「デジタルツイン」技術で再現した永平寺の仏殿=永平寺・清水建設提供「デジタルツイン」技術で再現した永平寺の仏殿=永平寺・清水建設提供

 曹洞宗大本山永平寺(福井県永平寺町)の仏殿や法堂など
伽藍(がらん)
内の重要文化財・全19棟が「デジタルツイン」技術によって仮想空間上に精密に再現された。ゼネコン大手の清水建設が協力し、骨組み一本一本の構造まで可視化。火災や地震で被災した際の早期再建などに役立つ。文化庁の担当者は「これだけの規模で重文をデータ化した事例は聞いたことがない」としている。
 永平寺は鎌倉時代、道元によって座禅修行の場として開かれ、今も大小70棟余りの建物が残る。このうち重文19棟について、清水建設と永平寺が昨年7~9月に測量作業を実施。上下左右に360度回転する特殊なスキャナーを使って毎秒100万回以上、レーザーを照射し、3次元空間上の「点」の集合体として、建物の構造を把握した。「デジタルツイン」技術で再現した永平寺の山門=永平寺・清水建設提供「デジタルツイン」技術で再現した永平寺の山門=永平寺・清水建設提供 その上で、外観や内部をコンピューターグラフィックス(CG)で再現。あらゆる方向、角度から建物を見られるようにし、内部を「透視」するように断面を表示する機能も持たせた。
 永平寺は約800年前の開創以来、8回の火災に遭い、重文19棟は、江戸前期から昭和前期に再建された。寺施設の管理を担当する石田純道・
直歳(しっすい)
は「修行の場である建物群の姿を後世に引き継ぐことが我々の使命。万が一焼損しても、従来より早く再建できる」と意義を強調する。
 CGは、仏像や装飾品なども忠実に再現しており、永平寺は今後、オンラインで境内を巡る「バーチャル参拝」への応用も検討する。◆デジタルツイン
=人体や建物などの計測データをデジタル空間に取り込み、現実世界とそっくりな「双子(ツイン)」として再現する技術。防災、医療など幅広い分野で実用化や研究開発が進んでいる。

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