オーストラリア国立大学(ANU)は1月14日、ANUが主導する国際研究チームがまとめた「2025年版グローバル・ウォーター・モニター報告書」において、地球規模の水循環の不安定化が2025年に洪水や干ばつ、猛暑などの水関連災害を増幅させ、世界各地で深刻な被害をもたらしたことを明らかにした。

(出典:ANU)

同報告書は、継続的な地球温暖化によって、水が大気、陸地、海洋の間を移動・貯蔵・交換する仕組みが変化し、社会や生態系に重大な影響が生じていると指摘している。2025年には、水関連災害によって世界全体で約5000人が死亡し、約800万人が避難を余儀なくされ、経済損失は3600億米ドルを超えた。

被害は洪水、熱帯低気圧、干ばつ、山火事によって発生し、これらが水、食料、エネルギーの各システムを通じて相互に影響し合い、連鎖的に拡大した。報告書では、短期間に湿潤と乾燥の極端な状態が繰り返される現象についても触れられており、水資源や生態系、インフラに大きな負荷を与えたとしている。

こうした傾向はスペインやポルトガルでも確認され、雨の多い春による植物の成長の後、突然の熱波と突発的な干ばつが発生し、土壌や可燃物が急速に乾燥したことで深刻な山火事につながった。また、報告書は、大気中の水分量、土壌や地下水の状態、河川流量、地表水面積の変化が、2025年に発生した被害の大きい災害と密接に関連していたと分析している。

2025年の陸上気温は、記録的な高温となった2024年に次ぐ水準で、過去3年間はいずれも観測史上最も暑い年となった。欧州では長期化した夏の熱波により多数の熱関連死が報告され、高温で乾燥した条件が山火事の発生に寄与した。さらに、ヒマラヤ地域では温暖な気候の影響を受けて氷河湖の決壊が発生し、インドネシアの赤道付近では大型の熱帯低気圧が観測された。

洪水についても、世界的に河川流量や地表水面積が長期平均を上回り、南アジアや東南アジアではモンスーン降雨や熱帯低気圧に伴う大規模洪水が発生した。一方、アフリカの角に位置するソマリアなどでは、短期間で土壌水分や陸地貯水量が急減する突発干ばつが確認された。ANUフェナー環境社会学部のアルバート・ファン・ダイク(Albert van Dijk)教授は、「災害の影響は、社会がそれにどれだけ適切に備えているかによって左右されます」と述べている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部