働く人々 かっこいい絵で「しごとのどうぐ」三浦太郎さん(55) たくさんの道具とそれを使う様々な職業の人を、モダンでスタイリッシュに描く。2005年のボローニャ国際絵本原画展入選作品をもとに、現地のイタリアでおよそ20年前に出版された絵本が初めて邦訳された。

「火の鳥」絵本化の思い語る

 のこぎりやかなづち、くぎ。仕事の道具が登場し、<このどうぐ、つかうのは だれ?〉と問いかける。子どもがなぞときとして遊ぶことができる。一方で、20世紀前半の前衛芸術運動「ロシア・アヴァンギャルド」の雰囲気もまとい、アート作品として大人も楽しめるものになっている。

 一つ一つの素材を手書きしたうえで、デジタル技術で合成して制作した。「この時の勢いで描いている。いいもの作ってんなあ」。少しおどけて、自画自賛をする。 1968年、愛知県生まれ。実家は明治時代から続く書店で、本に囲まれて育った。「ずっと絵が好きだった」。大阪芸術大に進学し、版画を専攻した。卒業後は、イラストレーターとして活躍するかたわら、絵本制作を手がけてきた。 自らの子育て経験も反映した2005年の赤ちゃん絵本『くっついた』(こぐま社)が大ヒット。思わずほおずりしたくなる子どもや動物の絵は、広く支持を集めた。その後、数多くの絵本を生み出してきた。 キャリアを積み重ね、「最近は力が抜けて、純粋に絵を描くのが楽しい」。また、今回の絵本をきっかけに、「作っていた当時の気分が戻ってきた」と話す。 「『かわいい』も好きだけど、『かっこいい』もいい。これまでは赤ちゃん絵本にかける時間が長かったけれど、いろいろなものを試みてみたい」 7月には、右からも左からも読めるという仕掛けの絵本が刊行される予定だ。 「描いていて、面白いなと思えるようなものを作っていきたい」。少年のように目を輝かせた。(偕成社、1870円)泉田友紀