はらぺこライターの旅人間です。大阪市中央区、北浜と淀屋橋の中間に「適塾」がある。ここは緒方洪庵が1838年に開いた蘭学塾で、幕末から明治にかけて多くの偉人を輩出したことで知られる場所だ。
そんな歴史あるスポットのすぐそばに、ひっそりと中華料理屋が一軒。ここ「福仙樓」の名物はカレー焼きそば。これが驚くほど安くて旨いのだ。
名物カレー焼きそばを食べに「福仙樓」へ
混雑する時間帯を避けて、平日の13時半ごろに訪問。入り口には赤いカーテンがかかっていて、思わず「今日は休みか…」と勘違いしそうになる。
でもその横には、ちゃんと「営業中」の札。実はこの店、いつもこんな感じなのだ。

店内はサラリーマンが好きそうな昭和の食堂と言った感じ。お洒落の「お」の字もない。おそらく女性より男性が、その中でもオッサン世代が好きそうな雰囲気だ。まったく飾りっけがないが、店主は人柄がよく、手が空くと話しかけてくれる。
店内にメニュー表は見当たらない。入るなり「カレー焼きそば?」「カレーチャーハン?」と聞かれた。ほかのメニューは?と尋ねると、「昼は忙しいからやってないの」とのこと。昼時はこの2品が主役らしい。

とりあえず、評判の「カレー焼きそば」を注文してみた。

見た目だけで言うなら、まさに「スープパスタ」ならぬ“スープ焼きそば”。焼きそばという枠組みを超えて、カレースープたっぷりの中に麺が埋もれている。
具材には豚肉と海老がちらほら、モヤシや玉ねぎも重なって、麺の山の裾にスープがじんわりと広がる感じだ。

店主さんに「スプーンいる?」と聞かれたので、「これはいるだろう…」と思い、即答で頷いた。器からあふれんばかりのスープだ。
一口飲んでみると、これがアッサリしているが、コクがあって、中華風な旨味も重なって想像していたより遥かに美味しい。思わず「こう来たか」と呟きたくなる。麺が柔らかめなのも特徴だろう。
ところで、どうしてカレーなのか?
実は、少彦名神社のある道修町は「くすりの町」として知られている。家庭料理でおなじみのカレー粉も薬種問屋から生まれた。
1905年、道修町の薬種問屋・大和屋(現・ハチ食品)が日本で初めて国産カレー粉を製造・販売。ここは国産カレー粉の発祥の地だ。その後、ハウス食品が1963年に「バーモントカレー」を発売し、マイルドな家庭の味として一気に大衆化した。
もちろん、カレー自体は海外由来だが、現在のような国民食にしたのは、まさにこの地域あってこそなのである。

この北浜界隈にはカレー屋さんが多い。もちろん、日本各地それぞれ“カレー店”はあって、特にこのあたりが突出しているわけではない。
ただ、薬問屋の時代からカレーに関係していそうな店はないか?と、ずっと調べていたが、直接的な回答を得ることはできなかった。

ところが、この店、福仙樓の店主さんは、私がそんなことを話すと笑って「もちろん、関係あるよ」と言った。詳しい話までは聞けなかったが、創業は昭和25年(1950年)で、この地でずっと営業を続けてきたのだという。
道修町の周辺にある「カレー屋さん」ばかりチェックしてたが、まさか中華料理店で見つかるとは…。

ちなみに、カレー焼きそばの値段は530円。安い。
私はYahoo!ニュースで記事を書くとき、できるだけ金額を表記しないようにしている。
この物価高のご時世、やむなく値段を見直さなければならない店も多い。それは店個人の努力の問題ではなく、政治の問題だと思っている。だからこそ、値段を記事に書くことで迷惑をかけるのが申し訳ないのだ。
けれど、今回は入れたいと思った。店主に「値段を記事に入れていいですか?」と聞くと、「いいよ。庶民の味方だから」と笑ってくれた。私個人的には、この店がいつまでも長く残るためには、値段を見直した方が良いと感じている。それにしても安い。
いろいろと変わりゆく世の中で、「変わらない美」を感じる店。一度行っただけで、すっかりファンになってしまった。
北京料理 福仙樓
住所:大阪市中央区北浜3丁目3−11
電話番号:06-6231-0019
営業時間:11:00~22:00
(土曜は14:00まで)
定休日:日曜
地図(外部リンク)
<最後に…>
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