渋谷の街角にある公共トイレが、日常的な機能を担う場所から、文化とデザインを発信する場へと生まれ変わった「THE TOKYO TOILET」。清潔で安心な空間であることに加え、個性豊かなデザインやアート展示、国際映画の舞台としても注目を集めています。
設置完了から数年が経った今、街の風景や人々の意識はどのように変化してきたのでしょうか。本記事では、発起人の柳井康治さんへのインタビューをもとに、プロジェクトの全貌を紐解きます。
「THE TOKYO TOILET」とは?
Photo: Satoshi Nagare / Courtesy: Shibuya City
2018年に発足した「THE TOKYO TOILET」は、性別、年齢、障がいの有無を問わず誰もが使いやすい公共トイレを目指し、渋谷の街に点在するトイレを世界で活躍する16人のクリエイターが個性豊かにデザインし、生まれ変わらせたプロジェクトです。2023年には全17カ所が完成し、現在は渋谷区が維持管理しています。
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従来の「暗い・汚い・怖い」といった公共トイレのイメージを覆し、街の小さな建築作品として、開かれた存在へと変えているのが特徴です。デザインも非常にユニークで、雨宿りできる東屋のようなものや宇宙船のような外観、通称「タコ公園」に立つイカを思わせる造形など、思わず足を止めたくなるものばかり。単なる設備にとどまらず、都市の風景をつくる一部としても機能しています。
さらに、清掃やメンテナンスを徹底することで、利用者自身の意識まで変えることを目指しています。
THE TOKYO TOILET 公式サイト
【インタビュー】発起人・柳井康治さんに聞く、「THE TOKYO TOILET」の始まりと、これからのこと。
プロジェクト発案・資金提供に加え、映画『PERFECT DAYS』の企画・プロデュースも手掛けた柳井康治さん。プロジェクト開始から数年が経った今、その手応えや広がり、そして今後の展望についてお話を伺いました。
やない・こうじ/山口県出身。株式会社ファーストリテイリング 取締役・「THE TOKYO TOILET」プロジェクト発案・資金提供者。プロジェクトオーナーとして企画・ディレクションを主導。
始まりは1本の動画から。プロジェクト立ち上げまでのストーリー
これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
We’re The Superhumans | Rio Paralympics 2016 Trailer
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2016年、柳井康治さんが目にしたのは、英国の公共放送チャンネル4によるパラリンピックの映像作品「We’re The Superhumans」。この1本の映像が原点となりました。その力強い表現に衝撃を受け、それまであまり意識していなかったパラリンピックに強く惹かれたと振り返ります。
さらに、車いすテニスのレジェンド国枝慎吾さんとの対話も、大きな転機となりました。「東京はまだ、障がい者や外国人にとってフレンドリーな街とは言えない」という言葉に、課題を強く認識したといいます。
当初は“特別な人のための特別な施設”を構想していましたが、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定したころ、父と交わした『人は誰でも一人ひとり、みな違う。誰1人同じ人はいないという意味で平等である』という会話を思い出し、あらゆる人に開かれた、人間の根源的な部分に関わる場所をつくるという発想に至り、その象徴として選んだのが、日常に欠かせないトイレでした。誰もが必ず利用する場所だからこそ、社会を変えるきっかけになり得ると考えたのです。
こうして、公共トイレを誰もが快適に使える空間へと刷新するプロジェクトが始動。世界的クリエイターに直接声をかけ、多様な視点を取り入れながら構想を具体化していきました。
設置完了から3年。現在地と今後の展望とは?
Photo: Satoshi Nagare / Courtesy: Shibuya City
西原一丁目公園トイレ。
―プロジェクト開始時に思い描いていた風景は、現在どの程度実現できていると感じますか?
