
栃木県の10月三連休(10月10日〜12日)は、同じ連休の中で「初日の夜」と「最終日の夜」の予約進捗がはっきり割れている。宿泊日の20日前で比べると、旅館(N=149〜150施設)の推定OCC(OTA掲載在庫ベース)は10月10日(土)が86.5%、10月12日(月・祝)が64.9%で、差は21.6pt。ビジネスホテル(N=65施設)では80.8%と44.8%で36.0ptの差がある。一方、リゾートホテル(N=28施設)では45日前に21.5ptあった差が20日前には7.9ptまで縮んでおり、同じ最終夜でも業態によって埋まり方が違う。
参考になるのが、終わったばかりのシルバーウィーク(9月19日〜23日の5連休)だ。翌日が平日だった9月23日(水・祝)の夜は、旅館で20日前65.2%、前日には84.2%に達し、最後の20日間で+19.0pt上積みした。10月12日の旅館は20日前の時点で64.9%と、ほぼ同じ位置にある。本記事では3業態のブッキングカーブを並べ、最終夜の上積みがどの時点で起きるかを確認したうえで、T-45(3泊・2泊プランの訴求)、T-30(最終夜1泊の商品化)、T-14(残り枠の見せ方)の3段階で打ち手を整理する。
対象: 栃木県の旅館 N=148〜150施設(5,751〜5,849室)・リゾートホテル N=28施設(1,783室)・ビジネスホテル N=65施設(5,629室)。本記事の価格指標は推定成約ADR(OTA等の販売データから推定される成約価格水準・税抜相当)、稼働率はOTA掲載在庫ベースの推定値。いずれも定義は記事末尾。データ時点: 2026年9月23日。
本記事のデータについて
• ADR(推定成約ADR)=各施設がOTA上で公開する最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。公表運営実績との照合で誤差中央値は6.6%。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なります。
• OCC(稼働率)=エリア内の総客室数に対する販売済み客室数の割合(OTA販売在庫に基づく推定値)。算出式と対象コホートは記事末尾「データについて」に記載。
• 出典:メトロエンジンリサーチ(国内約168,000施設のOTA公開価格を継続追跡、うち稼働確認済み約27,000施設)
Key Takeaways
— 初日と最終夜の差は20日前で旅館21.6pt・ビジネス36.0pt:旅館は10月10日泊86.5%に対し12日泊64.9%、ビジネスホテルは80.8%と44.8%(推定値・OTA掲載在庫ベース)。
— 最終夜は伸びが鈍いのではなく出発点が低い:旅館の12日泊は45日前→20日前で+9.4ptと、初日(+7.7pt)と同程度に伸びている。差は45日前の時点で既に約23ptあった。
— リゾートホテルは差を21.5pt→7.9ptに縮めた:12日泊が45日前55.0%→30日前67.9%と15日間で+12.9pt。28施設と少数だが、最終夜の差は売り方で縮められることを示す。
— 9月5連休の最終夜は直前2週間で+16.0pt:旅館の9月23日泊は14日前68.2%→前日84.2%。それまでの31日間(+14.7pt)を上回り、うち最後の1週間だけで+11.9pt。それでも中盤の9月21日泊には14.9pt届かなかった。
— 価格は2泊単位の平均で組む:旅館の推定成約ADRは2026年8月(確定)が前年同月比−7.4%。初日の強気価格を最終夜の安売りで相殺しないよう、初日+最終夜の平均単価で判断する。
10月三連休の3泊を並べると、最終夜だけ別の曲線になる
まず旅館のブッキングカーブを見る。10月10日(土)の夜は45日前の時点で推定OCC 78.8%(2026年10月10日泊・45日前断面、N=149施設)、30日前に84.2%、直近の18日前に88.8%。10月11日(日)の夜は73.4%→77.1%→81.2%(19日前)。どちらも45日前の時点で7割を超えており、連休の1泊目と2泊目は早い段階から高い水準で推移している。
