犯人が「現金化できず」返還か

韓国・光州地方検察庁が紛失していたビットコインBTCBTC320.88枚が17日夜、検察が管理するウォレットへ返還されたことが19日、明らかになった。韓国メディア「デジタルアセット」が報じた。検察は犯人を逮捕して資産を回収したわけではなく、犯人側が自主的に返還したと推定している。

犯人が「現金化できず」返還か

光州地検によると、紛失していたビットコイン320.88枚は17日夜、検察が秘密鍵を管理していた元のウォレットに突如移送された。検察はこれを確認後、直ちに韓国取引所アップビット推定ウォレットへ移送し、安全を確保した。

今回の返還は検察による犯人逮捕の結果ではなく、検察の措置が功を奏した形だ。検察は国内取引所に対し、盗難ビットコインが移送された場合の凍結を要請し、海外取引所にも協力公文を送付するなど多方面での対応を実施していた。こうした措置により現金化手段が遮断されたため、犯人が返還を選択したと検察は分析している。

また、検察はフィッシングサイト運営者やドメイン登録関連業者への捜査など全方位的な追跡を進めており、これらの圧力も犯人側を追い込む効果があったとみられる。検察は「ビットコイン回収とは無関係に、今後も犯人検挙に最善を尽くす」とし、「事件の全貌を明らかにするため厳正な捜査を継続する」と述べた。

江南警察署でも22BTC流出、管理体制に懸念

韓国では今回の光州地検の事案に加え、ソウル江南警察署でも捜査過程で任意提出を受けて保管していた22BTC(約2.3億円相当)が外部に流出していたことが13日、東亜日報の報道で明らかになった。

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江南警察の流出ビットコインは2021年11月頃、捜査中の案件に関連して提出された資産で、その後捜査が中止された状態にあり、流出が長期間把握されていなかったとされる。特筆すべき点は、資産を管理していたコールドウォレット自体は紛失しておらず、内部に保管されていたビットコインのみが流出していた点だ。京畿北部警察庁は、流出経路や内部関与の有無について内査(予備調査)に着手した。

光州地検の事案でも、コールドウォレットは無事のまま内部資産のみが外部流出していた。公共機関で同種の紛失事案が続いている点について、捜査機関の暗号資産管理体制に対する懸念が広がっている。

管理体制の整備が急務

暗号資産の押収や任意提出は、近年の捜査において不可避の要素となりつつある。一方で、管理・保管・監査体制の整備が追いついていない場合、今回のようなリスクが繰り返される可能性は否定できない。韓国国内では今後、制度的枠組みの整備に注目が集まりそうだ。

検察は今回の返還により資産は回収したものの、犯人の特定には至っておらず、捜査と内部監査を並行して進めている。フィッシング詐欺の手口や内部関与の有無など、事件の全容解明が待たれる。

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