28日の外国為替市場でユーロが対ドルで下落、2カ月余りで最大の下げ幅を記録した。欧州連合(EU)と米国の通商合意を巡る楽観は短命に終わり、依然として高水準の関税が経済に及ぼす影響が懸念された。

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  ユーロは対ドルで一時1.2%安の1.1600ドルと、5月12日以来の大幅安で、主要10通貨(G10)のうち最もきつい下げ。ドルはG10の全てに対して3日続伸している。

  数カ月の交渉に末に米国と欧州連合(EU)との間で貿易合意が成立するとの見通しから、ユーロは先週、3年ぶりの高値付近まで上昇した。だが、EUの歴史上最も高い水準に関税が引き上げられることに今や注意は移り、EU経済にどれほどの逆風が及ぶのかが懸念されている。

  金融アドバイザリー企業デビア・グループのナイジェル・グリーン最高経営責任者(CEO)は「欧州は最悪の事態を回避したものの、不均衡でリスクの高い協定に縛られることになり、明確な出口もない」と述べ、「米国は交渉力のすべてを持ち出してきた」と続けた。

Euro Declines Following Long-Awaited Trade Deal | The EU faces 15% tariffs on most of its exports to US

 

 

  フォンデアライエン欧州委員長が米国との貿易黒字を均衡させる目的と説明する今回の合意により、EUが米国からの輸入品に対して課すよりも、はるかに高い関税にEUからの輸出品は直面することになる。これがインフレリスクを抑え、将来の金融緩和見通しは後退すると考えれば、この合意はドルにとって前向きな材料だ。

  パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の試算によれば、この貿易合意でEUの成長率はほぼ1ポイント押し下げられ、向こう数四半期はゼロ成長にとどまる公算が大きい。ただ、通商政策の不確実性が企業行動に及ぼす影響を測定するのは難しいと、PIMCOのエコノミストでソブリンクレジットのアナリストを務めるニコラ・マイ氏は指摘。

  「今後の減速度合いと予想される政策対応を見極めるため、データへの注視を続ける」とマイ氏は述べた。

原題:Euro Drops the Most in Six Weeks as Reality of Tariffs Sinks In(抜粋)

(相場を更新し、情報を加えます)

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