井上久男の産業インサイト

井上 久男

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2026.5.1(金)

スズキのインド工場(マルチ・スズキ)=2023年撮影(写真:ロイター/アフロ)

 スズキがアフリカ事業の強化に乗り出す。4月15日、2030年度にアフリカでの販売台数を現状から18%増の15万台、シェアは9%から10%に引き上げる目標を公表した。

 これには、スズキが新車販売でトップシェアを維持し、収益源でもあるインド事業の輸出強化策とも関係している。スズキは24年度にインドから33万台を輸出したが、その4割程度をアフリカ向けが占めている。

 アフリカの新車販売は16年度に123.7万台だったのが一進一退を繰り返しながら25年度は141.3万台になる見通し。過去10年は横ばい状態に近かった。

 他方、スズキのアフリカでの販売は16年度に2.3万台だったのが25年度は5.5倍の12.7万台に拡大する見込み。スズキがシェア1位の国は、コートジボワール(39%)、アンゴラ(81%)、ジブチ(15%)、セーシェル(32%)、モーリシャス(26%)と5カ国ある。

15億人市場、アフリカを攻める

 アフリカ全体の市場規模はまだ日本の3分の1程度だが、今後は経済成長が見込まれることや、全体人口が15.5億人と潜在的な消費者も多くいることから、スズキは今後の成長に期待してアフリカ市場を開拓していく方針。

 スズキは1982年にインドに進出。現在のインドは、名目GDPが世界4位だが、当時の経済規模は現在の25分の1程度だった。スズキはインド経済の将来性を見込んでコツコツと投資して現地生産を強化し、現在はインドの新車市場で約40%のシェアを持つ。同社の経営を支える屋台骨だ。

 インドにおける新車販売台数は25年に447万台と、今や中国、米国に次いで世界3位の市場だ。スズキはアフリカを、いずれ化ける「第2のインド」と位置付け、販売サービスの拡充などによって地道にかつ着実に育てていく考えだ。

 さらにアフリカの自動車市場は、インド市場との親和性も高い。道路の舗装環境が整っていない地域も多いことなどに共通性があり、インドで売れる車がアフリカでも好まれる傾向にある。

 このため、スズキはインドで生産した車をアフリカに輸出している。現在、スズキはインドで年間260万台の生産能力を持つが、30年度までに400万台に引き上げる計画。このうち300万台をインド国内で売り、残り100万台をアフリカや日本などへの輸出やトヨタへのOEM供給にあてる。

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