ドイツ車のうち米国で売れ行きが良好な「アウディQ5」は、トランプ米大統領によって書き換えられる世界貿易の秩序の余波を受け、同国で販売できなくなる恐れがあると、事情に詳しい関係者の話で明らかになった。

  アウディの情報に詳しい同関係者が匿名を条件に述べたところによれば、中型スポーツタイプ多目的車(SUV) のQ5はトランプ氏の関税措置によって3重の打撃を受けている。

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アウディQ5

Photographer: Dimitar Dilkoff/AFP/Getty Images

  まず、米国が輸入する自動車とそれらに含まれる米国製以外の部品に対する25%関税のほか、メキシコからの輸入品にはトランプ大統領が国境警備を理由に課した25%の関税、さらにトランプ大統領が1期目で結んだ「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」に準拠しない場合の2.5%の手数料だ。

  自動車メーカー各社は、具体的なペナルティーについてより詳しい指針を待っているが、アウディはメキシコで生産されるQ5には、この3つがすべて適用され、少なくとも計52.5%の関税が賦課されることを前提にしているという。トランプ大統領は9日、上乗せ関税の大半について90日間停止としたが、自動車業界を対象とした関税措置は維持した。    

  自動車メーカーやサプライヤー向けのコンサルティング会社セラフのアンブローズ・コンロイ最高経営責任者(CEO)は 「Q5は良い車だが、メキシコで生産しているなら米国では販売できないだろう」と述べた。

  アウディは2016年以降、メキシコ・サンホセチアパ工場で100万台以上のQ5を生産している。中型SUVでは米国で最も売れているモデルで、1-3月(第1四半期)に納入した4万2710台のアウディ車の約3分の1を占めている。サンホセチアパ工場は当初から世界への輸出拠点として構想されていたため、アウディはQ5のUSMCAへの適合を優先しなかったと関係者は述べた。

  対応策を見つけるのは簡単ではない。関税の痛手を軽減するために米国に生産を移管したくとも、トランプ大統領の貿易戦争を巡る混乱と不確実性があるとして、アウディの経営陣はためらっている。

  アウディを傘下に収めるフォルクスワーゲン(VW)の広報担当によると、アウディは現在、具体的な関税額が明らかになるまで対象車を米国の港で留め置いている。ただ、米国内のディーラーには関税を免れた自動車在庫が約2カ月分あるという。

原題:Audi’s Top-Selling SUV Said to Be Unsellable in US After Tariffs

(抜粋)