顔に付けて持ち歩けるテレビは、誰にとっても必需品というわけではない。だが、これはなかなか楽しい。筆者はここ数年、こうしたディスプレイグラスを使い続けており、その進化にかなり驚いている。同時に、モデルの差がどれほど大きいのかも気になるようになった。

 XREALとVITUREの最新モデルは、目の前に1080pの大画面テレビが浮かんでいるかのように見え、このサイズとしては驚くほど鮮明だ。一方、より手頃な選択肢もある。TCLが投入した低価格モデルが、299ドルの「RayNeo Air 4 Pro」だ。価格はXREAL(449ドル以上)やVITURE(399ドル以上)よりかなり抑えられている。その代わり、いくつか重要な機能が省かれている。

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 ただし先に触れておくと、ディスプレイグラスは他の「スマートグラス」とは少し違う。例えば「Ray-Ban Metaスマートグラス」は写真撮影ができ、ヘッドホンのようにも使え、カメラ連携AIも搭載しているが、ディスプレイグラスは基本的に装着型の外付けモニターであり、つるの部分にスピーカーを内蔵し、AI要素はほとんどない。USB-Cの映像出力に対応する機器であれば、「iPhone」からノートPC、「Steam Deck」のような携帯ゲーミングPCまで、たいてい利用できる。

 筆者が気になっていたのは、RayNeo Air 4 Proがどこまで高品質なのか、そして上位のXREALやVITUREを忘れさせるほどの出来なのかという点だ。結論を先に言えば、答えはノーだ。ただし、RayNeoには高品質なHDR対応microOLEDディスプレイが搭載されており、映像の明るい部分と暗い部分のコントラストをより大きく表現できる。そこだけを重視するなら有力候補になるだろう。とはいえ、上位モデルの実用性を高めている付加機能は備えていない。

よく似た設計と、印象的なディスプレイ品質

 RayNeo Air 4 Proの設計は、市場に出ているほかの製品と大きく変わらない。いわゆる「バードバス」方式のレンズを採用し、フレーム上部にあるmicroOLEDディスプレイの映像を、プリズムのように角度の付いたレンズで目へ反射させる仕組みだ。Metaの「Ray-Ban Display」のように、レンズ上のウェーブガイドへ直接映像を屈折させる方式より低コストで高い画質を実現しやすい一方、見た目は厚みがあり、完全な透明感もない。つまり、これは日常使いの眼鏡ではなく、あくまで装着型モニターだ。ただし、度付きレンズ用のインサートは用意されており、眼鏡を使っていてコンタクトを装着しない人には必要になる。自分の眼鏡の上から重ねて使うことはできない。

 ある意味では、このRayNeoのディスプレイ品質には感心させられる。もっとも、TCLは優れたテレビを手がけてきたメーカーなので、不思議ではない。技術的にはHDR10対応であり、これはディスプレイグラスでは珍しい仕様だ。映画やYouTubeを見ていると、その違いが場面によっては分かりにくいこともあるが、色の鮮やかさと明るさには見応えがある。全体としての印象は、XREALやVITUREが提供する水準と肩を並べる。

 1080pのmicroOLEDディスプレイは60Hzと120Hzの両方で動作し、「映画」や「アイケアモード」を含む複数の色調モードに切り替えられる。公称1200ニトの明るさは発色豊かで、見た目にも鮮やかだ。ただしHDRモードにすると、明るさは目に見えて落ちる。

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足りない機能

 ただし、弱点もある。まず、音の迫力と表示まわりの追加機能が物足りない。Bang & Olufsen監修のスピーカーは、XREALのOneシリーズほど大きな音が出ず、音質もそこまで良くない。それでも、ちょっと映画を見たりゲームをしたりする程度なら十分使える。もっとも、筆者としてはイヤホンを使うことを勧めたい。

 さらに、表示位置を空間内に固定する、いわゆる「ピン留め」機能もない。XREALとVITUREの新モデル、具体的には「XREAL One」、「VITURE Luma Pro」、「VITURE Beast」ではこれが可能だ。筆者はこの機能があると、仕事で浮遊ディスプレイを使う際に、はるかに自然で実用的になると感じている。頭を動かしても、ディスプレイが部屋の同じ場所にとどまっているように感じられるからだ。だが、このAir 4 Proでは、表示は目の前に固定されたままで、顔の向きに合わせて常についてくる。画面を大きくしたり小さくしたり、仮想的な奥行きを調整したりする細かな設定もない。ただし、リフレッシュレートを120Hzに切り替えることはできる。

 自動調光にも対応していない。ほかのディスプレイグラスでは、電気的にレンズの濃さを変えるエレクトロクロミック調光によって、外光を遮ったり、周囲の光をより取り込んだりできる製品が多い。だが、このモデルはサングラスのような着脱式オーバーレイに頼っている。さらに、はめ込み式のプラスチック製シェードを付ければ完全に暗くできるが、それを使わない場合は室内の光がある程度入り込む。

 おおむね、欠点はそれくらいだ。とはいえ、この製品によって、ディスプレイグラスでHDRがどれほど有効かはよく分かる。映画「アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ」をこれとVITURE Beastの間で見比べながら視聴したところ、画面サイズが大きく、映像の鮮やかさでも勝るBeastの方が筆者の好みだった。ただし、TCLの方は暗いシーンが必要以上に明るくならず、その点では好印象だった。

 理想を言えば、筆者はすべてのディスプレイグラスにHDRを搭載してほしい。それでもなお、機能が限られるAir 4 Proを選ぶよりは、より多機能な上位モデルに追加でお金を払いたいというのが率直な結論だ。

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この記事は海外Ziff Davis発の記事を4Xが日本向けに編集したものです。

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