ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2025.12.08 14:48

◇韓米FTAに刺激を受けたEU、「我々ともFTAを」

一方、米国より遅れて始まったEUとのFTAは2011年7月1日に暫定発効した。すると韓米FTA批准を求める米国業界の声が一段と強まった。実はEUは2004年、韓国がFTAを提案した際、「関心がない」と拒否した相手だった。それが韓国が米国とFTAを進めていることを聞き、自らやって来て、先に発効させた。

2011年10月に米国議会で、そして翌月に韓国国会でFTAが批准された。翌年3月15日、ついに韓米FTAが正式発効した。2006年6月に交渉を始めてからすでに5年9カ月が経過していた。これにより、韓国はアジアで米国とFTAを締結した最初の国となった。

FTA発効後、韓国経済は急速に変わり始めた。データが物語っている。以下は2022年、対外経済政策研究院が分析した韓米FTA10年間の成果だ。

▷対米輸出増加率:年平均5.5%(全体輸出増加率1.5%の約3倍)

▷投資:韓国の対米投資は年平均266%、米国の対韓投資は315%増加

製造業・サービス・知的財産権・競争政策などで国際規範に基づく制度の先進化も加速した。韓米FTAが単なる関税撤廃条約ではなく、「韓国経済システムを先進国型へ改造した制度的ビッグバン」と評価される理由だ。

しかし2018年、ドナルド・トランプ政権の“米国第一主義”はFTAの安定性を揺さぶった。再交渉の末に協定は維持されたものの、今年発表された「両国の関税・投資交渉」の結果は、既存FTAが保証していた無関税の恩恵を弱め、新たな関税障壁を築いた。これが韓米FTA無力化論争を呼び起こした。

重要なのは、韓米FTAが法的・制度的枠組みとして依然有効で、疎通チャンネルとして活用できる余地が開かれているという事実だ。韓米FTAは単なる通商協定を越え、急変する通商秩序を調整し、韓国の戦略を設計する核心的な基準点となっている。

韓国は今や世界6位の輸出国、8位の貿易国であり、研究開発から部品・素材、製品生産、流通に至るまでグローバル・バリュー・チェーンの核心国家として位置づいている。この成果の出発点には、2000年代初めに韓国が感じた「遅れを取るかもしれない」という危機感、そしてこれを突破するための戦略的決断があった。

2025年、新たな通商衝撃の中心に立っている今、我々は再び決断の瞬間と向き合っている。デジタルトランスフォーメーション、サプライチェーン再編、AI(人工知能)・半導体・バイオなど技術覇権競争が新たな局面をつくり出している。韓国は韓米FTAが残した開放精神と高度な規範を未来戦略の資産としなければならない。韓米FTAは韓国を先進国体制へシフトさせた決定的トリガーだった。われわれは今、また別のトリガーを引くべき時に立っている。

チョン・チョル/韓国経済研究院長

<創刊企画「大韓民国トリガー60」(59)>「危険でも必ず越えなければならないハードル」盧武鉉のFTA決断」(1)