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2026年2月10日、奈良市はZVC JAPANと音声コミュニケーションおよびAI活用事業に関する協定を締結すると発表した。クラウドPBX(※)とAIを組み合わせた新コールセンターを3月16日から稼働させ、電話業務のDX(※)を本格化する。国内自治体で初の統合導入事例となる。

目次

奈良市、Zoom基盤で電話全面刷新

奈良市は本庁舎とコールセンターの電話基盤に、Zoomの「Zoom Phone」を採用し、AI活用型コールセンターへ移行する。年間約14万件の問い合わせのうち、約7割が職員へ転送されている現状を踏まえ、電話交換機のデジタル化と自動応答の導入を決定した。

2026年3月16日からクラウドPBXを全面稼働させ、通話の自動文字起こしや要約機能を実装する。応対履歴の入力時間を削減し、庁内での情報共有を迅速化する狙いである。契約期間は3年間とされ、本庁舎内では2月20日から内線の試験運用を開始する。

さらに2026年秋以降には「Zoom Virtual Agent」による自動応答を開始予定だ。AIがFAQに基づき一次対応を担い、不要な転送を抑制する体制を整える。自治体が「Zoom Phone」「Zoom Contact Center」「Zoom Virtual Agent」を統合導入するのは日本初であり、電話という行政の基幹チャネルをクラウド上に再設計する試みとなる。

※クラウドPBX:庁内に設置していた電話交換機の機能をクラウド上で提供する仕組み。インターネット経由で通話管理を行い、場所に依存しない運用を可能にする。

※DX:デジタルトランスフォーメーションの略。データとデジタル技術を活用し、業務やサービスの在り方を変革する取り組み。

業務最適化の加速と残る課題

今回の取り組みは、市民サービスと職員の働き方の双方に変化をもたらすだろう。標準的な問い合わせにAIが即応すれば待ち時間は短縮され、通話データの蓄積によってFAQは高度化する。多言語対応の拡充も進めば、外国籍住民への利便性向上にも直結すると考えられる。

職員側では、一次対応をAIが担うことで専門性の高い相談業務へ集中できる環境が整う。テレワークや出張先から同一番号で応対できる仕組みは、業務継続性の向上にも寄与するだろう。

奈良市の挑戦が成功すれば、自治体DXの新たな標準モデルとなる可能性がある。

プレスリリース

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