これに対し、10月12日(月・祝)の夜は45日前55.5%、30日前61.2%、直近の20日前でも64.9%にとどまる。45日前から20日前までの上積みは+9.4ptで、10月10日の+7.7pt(同じ区間)と大差はない。つまり最終夜は伸びが鈍いのではなく、出発点が約23pt低いまま平行移動している。翌13日(火)が平日なので、連泊の最後の1泊として選ばれにくいという、連休最終夜によくある形である。翌日が平日の最終夜が中日より低く残る構図は、三重の5連休最終夜の分析でも確認できる。
同じ最終夜の比較として、下の図にはシルバーウィーク最終夜(9月23日・水・祝、翌24日は平日)の旅館カーブも重ねた。10月12日のカーブは、20日前の時点で9月23日(65.2%)とほぼ重なっている。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(栃木県・旅館 N=147〜150施設。横軸は宿泊日までの残り日数。10月の各宿泊日は2026年9月22日観測分まで)
業態別に45日前・30日前・20日前・直近の4点を並べたのが次の表だ。完売施設率は、OTA等で掲載在庫が確認できない施設の割合(推定)を指す。
表1 連休3泊の推定OCCと完売施設率(栃木県・業態別、45日前・30日前・20日前・直近)
業態・宿泊日N(施設/室)45日前30日前20日前直近完売施設率(直近)
旅館 10/10(土)149/5,76378.8%84.2%86.5%88.8%(18日前)51.7%
旅館 10/11(日)148/5,75173.4%77.1%81.3%81.2%(19日前)32.4%
旅館 10/12(月・祝)150/5,84955.5%61.2%64.9%64.9%(20日前)11.3%
リゾート 10/10(土)28/1,78376.5%82.1%82.2%84.1%(18日前)28.6%
リゾート 10/11(日)28/1,78370.3%74.9%76.8%77.5%(19日前)17.9%
リゾート 10/12(月・祝)28/1,78355.0%67.9%74.3%74.3%(20日前)10.7%
ビジネス 10/10(土)65/5,62969.9%74.7%80.8%82.3%(18日前)29.2%
ビジネス 10/11(日)65/5,62947.3%52.2%56.5%56.8%(19日前)3.1%
ビジネス 10/12(月・祝)65/5,62936.5%40.4%44.8%44.8%(20日前)1.5%
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(推定OCC=OTA掲載在庫ベース。直近=2026年9月22日観測)
旅館では、連休初日の10月10日で完売施設率が51.7%に達し、掲載在庫の確認できる施設が半数を下回っている。一方、10月12日の完売施設率は11.3%で、45日前(10.1%)からほとんど動いていない。10月12日の夜は、満室の施設が増えるより、各施設で少しずつ部屋が埋まる形で進んでいる。
参考までに、連休翌週の10月17日(土)の旅館は25日前の時点で78.0%。同じ25日前で比べると、10月12日(63.9%)は普通の土曜日より約14pt低い。紅葉の時期であっても、翌日が平日の祝日の夜は、それだけでは土曜の夜の代わりにならないことがわかる。
業態で違う「最終夜との差」の縮み方 — リゾートは7.9ptまで接近
初日と最終夜の差を、45日前と20日前の2時点で業態別に並べた。旅館は23.3pt→21.6ptとほとんど縮まず、ビジネスホテルは33.4pt→36.0ptとむしろ広がった。ビジネスホテルの10月10日は観光客と移動需要が重なって伸びたが、10月12日の夜は20日前でも44.8%で、45日前からの上積みは+8.3ptにとどまる。
対照的なのがリゾートホテルだ。10月12日の夜は45日前55.0%→30日前67.9%と、この15日間で+12.9pt伸び、20日前には74.3%になった。同じ期間の10月10日は+5.6pt(76.5%→82.1%)で、その後も82.2%で横ばい。結果として差は21.5ptから7.9ptへ縮んだ。対象は28施設と少ないので一般化はできないが、「連休最終夜を含む2泊」の予約が、30日前までの期間にまとまって入った可能性がある。最終夜が埋まらないのは構造的に仕方がないことではなく、売り方で縮められる差だと示すデータとして読める。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(10/10の推定OCC − 10/12の推定OCC。旅館 N=149〜150・リゾート N=28・ビジネス N=65施設)
