「電力覇権」目指すなか、重要拠点に指定された内モンゴルの都市

2025年12月23日 5:05

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AI電力で中国攻勢、破格の安さと世界最大の送電網内モンゴル自治区ウランチャブで建設中のデータセンター Photographs by Andrea Verdelli for WSJ


【ウランチャブ(中国)】米国は最強の人工知能(AI)モデルを発明し、最先端半導体へのアクセスを掌握するが、中国は 世界的なAI競争 でとっておきの切り札を持つ。


 中国には今や、世界がこれまで目にしたことがない規模の送電網がある。中国の発電量は2010年から24年にかけて大きく増加し、その増加幅は世界の他地域を合計した分を上回る。また昨年の中国の発電量は米国の2倍を超えていた。一方で、中国のデータセンターの一部は現在、米国のデータセンターの半分以下の電気代で済んでいる。


「中国では、電力が競争する上で優位になる」。中国国家データ局の劉烈宏局長は3月にこう述べた。


 中国が「電力覇権」を目指す動きは、北部の国境地帯にある内モンゴル自治区を変貌させている。米テキサス州のような広々とした景観に、何千基もの風力タービンが点在し、送電線が張り巡らされている。これらが「草原雲谷」と当局が呼んでいる地域に電力を供給する。100以上のデータセンターがここで稼働中もしくは建設予定だ。


 これはまだ始まりに過ぎない。モルガン・スタンレーは、中国が2030年までの5年間に約5600億ドル(約87兆円)を送電網プロジェクトに費やすと予測しており、前の5年間に比べて45%増となる。ゴールドマン・サックスは、中国が30年までに約400ギガワット(GW)の予備発電容量を持つと予測するが、これはその時点の世界のデータセンター向け電力需要予想の約3倍に相当する。


 オープンAIが米中の「電子格差(electron gap)」と呼ぶこの問題は、米テック業界のリーダーの間で大きな懸念を呼んでいる。マイクロソフトのサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は、いま購入している膨大な数の半導体を稼働させるのに十分な電力が得られないことを危惧していると話す。一部の企業は、米政府が規制緩和や資金支援を通じて、もっと国内送電網の近代化を図るべきだと考えている。


 モルガン・スタンレーの予測では、今後3年以内に米国のデータセンターが44GWの電力不足に見舞われる可能性がある。これはニューヨーク州の夏季の発電容量に相当し、米国がAIで抱く野心に「立ちはだかる壁」となる。


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