英国のチャールズ国王(左)とトランプ大統領(4月30日ホワイトハウスで撮影、写真:AP/アフロ)
(英フィナンシャル・タイムズ紙 2026年4月30日付)
英国王のチャールズ3世は即位から今日までのほぼ4年間、分別のある穏健な君主であり続けている。そのため若い読者は国王がかつてあらゆる種類の反近代主義的運動を支持していたことを知らないかもしれない。
インチキ医療もその一つだ。チャールズはさながらウィンザー朝のグウィネス・パルトローで、ホメオパシーに入れ込んでいた。
また、建物や道路などがある人工的な環境について、英国の都市の景観が損なわれた過程で第2次世界大戦後の建築家が行ったことはヘルマン・ゲーリングのドイツ空軍が行ったことよりも重大だと語ったこともある。
この2つの側面をつなげているのは経済成長への懐疑であり、1人当たり国内総生産(GDP)がほとんど変わらなかった産業革命以前の時代の暮らしの方が幸せだったという直感だ。
チャールズは実際、少なくともこの言葉が持ついくつかの意味の一つで言えば、ほとんど時が止まったルーマニアの村の「パトロン」になっている。
我々は95%の信頼区間で、この世界観は生まれながらの億万長者の浅薄さの現れとして一蹴していいだろう。
では残りの5%は何なのか。疑う余地がわずかにあるということか。チャールズが4月下旬に訪れた国は国王を擁護するのに少し役に立つ。
米国は2008~09年の世界金融危機以降、経済的な成功を収めてきた。片や英国経済は、西欧諸国の大半と同様にほとんど回復していない。
ところが、どちらも政治家がばか騒ぎする国になっている。
西側の支配階級――そして評論家階級――のほとんどを占める経済決定論者は、この謎に関心がないようだ。
経済が停滞する英国と活況を呈する米国の機能不全
チャールズが今回、ドナルド・トランプに会わなければならなかったのは米国が2度弾劾訴追された大統領を再選する決断を下したからだった。
片や英国は、ナイジェル・ファラージを首相にしようとしている。
大半の有権者が彼のライフワークであるブレグジット(英国の欧州連合=EU=離脱)は国家的な失敗だったと見なしているにもかかわらず、だ。
つまりこの2つの国は、過去20年間の経済の歩みが大きく異なるにもかかわらず、反エスタブリッシュメントの怒りが同じくらい強い。どちらかと言えば、裕福で経済成長率も高い国の政治の方がいかれている。
こうなると、経済学は全く無関係ではないとしても、国のムードを形成する要因としては気が遠くなるほど過大評価されていると推察するしかない。
言い換えれば、経済成長はひねくれた結果をもたらす。
米国民がトランプを選び続ける理由の一つは、国民自身の暮らし向きに影響がないように見えることにある。
雇用は引き続き多く創出されている。米国株は好調で、国民の年金ポートフォリオで好成績を上げる柱になっている。
モラル・ハザードというものは、無謀な経営をした銀行の救済や家計のガス代補助に国家が乗り出す時に生じるが、実は国家だけがもたらすわけではない。
市場もまた、国民を選挙結果から隔離するために大量の富を、それも絶えることなく生み出すことができる。
この10年間、トランプに一票を投じることはコストのかからない反乱だった。
左派はコンシェルジェのいる高級アパートの最上階にある自室から犯罪に甘いリベラル派を支持してきたが、トランプ支持はその右派バージョンだったのだ。
