海上での戦闘
この戦争の初期、ウクライナ軍情報局(GUR)は、黒海でロシアの軍艦の攻撃に対抗するために、海上無人機を配備した。
ウクライナの海上無人機がロシアの黒海艦隊に対し、連続して攻撃が成果を出した後、ロシア政府はヘリコプターや戦闘機による航空パトロールを増強している。
GURの保有する海上無人艇のマグラ(Magura)は、爆薬が搭載され、目標に体当たりして爆発する攻撃用の無人機であるが、長い間、上空からの攻撃に対する十分な防護策がなかった。GURは、上空を飛ぶ哨戒機を見つけ出して撃ち落とす方法を求めていたため、プレデターの導入をUGVロボティクスに相談してきたと同社のCEOは話している。
小型の無人車両に搭載されたプレデター。Courtesy of UGV Robotics.
プレデターを搭載した海上無人艇のマグラは、2024年12月に初めて戦闘に投入された。プレデターは攻撃する相手を見つけて追跡し、味方が正確に攻撃できるようにするために使われており、周囲の別の海上無人機が地対空ミサイルでロシアのヘリコプター2機を撃墜するのを支援した。
これは、海上無人艇が航空機を撃って命中させた初めての事例だ。その後、数カ月にわたって、プレデターは黒海で定期的に使用され、2025年5月にはロシアのスホーイSu-30(Sukhoi Su-30)戦闘機の撃墜も支援した。
「UGVロボティクスの技術者にとって、プレデターを水上で正常に動作させること非常に難しい課題だった」と同社のCEOは話している。単に安定しているだけでは不十分であり、海上無人機に搭載でき、さらに過酷な天候でも問題なく動くことが求められていたからだ。
新たなミッション
海上無人艇用に開発されたプレデターのシステムは、現在は小型FPV無人機を相手にした試験も行われている。プレデターは7.62ミリ弾を発射でき、ジャイロによる安定装置、光学センサー、さらにAI(人工知能)による目標検知機能も備えている。またプレデターは小型無人車両やピックアップトラックの荷台にも搭載できるため、海上での運用と同様に、陸上でも移動しながら目標を攻撃できる。
「プレデターには完全自律で動くための技術はすべて備わっている。しかし、誤射を避けるため、操作には人間が関わるようにしている」と同CEOは説明する。この砲塔は無人機が存在することをオペレーターに知らせ、オペレーターが目標をロックして射撃を開始するかどうかを判断できるようにもなっている。
プレデターは、数十機の無人機を相手に試験が行われている。Courtesy of UGV Robotics
同社のCEOによると、新型のプレデターには、精度を高め、より正確な攻撃を可能にするレーザー測距機が搭載されているという。
このプレデターの試験は、光ファイバーケーブルや無線周波数で操作されるFPV無人機を相手に行われている。UGVロボティクスによると、プレデターは100メートル先にある、直径約18センチほどの目標を正確に狙撃する能力があるという。
「その自動化兵器(プレデター)はまもなくウクライナの前線に配備される予定だ」と同CEOは述べており、さらに彼は、「プレデターは海上で運用できているので、陸上でも十分に機能するはずだ」と付け加えた。
UGVロボティクスは、最終的にはより大型の砲塔であるエイペックス・プレデター(Apex Predator)の開発を目指しているという。エイペックス・プレデターは12.7ミリ弾(50口径弾)を発射でき、より大きな目標に対処できるという。
UGVロボティクスはすでに30基以上のプレデターを製造しており、半年以内に月産約100基の体制を目指している。すべてのプレデターはウクライナ国内で生産されており、ウクライナ軍向けの価格は1基10万ドル(約1550万円)未満になるという。政府が輸出手続きを解禁すれば、輸出時の単価は若干高くなる見込みだ。
同社は、北大西洋条約機構(NATO)が主催した「イノベーション・チャレンジ(Innovation Challenge)」でプレデターを披露した。このイベントは、FPV無人機に対処する解決策を検討する目的でウクライナやアメリカ、ヨーロッパの防衛関連企業を集めて、2025年の初めに開催された。
UGVロボティクスは最近、フランスでNATOが開いたテストデモの場で、プレデターを遠隔操作して実演したとCEOは話している。同社はこの砲塔をNATOに販売することを目指しているが、すでに複数の国から関心が寄せられているという。

ウクライナが迎撃ドローン量産へ…ドローン同士の戦いが本格化 | Business Insider Japan
