人事院の有識者会議「人事行政諮問会議」(座長・森田朗東大名誉教授)は9日、国家公務員の人材確保策に関する中間報告をまとめた。若者のキャリア意識の変化に応じた能力・実績主義の徹底や長時間労働の改善などを明記した。年内に最終報告をまとめる予定で、人事院は今夏以降の勧告に反映させる方針だ。森田朗座長(左)から中間報告を受け取る人事院の川本裕子総裁(9日)森田朗座長(左)から中間報告を受け取る人事院の川本裕子総裁(9日) 中間報告は、採用試験申込者数の減少や若年層離職者の増加により、国家公務員の人材確保は「危機的な状況にある」と強い懸念を示し、「(公務を支える人材が質と量の両面で不足することで)国民の安全な生活に支障を来し、国家の衰退につながりかねない」と強調した。「対症療法的な方策では対処できない段階にきている」とも指摘し、抜本的な対応を求めた。

 若者のキャリア意識も変わり、就職活動時から転職を選択肢に考えているとし、「自身の市場価値向上の観点から、仕事を通じて成長できる環境があるかを重視する」と分析し、人材確保に向けては、能力・実績主義を徹底し、「脱年功序列」の動きを強めるよう提言した。人事制度を改善し、採用年次に関係なく、能力の高い職員の重要ポストへの登用や、職務内容で報酬を定める仕組みを拡大することなども盛り込んだ。 長時間労働の改善を巡っては、デジタル化の推進などによる業務効率化や業務量に応じた柔軟な人員配置に努めるべきだとし、ワーク・ライフ・バランスの確保が人材確保において「極めて重要」と指摘した。 若年層が仕事にやりがいを持って意欲的に働くため、新たに「行動規範」を策定し、国家公務員が果たすべき役割などを明確化することも訴えた。若年層が希望する業務に挑戦できる環境を整備するなど、自律的なキャリア開発と成長支援の必要性も掲げた。 9日に森田座長から中間報告を受け取った人事院の川本裕子総裁は「国家公務員の人材確保の危機的状況は一刻も早く脱しなければいけない。聖域なく、大胆に抜本的な改革を実行する必要がある」と強調した。