経済安全保障分野の重要情報に触れる資格者について、政府が認定を行う「セキュリティー・クリアランス(適性評価)制度」を創設するための新法が10日、成立した。情報の保全体制を国際標準に整え、日本企業の国際的なビジネス機会を広げて産業競争力を強化する狙いがある。国会議事堂国会議事堂 新法の名称は「重要経済安保情報保護・活用法」で、参院本会議の採決では自民、公明両党や立憲民主党、日本維新の会、国民民主党などが賛成した。

 新法は、漏えいすると安全保障に支障が生じる情報を「重要経済安保情報」に指定し、保全を図ることが柱だ。内閣府に新設される調査機関が政府職員や民間人に対し、犯罪歴や家族の国籍など7項目の身辺調査を行い、問題がない人に限って情報を取り扱える資格を与える。調査には対象者の同意が必要となる。 調査で得られる個人情報は目的外での利用を禁じる。政府は今後、有識者の意見を聞いたうえで制度の運用基準を定め、禁止行為を明示する。 重要経済安保情報への指定が想定されているのは、サイバー攻撃に対する防御策や半導体のような先端技術のサプライチェーン(供給網)などに関する情報だ。指定の有効期間は5年間で、通算30年間まで更新できる。内閣の承認を得れば、さらに延長することも可能だ。指定の範囲についても、今後、運用基準で明確化する。 情報の漏えいには5年以下の拘禁刑か500万円以下の罰金、またはその両方を科す。
 政府の
恣意(しい)
的な運用を防ぎ、制度の透明性を確保するため、国会に定期的に運用状況を報告することや、報道や取材の自由に十分に配慮することも定めた。
 日本の機密保全は、2014年に施行された特定秘密保護法で防衛、外交、スパイ防止、テロ防止の4分野が対象となっており、これまで先進7か国(G7)で唯一、経済安保情報を保護し、取り扱える人を認定する制度がなかった。政府は欧米各国と足並みをそろえ、他国との情報共有や日本企業による国際共同開発計画への参加などにつなげたい考えだ。