多くの国で女性の睡眠時間が長い中、日本は男性の方が長く寝ている珍しい国です。これは女性への負担のしわ寄せなのでしょうか?
今回は、伝説の統計サイト「社会実情データ図録」の管理人である本川裕さんの著書『統計で問い直すはずれ値だらけの日本人』(星海社新書)を一部抜粋してご紹介いたします。
識者の一般的な見解とは逆に、「女性の方が生活ストレスから逃れられている」と考える新しい視点を提示。日本人の睡眠の常識を覆します。
OECDが整理している各国の睡眠時間のランキングを低い方から図2-4-1に示した。対象国はOECD諸国に加えて参照国としてインド、中国、南アフリカが取り上げられている。日本やEUの生活時間調査によれば一般に睡眠時間は高齢者ほど長くなる傾向があり、そこから生じる高齢化の比率によるバイアスを除くため、ここでは高齢者を除いた成人の睡眠時間を比較している。
各国の睡眠時間はけっこう差がある。最も良く眠る南アフリカ人(9時間13分)と最も眠らない日本人(7時間24分)の間には2時間近い差があるのである。G7諸国だけをとっても米国(8時間51分)と日本とではかなりの差がある。
図を見ればはっきりしているように日本人は韓国人とともに最も眠らない部類に属する。
これに対して、識者はふつう睡眠不足と断じ、働きすぎや通勤時間の長さ、長すぎるスマホ利用がその要因だとする場合がほとんどである。しかし、ここでは寝なくて済んでいるという側面を強調したい。
日本人は多忙なので睡眠時間が少ないという見方が普通なのであるが、そうだとすると日本人と同じように多忙国民と見なされる米国人が南アフリカ人、中国人に次いで睡眠時間が長くなっている点について説明がつかない。
こうした国際比較からは、日本人は忙しいように見えて、実は起きているときにそれほどテンションが高くない時間の過ごし方をしているので睡眠がそれほど必要ないが、米国や中国などは起床時のテンションが高いために、夜は疲れて長く寝る必要があると考えた方が合理的である。
