青森県八戸市 八戸酒造

青森県八戸市 八戸酒造

【H居酒屋にて 全6回の④】

 H居酒屋の常連客数人が集まり3年前から、2カ月に1回、飲み会を開いている。緩い空気のなか、それこそゆるゆると飲み、勝手にお酒の感想を言い合う楽しい会。今回は9種類のお酒を愉しんだが、このうち当連載でまだ取り上げていない6種類を取り上げることにする。

 「國稀」「津島屋」「千歳鶴」と飲み進め、次にいただいたのは「陸奥八仙 一華 Mixseed Series 2025」だった。八戸酒造のお酒は飲む機会が多く、当連載はこれまで31種類を取り上げている。

 「Mixseed Series」について、蔵のホームページは以下のように説明している。

 「弊社蔵人の平均年齢は30歳。 若手の蔵人達が各々コンセプトを考え挑戦するシリーズ、その名も『Mixseed(ミクシード) 』。『混ぜる・交わる』を意味する“Mix”と、『種』を意味する“Seed”を併せた造語です。これから芽を出す種のように、大きな可能性を秘めた若い蔵人たちが力を合わせ、それぞれが表現したいお酒を醸します」

 この“チャレンジタンク”に取り組んだのが、入社2年目若干20歳の女性というから驚きだ。担当杜氏の氏名とかなり大きな顔写真が裏ラベルに掲載されている。かなり大胆なレイアウト。ふつう、これほど大きく顔出しはしない。ラベルの説明によると畑内美憂(はたうち・みゆ)さんという女性が醸した。

 地元の新聞・東奥日報が、2025年09月27日付で以下のように報道している。一部転載した。

 「畑内さんはテレビで見た杜氏(とうじ)に憧れ、小学生の頃から日本酒造りが夢だった。八戸工業大学第一高校を卒業後に入社し、2年目で初めて『家族と一緒に飲みたい日本酒』をテーマに挑戦した。
 26日に人生で一度きりの二十歳の誕生日を迎えたことと、使用した酒米『華想い』の名称を合わせ、商品名を『一華』とした。日本酒を飲み慣れない人にも飲みやすいよう、アルコール度数を7度に抑えた。畑内さんは『マスカットのような香りで、甘酸っぱくフルーティーに仕上げた。若い人にも気軽に手に取ってもらいたい』とPRした」

 瓶の裏ラベルには、本人のコメントが以下のように掲載されている。

 「今年20歳になるので、家族と一緒に呑みたい日本酒をテーマに作りました。甘酸っぱくフルーティーで、日本酒をあまり飲まない方にも気軽に手に取って貰えるようにラベルもポップにデザインしました」

 かわいいニャンコのラベル絵も本人作とは驚きだ。一芸に秀でた人は何でも水準以上にできるんだろうな。さて、いただいてみる。

 Oさんの奥さま「すごい! 20歳の女性杜氏が造ったお酒ですって!!!」
 酒蛙「ブドウやライチをおもわせるような香りが広がる」
 Tさん「酸っぱい!!!」
 Oさんの奥さま「女子が好きそうなお酒!!!」
 Oさん「甘酸っぱいね」
 酒蛙「そうそう。甘酸っぱい白ワインだ。穏やか、やわらかな口当たり」
 Mさん「飲みやすい。日本酒じゃないみたい」
 酒蛙「そうそう。まるで白ワインのような香味。ものすごく穏やかでやさしいお酒だ」
 酒蛙「もしかして、アルコール分が低いかも。まろやかな味わいが良い」
 Tさん「(ラベルを見て)アルコール分は7度しかない!!!」
 酒蛙「やっぱり。飲み口がやさしいなあ。酸が良く出ているし、軽快なので飲み飽きしない」
 Oさん「しっかり酸があるので、甘いけど飲める」
 酒蛙「これはいいよ。2年目の20歳女性が醸したとはおもえないお酒だ。これは売れるとおもう」
 酒蛙「一生懸命に造ったんだろうが、遊び心いっぱいのポップなお酒だ」
 酒蛙「このお酒をカテゴリー分けすれば、モダンタイプの、ライトボディー酒。あるいは薫酒と醇酒が一緒になったようなタイプ」

 裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、精米歩合 麹米50% 掛米55%、アルコール分7度、製造年月2025年9月」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念だ。

 しかし、蔵のホームページは「日本酒度-42、麹米・掛米 華想い50%・華想い55%」と開示している。

 使用米の「華想い」は、青森県農林総合研究センターが、「山田錦」に匹敵する酒米をつくろう、と1987年、母「山田錦」と父「華吹雪」を交配。選抜と育成を繰り返して品種を固定。2006年に品種登録された酒造好適米。

 酒名「陸奥八仙」の由来について、蔵のホームページは以下のように説明している。「中国の故事、酔八仙(八人のお酒の仙人の物語)では、酒仙たちの様々な逸話や興味深い酒の楽しみ方が語られています。飲む方が酒仙の境地で酒を楽しんで頂きたいとの思いを込めて『陸奥八仙』と名付けました」