公益財団法人 自然エネルギー財団はこのたび、報告書「ドイツの電力セクターの現状と政策展望:脱炭素化とエネルギー安全保障の両立」を公表しました。

ドイツのエネルギー転換(エナギーヴェンデ)は成熟段階に入り、自然エネルギーが国内電力需要の過半を占めるようになったことで、政策の焦点は「拡大」から「拡大と統合」へと移行しています。本報告書では、2025年時点のドイツ電力セクターの状況について、電力輸入とエネルギー安全保障、石炭火力のフェーズアウト、そして新政権下での政策方向性を包括的に整理しています。

送電網整備、柔軟性確保、水素導入の遅れといった課題は残るものの、ドイツは法的拘束力を持つ気候・自然エネルギー目標に向けて概ね順調に進んでいます。

ドイツの経験は、早期の野心的な自然エネルギー目標の設定が導入拡大の前提であることを示しています。また、拡大と統合が課題になることを視野に、送電網・デジタル化・柔軟性への早期投資を行い、野心と実行を並行して進めることが不可欠であることも示しています。

日本において、いかにして脱炭素化とエネルギー安全保障を両立するかを議論するために、本報告書は必読の文献です。

<目次>

1. 法的拘束力のある目標

2. エネルギー転換の現状

 2.1  温室効果ガス排出削減

 2.2  ドイツの電力ミックス

 2.3  残された課題    

3. ドイツの電力供給、輸入および安全保障

 3.1  ドイツのエネルギー安全保障は維持されているか?

 3.2  ドイツの国境を越えた電力取引の理解

 3.3  なぜドイツの電力価格は高いのか

 3.4  ドイツは2023年に原子力を廃止した。石炭も近く廃止できるのか?

4. 2025年におけるドイツのエネルギー転換の方向性

 4.1  構造転換期における低成長の経済状況

 4.2  「エナギーヴェンデ・モニタリング報告書」2025

 4.3  2025年以降の政策展望

5. ドイツの経験が日本に示すもの