リーグ終盤8試合でわずか1得点という厳しい現実に直面した浦和レッズ。その背景にある戦術的課題や選手間の連携不足について、元日本代表FWで、浦和レッズの9番を背負った永井雄一郎氏が徹底分析。今季を振り返りながら、攻撃力低下の要因と来季への課題を語った。(interview by 河合貴子)

終盤8試合でわずか1得点という現実

河合:まず鹿島戦から振り返って頂きたいのですが、8試合で1得点と、やはり課題は攻撃面にあると思いますが。

永井:鹿島戦について言えば、全体を通して前向きなアクションも多く、試合のテンポも良かったです。ただ、序盤のミスから試合が難しくなってしまった印象でした。あの失点で試合の流れが崩れてしまったのは残念でした。0-0の状態で進められていれば、もっと違った展開になったかもしれません。しかし、時間帯の関係で自分たちが追いかける立場になり、非常に難しいゲームになりました。

続く、清水戦は、スコアは0-0でした。この試合は決定機を決めきれなかったことが大きいです。まず、ゴール期待値は浦和が4.35、清水が0.72と大きな差がありました。浦和のシュートは24本、そのうち枠内が14本。それでも決まらなかったのは、決定力の問題が顕著でした。攻撃面では多様なアイデアや形が見られて内容は良かったものの、決めきれなければ結果には繋がらないですね。次のヴェルディ戦も0-0。ボールを持たれる展開になり、評価が難しい試合でした。決定機はあったものの、やはり決められずに終わりました。

神戸戦は、マリノスや広島と比較しやすい試合だったと思います。神戸戦では意図的に前へ配球し、根本選手が縦パスをしっかり入れられていました。プレッシャーがあっても前向きにボールを持ち、背後を狙うアクションも多く、スピード感ある攻撃が見られました。ただ、ゴール前の精度には課題がありました。それでも神戸の守備陣を後ろ向きにさせるような展開を作れたのは良かった点です。セットプレーからイサーク・キーセ・テリンが決めたこともあり、流れを引き寄せた試合でした。相手が繋ごうとする中、前向きな守備で高い位置で奪い、敵陣でサッカーができたことが良かったです。

しかしマリノス戦では、相手のモチベーションが非常に高く、前からのプレスに苦しみました。神戸戦のように長いボールで前線に起点を作ろうとしたものの、前からの圧力で自由にできず、後ろに下げさせられる展開になって蹴らされてしまった。そのため縦パスの精度も落ち、思うようにスピードアップできませんでした。安全にボールを運ぼうとする意識が強くなり、敵陣でのプレーができなくなりました。前を向いたタイミングでも下げてしまい、結果的に守備陣に整える時間を与えてしまいました。マリノスの守備を後ろ向きにさせる展開が作れず、結果的に根本選手のミスからの失点に繋がったと思います。ジャッジの部分でも浦和にとっては不運な所もありましたね。町田戦もスコアレスドロー。大きなミスはありませんでしたが、お互いに決定機が少なく、全体的に精度が低い試合でした。町田のミスにも助けられた部分があるかもしれません。

広島戦は、広島の前からのプレスやマンツーマン守備に対して、裏を狙って長いボールを入れたものの、逆に相手の得意な形に持ち込まれてしまいました。広島は縦への速さがあり、縦パス一本で一気に前進される場面も多く、そこでの推進力の差が出たと思います。浦和はボールを保持して押し込んでからプレーするスタイルを取っていましたが、スピードアップができず、守備を整えられてしまう展開に陥っていました。

河合:個人的には、あの試合が今季のターニングポイントだったんじゃないかと思っています。もし勝てていたら、状況が大きく変わったかもしれません。鹿島が粘って勝ち点3を奪った一方で、浦和が引いてしまったことにも疑問を感じました。後半の運動量が落ちてしまったこともありますが、前半のようなプレーを続けられていれば……。ゾーン3での問題も解決しきれず、もし鹿島に勝っていたら、「今のままでいいんだ」という方向性をチームに示せたのではないかという思いもあります。

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