隣接する神戸市と兵庫県明石市が連携を強化している。前明石市長の在任中は対立が目立っていたが、昨年5月に市長が交代し、神戸市長と急接近。神戸マラソンのコースが明石まで延伸される見通しになるなど、両者にとってメリットが生まれている。(神戸総局 阿部健、増田博一)阪神大震災30年の節目
神戸市役所前から一斉にスタートする神戸マラソンのランナー(昨年11月19日、神戸市中央区で) 毎年11月に行われ、2万人のランナーが参加する神戸マラソンのコース延伸は、3月27日の実行委員会の総会で固まった。日本陸上競技連盟の公認を得て正式に決まる見通しだ。
神戸市垂水区西舞子の折り返し地点を、来年から2キロ西にある明石市の大蔵海岸に移し、ゴールの場所も変更する。延伸区間は海に面し、明石海峡大橋を一望できるため、コースの魅力を高められ、両市のにぎわいにつながると期待される。阪神大震災から30年の節目の大会の目玉となる。 コース延伸は、神戸市の久元喜造市長が昨年11月に明石市の丸谷聡子市長に持ちかけ、了承を得たという。神戸市などでつくる実行委はその半年以上前からコース変更を検討していたが、事務局の担当者は「神戸市境を越えることは全く想定していなかった」と語る。久元氏は「市長が交代し、率直に意見交換できるようになった」と説明。丸谷氏も「明石市の宝である大蔵海岸の魅力を知ってもらえる」と歓迎した。明石市は人口増加 両市はこれまで、子育て支援策を巡って摩擦が生じていた。 明石市の泉房穂前市長は、高校生までの医療費や中学校給食を無料化し、市外からの子育て世帯の転入を促進。神戸市は医療費を無料としているのは3歳未満までで、高校生までは助成制度を設けている。中学校給食は半額の負担を保護者に求めている。 明石市の人口は昨年までの12年間で約1万5000人増えて30万人を突破し、増加分の約4割が神戸市からだった。神戸市は同じ期間で約4万5000人減って150万人を切った。 泉氏はSNSで「神戸市は子どもに冷たい政治を続けている」などと久元氏を批判。久元氏は記者会見で「自治体間で住民を奪い合っても人口減対策にならない」と反論していた。現在の両市長は意気投合
生物多様性を守る協定を結んだ久元神戸市長(右)と丸谷明石市長(昨年9月、神戸市役所で)=伊藤大輔撮影 神戸市から明石市への人口流出は続いているが、他の分野での協力は強まっている。きっかけは、泉氏が後継とした元明石市議の丸谷氏が昨年5月に就任したことだ。 昨年8月、久元氏への就任あいさつで神戸市役所を訪れた際、生物多様性を守る活動の必要性で意気投合。翌月には、両市にまたがる河川で外来種の駆除などに取り組む協定に調印した。 道路整備も動き出した。神戸市西区の第二神明道路・玉津インターチェンジから明石市西部に通じる神戸市道について、神戸市は今年度当初予算に設計費などとして4500万円を計上。明石市が約10年間、神戸市に整備を要望しながら、着手されていなかった道路だ。 久元氏は先月26日の記者会見で、「トップが代わることで(両市の)関係が変わることはあり得る」と強調。丸谷氏は「泉氏からは『好きにすればいい』と言われている。一つの市の力だけで何でもできる時代ではなく、一緒に力を合わせてよりよい社会をつくりたい」と述べた。
河村和徳・東北大准教授(政治学)の話
「行政サービスの質は自治体同士で競い合うことで向上するが、過度な競争でいがみ合い、都市圏全体の発展につながる施策が停滞するのはマイナスだ。神戸マラソンのコース変更のように双方にプラスになる協力を自治体間で広げていくべきだ」
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