シルバーウィーク最終夜の実績 — 最後の2週間で+12.7〜+17.0pt
10月12日のこの先を考えるうえで参考になるのが、9月の5連休の最終夜(9月23日・水・祝)だ。翌24日(木)が平日という条件は10月12日と同じである。連休の中盤だった9月21日(月・祝)と並べると、次のようになる。
表2 9月5連休の中盤(9/21)と最終夜(9/23)の推定OCC(栃木県・業態別、45日前〜前日)
業態・宿泊日N(施設/室)45日前30日前20日前14日前7日前前日
旅館 9/21(月・祝)147/5,70184.0%90.9%98.7%99.6%99.7%99.1%
旅館 9/23(水・祝)149/5,82553.5%58.2%65.2%68.2%72.3%84.2%
リゾート 9/21(月・祝)26/1,74387.1%94.1%98.3%99.4%99.9%98.6%
リゾート 9/23(水・祝)28/1,78352.0%61.3%66.8%72.5%75.5%85.2%
ビジネス 9/21(月・祝)62/5,28151.3%61.4%77.0%85.8%92.9%88.2%
ビジネス 9/23(水・祝)65/5,62935.1%37.2%41.5%43.3%49.0%60.3%
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(推定OCC=OTA掲載在庫ベース)
最終夜の伸び方には、はっきりした特徴がある。旅館の9月23日は45日前から14日前までの31日間で+14.7ptだったが、14日前から前日までの13日間で+16.0pt伸びた。期間は半分以下なのに、上積みはそれより大きい。ビジネスホテルも14日前43.3%→前日60.3%で+17.0pt、リゾートは72.5%→85.2%で+12.7pt。最終夜の予約は、直前の2週間、なかでも最後の1週間に集中する。旅館では7日前から前日までだけで+11.9pt上積みしている。
それでも、中盤の9月21日との差は直前まで残った。前日時点で旅館は14.9pt、ビジネスホテルは27.9pt、リゾートは13.4ptの差がある。5連休は3連休より日程の自由度が高いので条件は同じではないが、「最終夜は直前に伸びるが、中盤の夜には追いつかない」という形は、10月12日を考えるうえでの目安になる。10月12日の旅館は20日前で64.9%と、9月23日の同じ時点(65.2%)とほぼ同じ位置にある。これから直前の2週間に入るので、残り枠の見せ方と価格の置き方が結果を左右する段階だ。9月5連休そのものの埋まり方と、その後の10月上旬平日との差については、栃木県の旅館・リゾート、9月5連休と10月上旬平日の差で詳しく分析している。
価格水準の確認 — 推定成約ADRの10月は確定月同士で旅館+6.2%
価格については、月単位の推定成約ADRで水準を確認する。推定成約ADRは月次でのみ扱う指標なので、三連休の個別の日の価格はここでは扱わない。昨年10月(確定値)は旅館17,300円(N=203施設)で、前年同月(2024年10月・16,300円)比+6.2%。リゾートホテルは17,000円(N=39)で−2.4%、ビジネスホテルは6,900円(N=137)で+4.0%だった。県内の市町ごとの単価水準の違いは、栃木のホテル単価、市町で3.6倍差が掘り下げている。
表3 推定成約ADRの前年同月比(栃木県・業態別、税抜相当)
業態2024年10月(確定)2025年10月(確定)前年同月比2025年8月(確定)2026年8月(確定)前年同月比
旅館16,283円(N=219)17,297円(N=203)+6.2%19,554円(N=205)18,107円(N=211)−7.4%
