オーストラリアは、これまでどの国も踏み込んでこなかった規制に動き出しており、その行方を世界の多くの国が注視している。12月10日から、オーストラリアでは16歳未満のソーシャルメディア利用が禁止される。

 禁止対象となるアプリには、「TikTok」、「Facebook」「Instagram」「Threads」「X」「Snapchat」「YouTube」「Reddit」「Kick」「Twitch」が含まれる。一方、人気ゲームプラットフォーム「Discord」のほか、「Messenger Kids」「WhatsApp」「Pinterest」「Kids Helpline」「Google Classroom」「YouTube Kids」は対象外となる。OpenAI「ChatGPT」や「Sora」、Googleの「Gemini」といったAIチャットボットも禁止対象には含まれない。

 オーストラリアは、この種の年齢制限によるソーシャルメディア禁止令を導入する最初の国となる。中国、ロシア、北朝鮮、イラン、トルコ、ウガンダ、サウジアラビア、インドなど、他のいくつかの国でも全面的または部分的なソーシャルメディアの禁止措置が取られているが、これらは通常、政治的または治安上の理由によるものだ。

 デンマーク、フランス、ノルウェー、マレーシアなど他の国々も、オーストラリアと同様の禁止措置を検討しており、今後数カ月にわたってオーストラリアでの禁止令の効果を注視することになるだろう。

 ソーシャルメディアの利用が子供に与える心理的・感情的な影響については、世界中で多くの研究が行われているが、オーストラリアでの禁止令のきっかけとなったのは、米国の心理学者Jonathan Haidt氏の著書「The Anxious Generation」だった。南オーストラリア州首相Peter Malinauskas氏の妻であるAnnabel West氏が、2024年にHaidt氏の本を読み、夫に禁止措置を検討するよう促したという。

テクノロジー企業は順守必須、さもなくば……

 アプリは顔や声の分析などの年齢確認技術を利用して、ユーザーが少なくとも16歳以上であることを確認できる。また、ソーシャルメディア企業は、アカウントがどれくらいの期間アクティブであるかを確認したり、言葉遣いやコミュニティへの参加状況から年齢を推測したりできる。

 しかし子供は子供であり、抜け道を見つけるものだ。母親の顔写真をかざして年齢確認を欺いた13歳の例などがすでにある。オーストラリア政府は、子供たちが身分証明書の偽造やAIツール、VPNを使って年齢や位置情報を偽るのを防ぐとしている。

 法律にある通り、テクノロジー企業が16歳未満の利用禁止を徹底できない場合、最大4950万豪ドル(約51億円)の罰金を科されることになる。

 Digital Freedom Projectの支援を受けた2人の15歳のオーストラリア人が、このソーシャルメディア禁止令に異議を唱えており、早ければ2026年2月にも同国の高等裁判所で審理が行われる可能性がある。2人は、この禁止令が「13歳から15歳のソーシャルメディア上の交流における、かなりの範囲の表現の自由と関わりを犠牲にすることになる(個人的および公的な事柄に関するコミュニケーションや、そうした交流が若者にもたらす利益を含む)」と主張している。

 TikTokは新しい法律を順守すると述べたものの、この制限が顧客を「動揺させる可能性がある」と指摘している。FacebookやInstagramを所有するMetaは、すでに16歳未満のユーザーのアカウント削除を開始した。Snapchatは、約50万人のオーストラリアの子供たちのアカウントを停止する準備を進めている。当然のことながら、「X」を保有するElon Musk氏はこの法律を批判しており、「すべてのオーストラリア人によるインターネットアクセスを管理するためのバックドアのようだ」と2024年に投稿している。

禁止を称賛する声も

 「インターネットを子供や家族にとってより安全なものにする」ことを使命とする非営利団体Enough is Enoughのプレジデント兼CEO、Donna Rice Hughes氏は、オーストラリアが「ソーシャルメディアの害から子供を守るために、積極的にムチのアプローチを取っている」と称賛した。

 1992年に設立されたEnough is Enoughは、使いすぎ、セクスティング、オンライン上の搾取、いじめ、うつ病など、ソーシャルメディアが子供にもたらす無数の落とし穴を列挙している。複数のインターネットの安全のためのガイドや、ソーシャルメディアアプリの安全な設定に関する情報も公開している。

 Hughes氏は米CNETに対し、「この禁止令は、ソーシャルメディアやその他のオンラインプラットフォーム、サービスに対し、子供や10代の若者にとって危険な可能性のある製品を市場に急いで投入する前に、設計段階から安全策を組み込む技術やデフォルトのペアレンタルコントロールツールを積極的に導入するインセンティブになるはずだ」と語った。

 さらにHughes氏は、オーストラリアなどの政府の介入を招いたのはビッグテック自体の責任だとした。

 「企業らは最初から、われわれの子供たちに対して正しいことをしてこなかった」と同氏は言う。「利益よりも子供の安全を優先させる自主的な取り組みを業界に求めるというアメのアプローチは機能しなかった。歴史的な現実として、米国や海外で最初に成功したソーシャルメディアプラットフォームであるFacebookやMyspaceはもともと、大学生やそれより年齢の高い層向けに開発されたものだった」

 米国にはオーストラリアのような包括的な年齢制限はないが、12の州が10代の若者のソーシャルメディアへのアクセスを規制・制限する法律の制定に取り組んでいる。

この記事は海外Ziff Davis発の記事を4Xが日本向けに編集したものです。

Amazonで開催中のセールを見る
Kindle本の売れ筋ランキング(Amazon)

Amazonのアソシエイトとして、CNET Japanは適格販売により収入を得ています。