料理のスタイルは、島の食材を、メンバーの出身地や修業した各地で学んだ技術でおいしく調理すること。「ルーツ」という名前には、イタリア、スペイン、オランダ出身など、ヨーロッパ各地にルーツを持つメンバーが、この島で根をはって生きていくことで、この島の文化とそのルーツが混ざり合って生まれた新しい文化を、自分たちの「未来のルーツ」にしてゆこうという思いが込められている。
メンバーたちが出会ったペルーと、このフィリピンには、メキシコを経由した海のシルクロードで昔からつながりがあり、例えばセビーチェにそっくりの「キニラウ」という生魚の料理があるなど、食文化にも共通点がある。そんな文化の共通項も紹介しようと、ルーツでは、島で獲れた「オヨンオヨン(スズキの仲間)」を、ペルーで学んだセビーチェのタイガーミルクのレシピをキニラウ風にアレンジして提供。その上には、スペイン出身のメンバーが、ヒカマと呼ばれる根菜をおやつ代わりに食べていたことから、そのヒカマのスライスを乗せるなどして「私たちのセビーチェ」という料理名で提供したりしている。

「カルパッチョ」緑の小さい豆状のものがピピーナ。
また、ピピーナと呼ばれる、地元では食べられてこなかった小さな野生のきゅうりを魚のカルパッチョに使ったりと、地元の食材の魅力に光をあて、多様な食材がテーブルに乗ることで、生物多様性を守ることにもつながる食を提案している。
「ルーツ」が生み出す未来と、食文化の発信
ルーツは今年9月に2周年を迎えるが、早くも英国・アジア各国に展開するライフスタイル誌『Tatler』が主催するレストランのアワード「Tatler Best」にフィリピンを代表するレストランの一つとして選ばれるなど、フィリピンを発信源に、徐々に注目が集まりつつある。まだ地元客が中心で、7皿コースを約40ドルという破格値で提供しているが、メンバーが夢見ているのは、いつか「セントラル」のような、ラボを備えたファインダイニングの店としてこの土地の食材や食文化そのものを守り、世界に発信していくこと。