リゾートホテル17,415円(N=36)16,992円(N=39)−2.4%27,281円(N=38)24,884円(N=45)−8.8%
ビジネスホテル6,622円(N=131)6,884円(N=137)+4.0%6,758円(N=137)6,905円(N=138)+2.2%
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(推定成約ADR・税抜相当。栃木県)
直近の確定月である2026年8月は、旅館が前年同月比−7.4%、リゾートが−8.8%と、夏のピーク月でも前年を下回った。今年の10月は、旅館が18,700円(N=203)、リゾートが17,100円(N=44)と推定されている(いずれも現時点の販売状況に基づく推定で、今後変わる可能性がある。昨年10月の確定値との単純な比較は、月末の確定を待って行う)。
旅館の推定成約ADRを年ごとに重ねると、10月は8月の山と11〜12月の山にはさまれた位置にある。2025年は10月17,300円のあと、11月19,500円、12月19,800円と上がった。紅葉シーズンの本番は10月後半から11月にずれ込むため、10月上旬の三連休は、月全体の水準を底上げする日として位置づけられる。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(栃木県・旅館の推定成約ADR・税抜相当。N=178〜225施設。2026年9月以降は現時点の販売状況に基づく推定で、今後変わる可能性がある)
紅葉の時期も確認しておく。日光市の観光公式サイト「日光旅ナビ」によると、例年の見頃は中禅寺湖・華厳滝といろは坂が10月中旬〜11月上旬、戦場ヶ原・小田代原の木々が10月中旬〜下旬、湯ノ湖・湯滝と竜頭滝が10月上旬〜中旬、鬼怒川温泉ロープウェイ周辺は10月下旬〜11月上旬とされる。那須の茶臼岳は、例年9月下旬〜10月下旬が見頃とされている。10月10〜12日は、奥日光と那須の山の上で色づきが進む時期にあたり、中禅寺湖・いろは坂や鬼怒川の見頃はその後に続く。紅葉を理由に来る客が多いのは、むしろ三連休の翌週以降である可能性がある。
栃木の旅館・リゾート・ビジネスホテルを運営するレベニューマネージャーへ — 示唆とアクションプラン
(a) 運営の視点から見たポイント
1. 最終夜は「自館の初日との差」を毎日追う。 市場全体では、旅館の10月10日と10月12日の差が20日前でも21.6ptある。自館の差がこれより大きい場合は、最終夜が連泊プランに組み込まれていないことが原因の可能性がある。逆に小さい場合は、既に連泊の予約を取れていると読める。差の大きさは、稼働率そのものより打ち手を選ぶ手がかりになる。
2. 最終夜の予約が入る時期は直前の2週間。 シルバーウィーク最終夜の旅館は、14日前から前日までの13日間で+16.0pt伸び、それまでの31日間(+14.7pt)を上回った。20日前の時点で最終夜が6割台でも、それだけで値下げに動く理由にはならない。価格を見直すのは、直前の2週間の伸び方を見てからでも遅くない。
3. リゾートの差が縮んだことは、打つ手があるという証拠。 リゾートホテル(28施設)は、30日前までの15日間で10月12日が+12.9pt伸び、初日との差が7.9ptまで縮んだ。2泊・3泊で最終夜まで押さえる商品の組み方は、旅館やビジネスホテルでも試す余地がある。
4. 価格は月の水準から逆算する。 2026年8月の推定成約ADRは、旅館で前年同月比−7.4%と、ピーク月でも前年を下回った。今年10月の推定は旅館18,700円だが、まだ確定前の値だ。三連休の初日に強気の価格を置いても、最終夜を安売りすれば月全体では相殺されてしまう。初日と最終夜を合わせた2泊単位で平均単価を見る考え方が合う。
(b) アクションプラン — 10月12日の夜は既に直前2週間の手前(19日前)にある。今回の連休は「今週〜直前」の打ち手、次の三連休(11月21日〜23日・23日は月曜の祝日)はT-45(10月9日)・T-30(10月24日)から逆算する。
表4 アクションプラン — 時期別の打ち手と判断のきっかけ
時期打ち手判断のきっかけ(記事中の数値)狙い
