国宝・彦根城(滋賀県彦根市)の国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の世界遺産登録を後押ししようと、彦根総合高の3年生が彦根城の約350分の1のジオラマを制作した。出来栄えに舌を巻いた市職員が「多くの人に見てもらいませんか」と提案し、19日から市役所1階ロビーで公開している。生徒たちは「ジオラマで城の魅力を感じてもらえれば」と話している。(清家俊生)

 彦根城を巡っては、日本が世界遺産条約を締結した1992年に国内候補の「暫定リスト」に入った。これまでに文化審議会で4回審議されたが、国内推薦には至っていない。

 ジオラマを制作したのは総合学科の3年生14人。2年生だった2024年4月から、彦根城の世界遺産登録をテーマに城郭建築の特徴や城下町の歴史を学んできた。授業では、市彦根城世界遺産登録推進室の職員を講師に招き、一緒に城内を散策したり、世界遺産を目指す県や市の取り組みなども聞いたりした。

 生徒たちは安土城跡(東近江、近江八幡両市)や名古屋城(名古屋市)などにも足を運び、城郭のあり方や保存方法なども学んだ。その中で、「地元の高校として、何か世界遺産登録を後押しすることができないか」と生徒たちで協議。ジオラマ制作を決めた。

制作した彦根城(滋賀県彦根市で)制作した彦根城(滋賀県彦根市で)

 制作にあたっては、できるだけ忠実に再現しようと、約400年前につくられ、江戸時代の彦根城下の様子を最も詳細に伝える「彦根御城下
惣(そう)
絵図」などの史料を参考にした。

 誰もジオラマの制作経験はなかったが、昨年10月から制作を開始。ホームセンターで購入した発泡スチロールを何層にも貼り付け、カッターや彫刻刀を使って、本丸や石垣などの形に削った。その後、ペンキや折り紙で着色し、約350分の1の大きさとなる縦約3メートル、横約2メートル、高さ約40センチで再現した。

 昨年12月中旬に完成すると、報告を兼ねて、授業で講師を務めた小林隆・同推進室室長らにジオラマを見せた。小林室長は「想像以上の立派な出来で驚いた。すぐに一般向けに展示できないかとお願いした」と話す。

 展示初日の19日、市役所でお披露目式があり、制作した生徒4人らが出席した。生徒代表(17)が「彦根城は城のつくりや歴史を調べれば調べるほど、貴重な城と分かった。この価値を多くの人に伝えたいと思った。世界遺産登録は簡単ではないが、地元民がジオラマを通じて、魅力を感じ、誇りを持つきっかけになれば」とあいさつした。

 田島一成市長は「今年は登録に向けて正念場。応援になり、とてもうれしい」とお礼を述べた。

滋賀県滋賀県

 展示は27日まで(平日のみ)。問い合わせは同推進室(0749・26・5833)。

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