。

0.4での改善と現時点の評価

ただし、2025年12月にリリースされた0.4では、0.1当時に感じていた大きな問題点が広範に解消されています。

敵が倒しやすくなり、ドロップも改善

0.4で追加された新クラス「ドルイド」の物理スペルに、新上位クラス「ディサイプル・オブ・ヴァラシュタ」を用いたビルド、さらに前バージョンで活躍していた毒パスファインダーを試したところ、序盤の爽快感は初代以上だと感じる場面もありました。

敵の硬さは適正に近づき、ダメージは脅威として残りつつも、序盤から頻繁にスタンや即死が発生する状況は大きく緩和されています。ドロップ率も引き上げられ、レベリングに必要な装備が自然に揃いやすくなりました。

ボス戦も調整され、火力が伸びにくいビルドであっても、MPが尽きたまま長時間の消耗戦になる場面は減少しています。

マップ改善とスプリント導入

フィードバックを受け、一部のマップサイズは縮小され、行き止まりも減少しました。無駄足問題をさらに解消するため、同じマップ内で一度踏んだチェックポイントへ任意にワープできる親切な機能が実装されています。

さらに、ローリング後にキーを押しっぱなしにすることで高速移動できる「スプリント」が追加されました。移動速度の向上により、敵集団間の移動が短縮され、初代終盤の高速周回に近いテンポを『2』の序盤から体験できるようになっています。

非同期トレード導入によるストレス低減

初代および『2』の従来のトレードは、外部サイトで検索し、売り手のプレイヤーにメッセージを送り、承諾を得て相手の隠れ家へ移動し、そこでトレードリクエストを送って初めて取引が成立するという流れでした。この方式は売り手・買い手双方にとってストレスが大きく、長年にわたり改善要望が出されていました。

『2』の0.3で実験的に導入された非同期トレード機能は好評を博し、その結果、初代3.27にも実装されました。これにより、チャットを介したやり取りがすべて不要となり、NPCとゲーム内トレードUIを利用するだけで迅速に交換が可能になりました。トレードに関するストレスは、事実上解消されたと言えます。

コンテンツ量の増加

0.1当時は3章までの実装で、エンドコンテンツに到達するにはストーリーの再周回が必要でした。現在では4章と、5章決戦前の幕間までが追加され、同一ストーリーを二周する構造は解消されています。

ストーリー的にもクライマックスに向けた雰囲気づくりが進んでおり、次回アップデートへの期待は高まっています。筆者のプレイペースでは、ストーリー完了まで約12時間を要しましたが、そのうち少なくとも9時間以上は戦闘が占めており、無駄に歩かされる時間はほぼなくなっていました。

総括

0.1で強く感じていた「数値バランス起因の苦行」や「マップ設計と移動速度に起因するストレス」は、0.4において概ね解消されました。初代とは異なる操作性と爽快感を持つハクスラとして、現時点では十分に合格点に達していると評価できます。

新規プレイヤー、復帰プレイヤーのいずれにとっても、『Path of Exile 2』は現段階で購入する価値のある内容になっています。興味のある方は、ぜひ一度プレイしてみてください。

『Path of Exile 2』は、PC(Steam/Epic Gamesストア)PS5/Xbox Series X|S/向けに早期アクセスとして販売中。正式版は基本プレイ無料となる予定です。