【舛添直言】米国への依存度を弱める英国、これからどこに向かうのか
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舛添 要一
国際政治学者
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2026.10.3(土)
9月29日、英国リバプールで開催された労働党年次大会で演説するバーナム首相(写真:ロイター/アフロ)
英国がEU離脱を決めた国民投票から10年が経った。離脱(Brexit)は成果を上げたのか、それともマイナスをもたらしたのか。国民投票でEU離脱が決まったが、今では過半数の英国民が離脱は失敗だったと認識している。
バーナム首相は9月30日朝に放送されたBBCのインタビューで、次期総選挙で欧州連合(EU)再加盟を訴える可能性があると述べた。
EU加盟によって人やモノの移動の自由度が高まり、物流や人的交流は格段に進んだ。ユーロトンネルのおかげで大陸との間で大量のトラックが行き来し、パリからユーロスターに乗ってロンドンに行くのは、フランス国内旅行と全く変わらない感覚であった。
しかし、EUからの離脱で、状況はすっかり様変わりしてしまった。
EU離脱によるネガティブな影響
EUからの離脱は、英国経済に深刻な影響をもたらした。EUとの間で、通関手続きや様々な規制などの非関税障壁が生じたため、中小企業を中心に輸出が大きな打撃を受けている。
GDPも、EU残留の場合よりも数パーセント押し下げられている。そして、先行きの不透明感から、海外から英国への投資が減っている。
深刻なのは、EUからの自由な移動が制限されたため、ヨーロッパからの労働移民が減少したことである。飲食、小売り、医療、農業などの現場で人手が不足している。たとえば、ポーランド移民では、配管工などが多数働いていたが、白人でキリスト教徒であり、中東からのイスラム教徒の場合よりも摩擦が少ない。EU離脱後、EU以外からの移民が急増している。直近の英国国家統計局(ONS)統計では、非EU系国籍者の英国への長期移民は年間約63万人に上る一方、EU系国籍者は純移民ベースで約4万人の流出超過となっている。
さらに、離脱によって、ロンドンのシティは、国際金融センターとしての地位を低下させている。
そして、EU離脱をめぐって、世代間、地域間、社会階層間で分断が生じている。高齢者や地方では離脱支持が多いが、全体を見れば、EU離脱は失敗だったという声が多数(約57%)である。EU離脱当時投票権の無かった若い世代(18〜24歳)では、約7割が間違いだったとしている。EUへの再加盟を支持する人は55%に達している。