プロジェクトを始める際にいちばん重視したのは、きれいさが保たれること。THE TOKYO TOILET(以下、TTT)のトイレは、清掃頻度を通常の3倍にあたる、1日最大3回まで増やすことでそれを実現しようとしています。今はおかげさまで日中は清掃の効果が発揮され、だいぶよい状態・綺麗さが保たれているのかなと感じています。
また、公共トイレである以上、あらゆる人に安心して使っていただきたい。特に女性やお子さん、障がいのある方が利用する『誰でもトイレ』の利用者が増えてくれるとよいなと思っていました。時折トイレの横を通るとき、女性やお子さんの利用者を目にすることがあり、とてもうれしい気持ちになります。この取り組みが他にも広がればいいなと思っていましたが、港区さんや他府県の都市でも公共トイレの刷新が実際に取り組まれていたりして、現実として広がりが出ているのをみると本当にうれしくなります。
Photo: Satoshi Nagare / Courtesy: Shibuya City
西参道公衆トイレの「誰でもトイレ」。
―当初の想定を超えた出来事や反響はありましたか?
定性・定量、ポジティブ・ネガティブ両面あると思っています。あらゆる方にご利用頂けている一方で、まだまだ汚される現実やその汚され方には思いもよらないものが発生したりしています。TTTを通じて、講演をしたり、今回のように取材を受ける機会を頂きますが、総じて海外での反応がとてもよく、日本の渋谷という街だけで起こっている話ではありますが、その反響の大きさをいつも感じています。
トイレを美しく維持することで、利用する方々の「きれいに使おう」という意識を醸成したい。清掃員の方を主人公に物語をつくれば、「誰かがきれいにしてくれている」ことに気づいてもらえるかもしれない。そうした思いから、映画『PERFECT DAYS』は生まれました。
いちばんの注目は映画に集まりがちですが、それ以外にも実はさまざまな取り組みを行っています。世界的写真家である森山大道さんに撮影していただいたTTTの写真をミラノサローネやパリ・フォトで発表したり、昨年は実際にTTTのトイレ自体を会場に、森山さんの写真展を開催し、森山さんの写真がプリントされたスペシャルなトイレットペーパーも制作しました。これらのアートプロジェクトに対する反応も想定以上にポジティブなものでした。
Photo: Satoshi Nagare / Courtesy: Shibuya City
写真家・森山大道さんが撮影したTTT写真を展示するアートプロジェクト「THE TOKYO TOILET / SHIBUYA」のために制作されたトイレットペーパー。
また、日常の風景や人物を素敵に切り取る写真家の高橋ヨーコさんに撮り下ろして頂いた写真集兼ポケットガイドブック『The Tokyo Toilet Book』は、英語版と日本語版を展開していますが、どちらもとても好調に販売されています。特に英語版の売れ行きがよく、TTTは国内よりも海外での反応の方が大きいと感じていたことが、実際にそうだったのだと実感でき、うれしい驚きが続いています。
―今後、「THE TOKYO TOILET」として新たに取り組みたいことや展望はありますか?
さまざまな取り組みをしたおかげで、女性やお子さん、妊婦さんや障がいのある方など、公共トイレを敬遠しがちだった多くの方々にも使っていただける存在にはなれたと感じています。
一方で、それでも汚されたりイタズラされたりするケースが依然として起こっているのをみると、利用者のなかには「公共トイレとは汚してもいいもの」という認識や価値観があるのではないかという仮説も立てています。これからもTTTに関する取り組みを継続していくことで、利用者の行動そのものが本質的に変わり、「公共・プライベートに関わらずすべてのトイレは汚してはいけないもの」という認識になっていけばよいなと思っています。
Photo: Satoshi Nagare / Courtesy: Shibuya City
恵比寿駅西口公衆トイレ。
また、公共トイレをはじめとする公衆衛生の問題・課題がより大きい海外において、TTTの取り組みを実行してみたいという思いもあります。海外からのTTTへの反響が大きいことからこそ、こうした展開を常に思い描いています。
渋谷区内に設置された、17の個性を放つトイレたち
「THE TOKYO TOILET」には、安藤忠雄さんや伊東豊雄さんといった建築家をはじめ、デザイナーの佐藤可士和さん、東京大学教授のマイルス・ペニントンさんなど、世界で活躍するさまざまなジャンルの16人のクリエイターが参画。それぞれの視点から生み出されたトイレは、機能性とデザイン性を兼ね備え、街の風景に新たな表情をもたらしています。
ここでは、全17カ所のトイレをご紹介します。仕様は各トイレで異なりますが、いずれも車いすでの利用が可能。オストメイト対応設備も備えられており、すべてウォシュレット仕様となっています。誰もが安心して使える環境が整えられている点も大きな特徴です。
西参道公衆トイレ/藤本壮介(建築家)