今週(10/12の19〜14日前)10/11〜12の2泊プランを前面に出し、10/10の単泊より2泊を選びやすく見せる自館の10/10と10/12の差が、市場の旅館21.6pt・ビジネス36.0ptより大きい場合初日の需要を最終夜につなげる
今週10/12の1泊に、遅めのチェックアウトや翌朝の観光とセットにした特典を付ける10/12が市場の旅館64.9%(20日前)を下回っている場合翌日が平日という不利を体験価値で補う
14日前〜直前最終夜の残り枠を、値下げより先に「残りわずか」の表示や客室タイプの絞り込みで見せる9/23の旅館は14日前→前日で+16.0pt。自館の伸びがこのペースに近いかを毎日確認する直前の予約を単価を下げずに取る
7日前〜前日価格の見直しは、最後の1週間の伸びを確認してから小刻みに行う9/23の旅館は7日前→前日で+11.9pt。この時期に伸びが止まった場合に限り検討早すぎる値下げで直前の需要を安く売らない
次の三連休 T-45(10/9前後)11/21〜23の3泊・2泊(22〜23日)プランを先に出し、最終夜を連泊の中で売る今回の45日前時点で、最終夜が初日より旅館23.3pt・ビジネス33.4pt低かった出発点の差を最初から小さくする
次の三連休 T-30(10/24前後)最終夜1泊の商品(翌日の予定に合わせた特典)を出し、2泊プランの進み具合を見直すリゾートは45→30日前の15日間で最終夜+12.9ptと差を縮めた。自館の最終夜の伸びがこれより緩い場合直前の2週間に頼りすぎない
いずれも、自館の予約の進み具合と市場のカーブを比べて判断するための目安である。効果は施設の立地、客室構成、客層によって変わる。
まとめ — 連休最終夜を見るための3つの物差し
表5 連休最終夜を見るための3つの物差し(栃木県の値)
物差し今回の栃木の値使い方
① 初日と最終夜の差20日前で旅館21.6pt・リゾート7.9pt・ビジネス36.0pt自館の差と比べ、連泊の売り方に原因があるかを見る
② 直前2週間の上積み9/23最終夜は14日前→前日で旅館+16.0pt・ビジネス+17.0pt・リゾート+12.7pt20日前の低さだけで値下げを決めない
③ 月の水準旅館の推定成約ADR 2025年10月(確定)17,297円・2026年8月(確定)は前年同月比−7.4%初日と最終夜を合わせた2泊の平均で価格を組む
三連休の最終夜は、45日前の時点から初日より2割以上低く始まり、直前の2週間で上積みされるが、中盤の夜には追いつかない。これが今回の栃木の旅館とビジネスホテル、そして9月の5連休の実績に共通する形だった。一方、リゾートホテルは30日前までに差を7.9ptまで縮めている。最終夜の差は、決まった宿命ではなく、売り方で縮められる余地として捉えたい。
よくある質問
Q. 推定OCCとは何ですか。実際の客室稼働率と同じですか。
推定OCCは「100 − 100 × OTA掲載残室数 ÷ 総客室数」で求めるOTA掲載在庫ベースの推定値です。総客室の30%以上をOTAに掲載する施設で固定の集計対象を組み、各宿泊日で同じ施設集合を追っています。掲載外の客室を消化済みの側に数えるため、実際の客室稼働率より高めに出ます。
Q. 連休最終夜(10月12日泊)が20日前で6割台です。今のうちに値下げすべきですか。
栃木県の旅館の10月12日泊は20日前で64.9%と、9月5連休の最終夜(9月23日泊)の同じ時点(65.2%)とほぼ同じ位置にあります。9月23日泊はその後、14日前から前日までの13日間で+16.0pt伸び、うち最後の1週間だけで+11.9ptでした。最終夜の予約は直前に集中するため、20日前の低さだけで値下げを決めず、直前2週間の伸び方を見てから小刻みに見直すのが合っています。
Q. なぜ連休の最終夜だけ埋まりにくいのですか。
翌日が平日のため、連泊の最後の1泊として選ばれにくいからです。10月12日泊の旅館は45日前の時点で初日より約23pt低く、その後の伸び(45日前→20日前で+9.4pt)は初日(+7.7pt)と大差ありません。完売施設率も45日前10.1%→直近11.3%とほとんど動いておらず、満室の施設が増えるより各施設で少しずつ部屋が埋まる形で進んでいます。
