このコレクション全体に表現されているのは、フェルトカンプの世界中を飛び回る人生の旅。インドネシアの装飾的なモチーフや色使い、ゆったりとしたアジアのシルエット、そして熱狂的なニューヨークのエネルギーが、エレガントな実用性に根ざしたウェアラブルなワードローブのなかに織り込まれている。「マキシマリズムとは言えませんね。ミニマリズム的なシンプルさはありますが、決して冷たくもなく、渋くもない」とラシード。

フェルトカンプの幾重にも重なるビジュアルの世界からインスピレーションを得たルックには、しっかりとした構造とエフォートレスなシルエットのバランスが際立つ。コクーンコートにリバーシブルのアウター、羽のように軽いピージャケットは上質なダブルウールで仕立てられており、その柔らかな表情が印象的だ。マンゴスチンの形をしたファスナーは、アーティストのルーツである東南アジアにちなんだもので、ドット、グリッド、チェックといったグラフィカルなパターンは、リラックスしたテーラリングにアクセントを加えている。メンズウェアはボリュームと軽さが特徴で、旅行にも使えるコートから、シルクとカシミヤで仕立てられた適度なゆとりのあるスーツまで、そのラインナップは幅広い。

Image may contain Orlando Gibbons Art Collage Painting Person Face and Head

Photo: Courtesy of Retori

Image may contain Cai Lun Art Painting Face Head Person and Collage

Photo: Courtesy of Retori

プレゼンテーションでは、コレクションのムードとカラーパレットの試金石となったフェルトカンプのオリジナルアート作品が2点展示された。「この2点はアーティストから譲り受けたものです」とラシード。毎シーズン、彼女は才能あるアーティストから、“章”のスピリットをとらえた作品を購入し、キュレーションしている。作品のなかには、新たに依頼したものもあれば、偶然見つけたものもあるという。

しかし、「単にコレクションしているわけではありません」と彼女は付け加える。「私たちはイベントを主催し、アーティストの展覧会をサポートするだけでなく、私たちとともに成長できるようなプラットフォームを作っています。お互いの協力があってこそ成り立つものですが、その過程で私たちは小さな、そして隅々まで考え抜かれたアートコレクションを構築しています。“動くギャラリー”のようなものだと言えるかもしれません」