「かに道楽」「日清出前一丁」「バラエティー生活笑百科」など数々のCMソングやテレビ番組のテーマ曲を手がけ、“浪花のモーツァルト”の愛称で親しまれた作曲家のキダ・タロー(本名・木田太良=きだ・たろう)さんが14日、死去した。93歳だった。所属事務所が15日発表した。告別式は近親者で済ませた。喪主は妻でタレントの木田美千代さん。

キダ・タローさん死去…「出前一丁」「アホの坂田」作曲の「浪花のモーツァルト」

 1930年、兵庫県宝塚市生まれ。ラジオから流れたジャズに心酔し、関西学院高等部在学中に仲間とバンドを結成。18歳頃から大阪・ミナミのキャバレーでピアノを弾くようになった。

 30歳代から本格的に作曲に取り組み、人気テレビ番組「プロポーズ大作戦」や「2時のワイドショー」などのテーマ曲、「アサヒペン」「有馬兵衛向陽閣」といったCMソングで知られた。昨年12月に亡くなったコメディアン坂田利夫さんのテーマ曲「アホの坂田」や、企業社歌・校歌も手がけた。晩年まで作曲を続け、作った曲は数千とも1万ともいわれる。 タレントやコメンテーターとしても活躍し、NHKの「バラエティー生活笑百科」や、朝日放送テレビの「探偵!ナイトスクープ」などに出演。気さくな人柄や関西弁のとぼけたコメントで人気を博した。「探偵!ナイトスクープ」に出演するキダ・タローさん(2022年撮影)=朝日放送テレビ提供「探偵!ナイトスクープ」に出演するキダ・タローさん(2022年撮影)=朝日放送テレビ提供 所属事務所によると、3月29日に「最高顧問」を務める「ナイトスクープ」の収録に参加。その後、体調を崩し、大阪府内の自宅で亡くなった。「かに道楽」から「探偵!ナイトスクープ」まで幅広く キダ・タローさんの死去を受け、親交があった関係者からは悼む声が相次いだ。 「探偵!ナイトスクープ」の構成作家などとして、30年以上の付き合いがあった作家の百田尚樹さんは「キダさんに時折むちゃを言ってもらうような台本でも、意図をすぐにくみ取ってくれた」と振り返る。最後に会ったのは昨年秋頃だったといい、「上岡龍太郎さんに続いてお世話になった先輩方が亡くなられて寂しい」と話した。 キダさんが「俺が育てた」と語っていたシンガー・ソングライターの円広志さんは15日、ユーチューブでキダさんを追悼する動画を配信。「長い間、お世話になりました。ありがとうございました。そして、お疲れ様でした」とのコメントを添え、キダさんが「プロポーズ大作戦」など自身の曲をピアノで弾く映像を投稿した。 多くの歌謡曲やCMソングをともに手がけた作詞家のもず唱平さんは、歌詞をキダさんに見せると「この人物の名前は何? 職業は? 現住所は?」と笑いながら聞かれたという。「そこまで真剣に歌作りを考える人だった。歌謡曲の世界では、大阪の看板やったなと思う」としのんだ。