太平洋戦争の激戦地・ソロモン諸島で父親を失った福井県敦賀市の中川文雄さん(82)が、昨年秋に初めて現地を訪問した経験を地域住民らに講演している。洋上での慰霊祭に出席するなどして「戦争は二度としてはいけない」との思いを強めており、今後も語り伝えようと考えている。(浜崎春香)
ガダルカナル島沖で営まれた慰霊祭に臨む中川さん(手前)=中川さん提供 陸軍の通信兵だった中川さんの父親は、中川さんが生まれて約10か月後の1942年11月、ソロモン諸島で輸送船に乗っていた際に戦死したという。
それから80年を経た昨年夏頃、中川さんは日本遺族会が戦没者遺児を対象にした慰霊訪問を実施することを知った。行き先の一つはソロモン諸島。「お父さんが過ごしたのはどんなところだろう。年齢を考えると、行けるのは最後かもしれない」
野坂公民館で住民らに講演する中川さん(福井県敦賀市で) 昨年11月中旬の約10日間、他の遺族ら十数人と一緒にソロモン諸島を訪問。日本大使館で保管されている戦没者の遺骨を目の当たりにし、「戦争が終わってまもなく80年がたとうとしているのに、まだ祖国に帰れないのか」と衝撃を受けた。諸国の兵士が眠る共同墓地にも寄り、戦争へのむなしさを覚えた。 父親が亡くなったとされるガダルカナル島沖には船で向かった。洋上で営まれた慰霊祭で、唯一の形見である父の写真を手に誓った。「国のためだと散った若い人たちのためにも、戦争は絶対反対を貫き通したい」 現地で写真約1000枚を撮影しており、帰国後、一部を使って資料を作成。今年2月、敦賀市の野坂公民館で地域住民ら約30人にソロモン諸島での経験を話した。3月下旬には市福祉総合センターで市遺族会などのメンバー約30人に講演。中川さんは「みなさんの子どもや孫に、戦争は絶対にしないことを後ろ姿で訴えてほしい」と語りかけた。 講演を聞いた敦賀市の70歳代女性は「私も生まれてすぐに父が戦死しており、中川さんの話が自分と重なった。悲しい出来事を繰り返してはいけないと改めて強く感じた」と涙ぐんだ。 中川さんは今後も講演を検討しているといい、「戦争反対を訴え続けるためにも、できることをやっていきたい」と力を込める。
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