対イラン戦争ではイスラエルと共闘、一方でサウジには直接介入せず――二つの戦場を分けた理由

福山 隆

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2026.10.13(火)

ホワイトハウスで会談するMBSとトランプ大統領(2025年11月18日、写真:UPI/アフロ)

100機の戦闘機を投入、その5日後に首都の空港が攻撃された

 10月10日、サウジアラビアの首都リヤドにあるキング・ハリド国際空港が、イエメンの親イラン武装組織フーシ派によるミサイル攻撃を受けた。

 ロイター通信によると、攻撃によって13人が死亡し、300人以上が負傷した。翌11日にも空港が攻撃され、被害が拡大した。

 そのわずか5日前、10月5日には、サウジアラビア主導の連合軍が、約100機の戦闘機を投入してイエメン政府側部隊の反攻を支援していると発表していた。

 イエメン政府側部隊は、紅海とアデン湾を結ぶバブ・エル・マンデブ海峡周辺のドゥバブなどの要地を奪還したと発表した。

 つまり、サウジが海上交通の生命線を守るために始めた反攻は、首都の民間空港まで巻き込む戦闘へと拡大したのである。

 ここで注目したいのは、その約1カ月前、サウジアラビアの事実上の最高指導者ムハンマド・ビン・サルマン皇太子(MBS)が、まさにこのフーシ派を攻撃してほしいと米国に求めていたことである。

 9月10日、MBSはドナルド・トランプ米大統領と少なくとも2度電話で協議した。

 フーシ派がイエメン西岸で勢力を拡大し、バブ・エル・マンデブ海峡への脅威を急速に強めていたためである。

 MBSは米軍によるフーシ派への攻撃を求めた。

 しかし、トランプ氏は米軍によるフーシ派への直接攻撃には応じなかった。

 米国はサウジ側に情報を提供し、攻撃目標の選定も支援した。米当局者によれば、約200人の米軍要員がサウジ国内で非戦闘支援に当たっていた。

 つまり、トランプ氏はMBSを見捨てたわけではない。

 しかし、「米軍が代わりに戦う」ことには明確に線を引いたのである。

 そして約1カ月後、サウジ主導連合は戦闘機を大規模投入し、イエメン政府側部隊を前面に立たせて反攻に踏み切った。

 この変化には、現在の米国とサウジアラビアの関係を考えるうえで重要な意味がある。

ホルムズが詰まり、もう一つの「出口」が生命線に

 なぜサウジは、バブ・エル・マンデブ海峡をそこまで重視するのか。

 背景には、イラン戦争によってホルムズ海峡の利用が大きく制約されているという現実がある。

 サウジはペルシャ湾側の油田地帯から紅海沿岸のヤンブーまで原油を運ぶ東西パイプラインを持つ。ホルムズ海峡を迂回できる重要な輸送路であり、現在、その戦略的価値はかつてなく高まっている。

 ところが、ヤンブーから紅海を南下してインド洋方面へ出るには、今度はバブ・エル・マンデブ海峡を通らなければならない。

 ホルムズ海峡が「東の出口」なら、バブ・エル・マンデブは「西の出口」である。

 その西の出口までフーシ派の脅威にさらされれば、サウジにとってはエネルギー輸出の生命線そのものが危うくなる。

 だからこそ、MBSは米国に助けを求めた。

 だが、トランプ政権の答えは、「情報は出す。攻撃目標も教える。しかし実際に戦うのはあなた方だ」というものだった。

 これは単なるイエメン内戦の一場面ではない。

 米国と中東のパートナー国との関係が、どこへ向かっているのかを象徴する出来事ではないだろうか。

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