「母に可愛がられていた兄は何もせず、介護はすべて妹の自分」     
「結局男の子のほうがかわいいんだよね」     
「病院に送迎とか世話をするときには『やっぱり娘がいいのよ』って私を頼る。兄にはお金を渡したりしてるのに……」

これらはライターの佐々木美和さんによるFRaUwebの連載「きょうだい格差」に寄せられた言葉だ。小さいころからお兄さんが可愛いがられてきたのに、介護や面倒をみるのを妹の私に母が頼む、という佐々木さんの体験からスタートした連載には、共感の声が多数寄せられている。

映画『兄を持ち運べるサイズに』はまさにこんな「きょうだい格差」が題材となっている作品だ。原作は、作家の村井理子さんのノンフィクションエッセイ『兄の終い』。村井さんが数年疎遠だった兄の突然の訃報を受け、後始末に奔走する4日間を綴ったものだ。映画にしたのは、『湯を沸かすほどの熱い愛』や『浅田家!』で国内外から評価の高い中野量太監督。

作家として著作も出し、経済力もあり、夫と子ども2人と暮らすしっかりものの理子ばかりがやっかいなことを任されてきたのは事実。しかし、長い間、連絡も取っておらず、迷惑な存在でしかなかった兄の死をきっかけに新たな時間が動き出し、見えなかったものも見えてくる。

本作で、主人公の理子を演じるのは柴咲コウさん。離婚後一緒に暮らしていた息子を置いて天国に旅立ってしまった「兄」をオダギリジョーさん、「兄」の元妻で、長女と暮らす加奈子を満島ひかりさんが演じている。

映画公開にむけ、柴咲さんと満島さんの対談が実現。ふたりがこの作品に出演して抱いた思いとは――。

共演がうれしかった

実は1997年と98年とデビューが近いふたり。大河や朝ドラはじめ、連ドラでも映画でも主演作・出演作がつづくふたりだが、柴咲さんによれば、「満島さんとは『少林少女』『食堂かたつむり』に続き、共演は3回目になるのかな」とのこと。しかし、今回はこれまでになく、「がっつりと一緒にお芝居をした」共演だった。

満島ひかり(以下、満島):何度か作品を共にしているキャスティング方から、ある日、「柴咲コウさんとの共演なのですが」と電話があったんです。「素敵ですね、どんなお話ですか」と答えたらすぐに脚本を送ってくださって。それがとてもいい脚本で、たくさん笑って泣きました。

柴咲コウ(以下、柴咲):そうなんだ、うれしいです!

満島:10代の前半でデビューして、しばらくは音楽のグループにいたので(「Folder」)、同じ芸能の世界にいても、ドラマや映画は普通の子供のように見ていたんです。そのころに色んな作品で柴咲さんのことを見ました。学生のころって、自分より少し年上のお姉さんにあこがれたりするじゃないですか。その当時も、作品に映る柴咲さんの、じっとみつめる目の強さが好きで。こうやって同じ作品で時間を共有できたことが、やっぱりうれしかったんです。

柴咲:そんなふうに思ってくれていたなんて、今初めて知りました。

満島:撮影が終わると言葉にできるけど、撮影中は役もあるし恥ずかしくて。子どものころに見ていた方と共演できる機会があるのは最高ですが、なかなか慣れないです。たとえば音楽アーティストの方と同じ空間にいる時なんて、脳内にその方の音楽が流れ出してしまい、これを止める作業がなかなか大変で(笑)。

柴咲:私は結構ドライなので、「あ、本当に生きていたんだ」と思うかな(笑)。