写真提供 トリトン・アーツ・ネットワーク/(c)大窪道治 2022年ボルドー国際弦楽四重奏コンクール覇者のレオンコロ弦楽四重奏団を聴いた。躍進目覚ましい若手だが、勢いまかせのところは一切ない。自分たちの流儀を追求する職人的な視点と、率直かつ端正なセンスをあわせ持っている。
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チェロ以外が立奏だったこともあり1曲目のウェーベルン「弦楽のための緩徐楽章」でどれほど扇情的に弾きはじめるかと思いきや、予想は良い方向に裏切られた。彼らはもったいぶったり濃厚なポルタメントをかけたりせず、弱音主体のシルキーな質感で音の
綾(あや)
を端然と浮かび上がらせたのである。担当楽器の音域が低くなるに従って頭の位置も低くなる並び方もいい。楽器同士の音質がなめらかに混ざり、和音をなしても凸凹がほとんどないのだ。しかも音高と物理的な高さがリンクするから、視覚的にも聴覚的にもしっくりくる。
そして何より
清々(すがすが)
しいのは、共有したイメージの実現のために、無私の心で取り組んでいるように見えることだ。シューベルト「弦楽四重奏曲第9番」では、第1ヴァイオリンが前のめりに通り抜けたり、息継ぎに小さな間をとったりすれば、他の3人は水も漏らさぬ精度で同期する。ベートーヴェン「ラズモフスキー第1番」では高い技量と機動力で各パートの独立性をつまびらかにし、一斉に音量を増減する時はしかけるところから引き際までぴたりと合わせる。ヴィオラとチェロも出る時は出るが他のパートになじむように重なり、色あいと軽やかさを与える。構成力もありながら不自然に作り込んだ感じもない。
とはいえ隙がなく完璧なだけでは終わらなかった。アンコールのシュルホフ「5つの小品」第1曲で突然、アグレッシヴなエネルギーを爆発させたのである。底が知れないカルテット、まだまだ面白くなりそうだ。(音楽評論家・松平あかね) ――4月27日、東京・勝どきの第一生命ホール。
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