Photo: Satoshi Nagare / Courtesy: Shibuya City
公共の水場としての手洗い空間を提案した「西参道公衆トイレ」。1つの器としてデザインし、多様な人々がこの器を囲んで手を洗い、水をくみ、会話をして、小さなコミュニティが生まれていく、そんな新しい公共空間のあり方を提案しています。
これはThird partyの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
所在地:東京都渋谷区代々木 3-27-1
笹塚緑道公衆トイレ/小林純子(建築家)
Photo: Satoshi Nagare / Courtesy: Shibuya City
設計は、一般社団法人日本トイレ協会会長で、約250件の公共トイレを手掛けてきた建築家の小林純子さん。大きな庇を浮かせることで開放感を生み、広く取られた開口部によって、重厚さのなかにも明るく清潔で安心感のある空間に仕上げられています。
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所在地:東京都渋谷区笹塚1-29
幡ヶ谷公衆トイレ/マイルス・ペニントン、東京大学DLXデザインラボ
Photo: Satoshi Nagare / Courtesy: Shibuya City
使われなくなり、やがて忘れられてしまいがちな公共トイレに、新たな価値を与えることを目指した「幡ヶ谷公衆トイレ」。トイレに加えてもう1つの機能をもつ空間を組み合わせることで、展示やポップアップストア、待合所など、多様な用途に活用できる場として計画されています。
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所在地:東京都渋谷区幡ヶ谷 3-37-8
裏参道公衆トイレ/マーク・ニューソン(インダストリアルデザイナー)
Photo: Satoshi Nagare / Courtesy: Shibuya City
銅製の「蓑甲(みのこ)屋根」をはじめ、日本の伝統建築をモチーフにデザインされた「裏参道公衆トイレ」。神社仏閣や茶室に見られる屋根のかたちを取り入れることで、にぎやかな都市の中にあっても、心地よさや安らぎを感じられる存在を目指しています。
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所在地:東京都渋谷区千駄ヶ谷4-28-1
広尾東公園トイレ/後智仁(クリエイティブディレクター、アートディレクター)
Photo: Satoshi Nagare / Courtesy: Shibuya City
「人は、みな違うという意味で、同じである」そんなプロジェクトの理念を体現するトイレとして構想されました。 特徴的なのは、世界人口にちなんだ79億通りのライティングパターン。昼は木漏れ日のように、夜は月明かりや蛍の光のように移ろい、二度と同じ表情には出合えません。
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所在地:東京都渋谷区広尾 4-2-27
七号通り公園トイレ/佐藤カズー(クリエイティブディレクター)
Photo: Satoshi Nagare / Courtesy: Shibuya City
欧米の調査で「多くの人がトイレで手の接触を避けている」という結果を目にしたことが出発点となった「七号通り公園トイレ」。そこから約3年にわたるリサーチとプランニングを経て、音声で操作するボイスコマンド式トイレを実現しました。扉の開閉や洗浄など、トイレ内のあらゆる動作を非接触で行えることで、従来の公共トイレとは一線を画す新しい体験を提供しています。
※ボイスコマンドを利用せず、手を使ってのドアの開閉や便器の操作も可能です。
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所在地:東京都渋谷区幡ヶ谷2-53-5

Photo: Satoshi Nagare / Courtesy: Shibuya City
代々木八幡宮の森から生まれたような、3本のキノコを思わせるトイレ。背後の森と調和する柔らかなフォルムが採用されています。個室型のトイレを3棟に分散させることで、回遊性のあるレイアウトを実現。行き止まりをなくし、視線が抜ける構成とすることで、防犯性にも配慮されています。
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所在地:東京都渋谷区代々木 5-1-2
恵比寿駅西口公衆トイレ/佐藤可士和(クリエイティブディレクター)
Photo: Satoshi Nagare / Courtesy: Shibuya City
恵比寿駅前の交番横にあるこちらのトイレは、「清潔」と「安心」をテーマにデザインされました。入りやすく使いやすい、控えめで清潔感のある外観は、駅を行き交う人々の気持ちを少し明るく、清々しく整えてくれる存在に。トイレとしての“当たり前の配慮”を丁寧に積み重ねることで生まれた、シンプルで誠実なトイレです。
