トランプ人脈 全解剖3月19日に開催された日米首脳会談では、高市早苗首相(左)やドナルド・トランプ大統領のほかにもトランプ政権の有力者たちが顔を揃えた Photo:Alex Wong/gettyimages


米国とイランの軍事行動は、“停戦延長”を続けているものの和平協議の見通しには暗雲が垂れ込めている。イラン紛争の泥沼化は、11月の米中間選挙を控えたトランプ政権の人気にも直結し、政権内の権力闘争にも影響を及ぼす。特集『トランプ人脈 全解剖』の本稿では、イラン空爆以降に変化したトランプ政権内の力関係など、米政治の権力闘争の視点から、今後の中東情勢の行方と日本の対処法を分析する。(共同ピーアール総合研究所主任研究員 渡辺克也)



一連の軍事行動には米国内政治も影響

政権内のパワーバランスにも変化

 米国とイスラエルがイランを攻撃してから2カ月が経過した。4月7日に米国とイランは一時的な停戦に合意し、和平協議を模索しているものの双方の主張に隔たりがあり、“停戦延長”で時間稼ぎをしている状況だ。終結の見通しは立っていない。


 2025年末より、米国による新たな軍事行動が続いている。25年12月25日のクリスマスに、米軍はナイジェリア北西部のソコト州を空爆。26年に入ると1月2日深夜から3日未明にかけてベネズエラの首都カラカスを攻撃し、そして2月28日のイラン攻撃へと続く。


 一連の軍事行動は、純粋に対外的な安全保障政策というだけではなく、米国の国内政治とも関わっている。いやむしろ、政治的に分断された現代の米国において、密接に関わってしまっているといっても過言ではない。


 米国の大統領は絶大な権限を持つものの、拮抗する議席に制約をかけられている。米議会では長時間演説による議事妨害「フィリバスター」を突破できず、財政調整措置による年に1度の予算法を除くと、立法による政策実現の道はふさがれている。


 そのため、ドナルド・トランプ大統領は、議席数に左右されない、大統領令に代表される行政権限を最大限活用することで有権者からの支持を集めていくことになる。ところが、その権限範囲についても、24年に米連邦最高裁判所が、曖昧な法律を規制当局が解釈できるとする「シェブロン法理」を否定する判断を示したほか、26年2月にはトランプ関税について違憲判決を下したことなどで徐々に狭まっている。


 大統領の権限範囲について種々の議論があるものの、結果として、軍事行動がトランプ氏の選択肢において割合を増してしまっていることは間違いない。


 米「ニューヨーク・タイムズ」紙は26年3月、トランプ政権がイラン空爆の決定に至るまでの内幕を報じ、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の影響が大きかったと論じた。


 しかし、軍事行動も含めたトランプ氏の政治判断のファンダメンタルズは、支持率を高め、11月に控える中間選挙で勝利することだ。そしてトランプ政権も一枚岩でなく、政権内で権力闘争を繰り広げている。イラン空爆以降、政権内のパワーバランスはどう変化したのか。次ページでは、イラン紛争を巡るトランプ政権のキーマンたちの権力闘争などの視点から、軍事行動の今後の行方と日本の対処法を分析する。


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