Q. リゾートホテルだけ初日との差が縮んだのはなぜですか。
リゾートホテルの10月12日泊は、45日前55.0%から30日前67.9%へ15日間で+12.9pt伸び、初日との差が21.5ptから7.9ptまで縮みました。対象は28施設と少ないため一般化はできませんが、最終夜を含む2泊の予約が30日前までにまとまって入った可能性があります。2泊・3泊で最終夜まで押さえる商品の組み方は、旅館やビジネスホテルでも試す余地があります。
Q. 今年10月の価格水準は前年より高いですか。
2026年10月の推定成約ADRは現時点の推定で、旅館18,700円(N=203施設)・リゾートホテル17,100円(N=44施設)です。昨年10月の確定値(旅館17,300円・リゾートホテル17,000円)との比較は月末の確定を待つ必要があります。直近の確定月である2026年8月は旅館が前年同月比−7.4%、リゾートホテルが−8.8%でした。いずれも月次の値で、三連休3日間だけの価格ではありません。
データについて
用語の定義と集計条件
推定OCCの定義OTA掲載在庫ベース稼働率 = 100 − 100 × OTA掲載残室数 ÷ 総客室数。対象は総客室の30%以上をOTAに掲載する施設で構成した固定コホート(各宿泊日で同じ施設集合。本文の N がその施設数)。OTA上で販売される在庫の消化状況に基づく推定値であり、実客室稼働率とは定義が異なる(掲載外の客室を消化済み側に数えるため高めに出る)。
ブッキングカーブ宿泊日の45日前から直近までの観測に基づく。10月の各宿泊日は2026年9月22日観測分まで(10/10は18日前、10/11は19日前、10/12は20日前が直近)。
推定成約ADRの定義OTA等の販売データ(最安プラン水準×業態別係数・複数チャネルのアンサンブル)から推定した成約価格水準(税抜相当)。過去月は確定値、現在・未来月は現時点の販売状況に基づく推定値。公表運営実績との照合で誤差中央値6.6%。
対象 N の内訳栃木県。推定OCC: 旅館 N=147〜150施設(5,701〜5,849室)、リゾートホテル N=26〜28施設(1,743〜1,783室)、ビジネスホテル N=62〜65施設(5,281〜5,629室)。宿泊日ごとの N は表に記載。推定成約ADR: 旅館 N=178〜225施設(図の全月)、リゾートホテル N=36〜45施設、ビジネスホテル N=131〜138施設(表の各月。月により異なる)。
データ時点データ時点: 2026年9月23日。販売状況・在庫は日々変動するため、本記事の数値は取得時点のスナップショットである。
参考資料・出典一覧
■ データソース
メトロエンジンリサーチが収集するOTA掲載在庫・価格の日次観測(栃木県、宿泊日2026年9月21日・23日、10月10日・11日・12日・17日、各宿泊日の45日前から2026年9月22日までの観測)と、同データに基づく栃木県の業態別・月次の推定成約ADR(2024年1月〜2027年2月)。祝日は内閣府、紅葉の見頃は日光市の観光公式サイトと tenki.jp の公表情報による。
■ 試算前提
推定OCC = 100 − 100 × OTA掲載残室数 ÷ 総客室数。総客室の30%以上をOTAに掲載する施設で固定の集計対象を組み、各宿泊日で同じ施設集合を追う。固定の集計対象が10施設未満のシティホテル(栃木県9施設)は比較から外した。完売施設率はOTA等で掲載在庫が確認できない施設の割合。推定成約ADRは最安プラン水準×業態別係数による税抜相当の推定値で、過去月は確定値、2026年9月以降は現時点の販売状況に基づく推定値。
■ 限界・留意点
推定OCCはOTA掲載在庫ベースで、掲載外の客室を消化済みの側に数えるため実際の客室稼働率より高めに出る。途中の低下はキャンセルや販売枠の追加でも起こり、需要の減少を意味するとは限らない。9月5連休との比較は連休の長さと日程が異なる参考比較で、10月12日泊の最終的な着地を示すものではない。リゾートホテルは28施設と少なく、差の縮小を一般化はできない。2026年10月の推定成約ADRは月末に確定するまで変動し得るうえ、月次の値のため連休3日間だけの価格ではない。