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所在地:東京都渋谷区恵比寿南 1-5-8

Photo: Satoshi Nagare / Courtesy: Shibuya City
ランダムな角度で組まれた杉板ルーバーに覆われた5つの小屋が、「森のコミチ」で緩やかにつながり、自然のなかへと溶け込んでいきます。それぞれの棟は、子育てや身だしなみ、車いす利用など多様なニーズに応じて、プランや設備、内装が異なるつくりに。個室を分棟とすることで、風通しがよく、通り抜けも可能な、開かれた構成となっています。
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所在地:東京都渋谷区松濤2-10-7
神宮前公衆トイレ/NIGO®(ファッションデザイナー、クリエイティブディレクター)
Photo: Satoshi Nagare / Courtesy: Shibuya City
コンセプトは「温故知新」。トイレとしての入りやすさと使いやすさを大切にしながら、高層ビルが立ち並ぶ東京の風景とは対照的に、原宿の一角にひっそりと佇む“古きよき一軒家”をイメージしています。どこか懐かしさを感じさせながらも、新しさも内包するデザインは、世代を問わず心地よく利用できる空間となっています。
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所在地:東京都渋谷区神宮前1-3-14

Photo: Satoshi Nagare / Courtesy: Shibuya City
小さな「あずまや」のように、単なる公共トイレの機能にとどまらず、都市で人がひと息つける場所としての価値を目指した「神宮通公園トイレ」。外壁には風と光を通す縦格子を採用し、安全性と開放感を両立しています。円形の建物から大きく張り出した庇が縁側のような余白を生み、自然と人を受け入れる柔らかな佇まいをつくり出しました。
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所在地:東京都渋谷区神宮前6-22-8
西原一丁目公園トイレ/坂倉竹之助(建築家)
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これまで利用頻度が低く、どこか近寄りがたい印象だった西原一丁目のトイレ。ここでは「使いたくなる場所」にすることが重要なテーマとなりました。限られたスペースで明るく開放的な空間に刷新し、トイレ単体にとどまらず、公園全体の印象を柔らかく変えることを目指しています。やさしく光を放つ“行燈”のように公園をほのかに照らし、自然と人が集まりたくなる場所へと導いています。
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所在地:東京都渋谷区西原1-29-1
恵比寿東公園トイレ/槇文彦(建築家)
Photo: Satoshi Nagare / Courtesy: Shibuya City
休憩機能を備えた“公園のパビリオン”として計画された「恵比寿東公園トイレ」。タコの遊具で親しまれるこの公園に、新たに「イカのトイレ」が設置され、公園の遊具のような親しみやすい造形を生み出しています。子供から通勤途中の人まで、多様な利用者に配慮し、建物のボリュームを分散配置することで視線をコントロール。安全性と快適性を両立させた設計となっています。
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所在地:東京都渋谷区恵比寿 1-2-16
東三丁目公衆トイレ/田村奈穂(プロダクトデザイナー)
Photo: Satoshi Nagare / Courtesy: Shibuya City
年齢や性アイデンティティ、国籍などに関わらず、誰もが安心して使える公共空間を目指し、プライバシーと安全性を重視して設計された「東三丁目公衆トイレ」。造形は、日本の贈り物文化を象徴する「折形」に着想を得ており、利用者をやさしく包み込むような安心感をかたちにしています。多様な人々が自分らしく過ごせる社会への思いを込めたトイレです。
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所在地:東京都渋谷区東3-27-1
恵比寿公園トイレ/片山正通 Wonderwall®︎(インテリアデザイナー)
Photo: Satoshi Nagare / Courtesy: Shibuya City
「恵比寿公園トイレ」は、建物らしさを抑え、遊具やベンチ、樹木のように自然に公園に溶け込むオブジェとしてデザインされました。日本のトイレの起源「川屋」に着想を得て、コンクリートの壁を15枚組み合わせることで、トイレでありながらオブジェとしても楽しめる空間を実現。壁の間を通り抜けると、男性用・女性用・ユニバーサル対応の3つの個室に分かれ、まるで不思議な遊具で遊ぶような体験ができます。
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所在地:東京都渋谷区恵比寿西 1-19-1
Photo: Satoshi Nagare / Courtesy: Shibuya City
誰も入っていないときは透明の外壁になる。
誰も入っていないときは外壁が透明になり、入る前に「中が清潔か」「空いているか」がわかる仕組みを採用したトイレ「ザ トウメイ トウキョウ トイレット」。鍵を閉めるとガラスの外壁が不透明になるという画期的なアイデアで、公共トイレへの不安をやわらげ、安心して利用できるよう配慮されています。夜にはやさしい光で公園を照らし、周囲の景観にも明るさを添えています。
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所在地:東京都渋谷区富ヶ谷1-54-1
はるのおがわコミュニティパークトイレ/坂 茂(建築家)
Photo: Satoshi Nagare / Courtesy: Shibuya City
トイレに入り、鍵をかけると不透明になる。
代々木深町小公園トイレと同じく、鍵をかけると外壁が不透明になるガラスを採用したトイレ。こちらは青やグリーンを基調とした爽やかなカラーリングで、公園の緑や青空と調和する佇まいが印象的です。夜にはガラス越しの光が周囲を柔らかく照らし、公園に明るい表情をもたらします。
これはThird partyの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
所在地:東京都渋谷区代々木5-68-1
「トイレ」から広がる、多様なプロジェクト
「THE TOKYO TOILET」の取り組みは、単なる設備の刷新にとどまらず、多様性や他者への思いやりといったテーマを問い直すプロジェクトへと発展しています。
■映画『PERFECT DAYS』
ⓒ 2023 MASTER MIND Ltd.
2023年公開の映画『PERFECT DAYS』は、「THE TOKYO TOILET」が舞台。主人公は清掃作業員で、日々の仕事や何気ないルーティンを丁寧に積み重ねる姿を通して、都市の片隅にある静かな豊かさや、人が生きることの美しさが描かれます。監督はドイツの名匠ヴィム・ヴェンダース。
第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品され、主演の役所広司さんが男優賞、作品もエキュメニカル審査員賞を受賞するなど、国際的に高く評価されました。
PERFECT DAYS 公式サイト
■ガイドブック『The Tokyo Toilet Book』
Photo: YOKO TAKAHASHI
東京の街並みに溶け込みながら、新しい風景を生み出してきた「THE TOKYO TOILET」の魅力を1冊にまとめたガイドブック『The Tokyo Toilet Book』(2024年3月刊行)。撮影は、写真家の高橋ヨーコさん。
17カ所のトイレを通して、建築の美しさだけでなく街の空気や人の気配まで捉えた繊細な視点が印象的です。都市の日常の風景を再発見できる、小さな写真集のような1冊です。
■アートプロジェクト「THE TOKYO TOILET / SHIBUYA」
Photo: Satoshi Nagare / Courtesy: Shibuya City
インスタレーション会場となった、幡ヶ谷公衆トイレ。
2025年夏、渋谷の公共トイレを舞台にしたアートプロジェクト「THE TOKYO TOILET / SHIBUYA」が開催されました。写真家・森山大道さんの作品を、実際のトイレ空間で展示するユニークな試みです。
会場は、公園内に点在する個性豊かな10カ所のトイレと、オープンスペースを備えた幡ヶ谷公衆トイレを加えた計11カ所。各所で森山大道さんの写真インスタレーションが展開され、日常の公共トイレがアート体験の場に変わりました。期間中は、作品をプリントした特別仕様のトイレットペーパーも設置され、空間全体で世界観を楽しめる演出も行われました。
Photo:Tomohiko Ishii
2023年のパリ・フォトで発表された「THE TOKYO TOILET / PARIS 」。
このシリーズは海外展開から発展したもので、第1弾は2022年に「THE TOKYO TOILET / MILANO」として、第2弾は2023年に「THE TOKYO TOILET / PARIS」として発表されました。都市の公共トイレをアートの舞台に拡張するこのプロジェクトは、「THE TOKYO TOILET」の概念を国内外に伝える取り組みとして注目を集めています。
公共トイレからはじまったこのプロジェクトは、海外からも注目を集め、街づくりや社会の安全性、多様な人々にひらかれた環境への意識を広げながら発展を続けています。その先にどんな風景が生まれるのか、これからの展開にも目が離せません。
