インド科学技術省(MoST)は1月14日、インド科学技術庁(DST)傘下のインド宇宙物理学研究所(IIA)の研究者らが、星が誕生する分子雲において、磁場が恒星形成の成否を左右する重要な要因である可能性を示したと発表した。研究成果は学術誌Monthly Notices of the Royal Astronomical Societyに掲載された。

星が誕生する場である分子雲は温度が40K以下と低く、比較的高密度なガスと塵からなり、重力、磁場、乱流の相互作用によって星形成が進む。星が生まれる過程を理解するには、分子雲全体から崩壊中の高密度コアに至るまでのガスとダストのダイナミクスを研究する必要がある。

図:L328における磁場分布:
(a) 連続波画像上の非常に大規模な磁場ベクトル
(b) 雲スケール上の磁場ベクトル
(c) エンベロープスケールの磁場ベクトル(異なる近赤外バンドを異なる色で表示)
(d) 中心コアの磁場ベクトル
(出典:PIB)

本研究では、IIAの研究チームが、地球から約700光年離れたL328分子雲を対象に、偏光観測を用いて磁場構造を解析した。とくに、超低光度天体(VeLLO)を含むS2サブコアに注目し、星形成前に存在していたと考えられる原始的な磁場の性質を調べた。

研究チームは、ハワイのジェームズ・クラーク・マクスウェル望遠鏡に搭載されたPOL-2装置による850マイクロメートル帯の偏光データを解析し、分子雲規模からコア規模に至る磁場の向きと強さをマッピングした。その結果、磁場は北東―南西方向に整然と配向し、コアスケールが小さくなるにつれて強度が増すことが分かった。

さらに、L328コアにおける重力、磁場、乱流、熱の各エネルギーを比較したところ、重力、磁場、乱流の3者は同程度で、熱エネルギーより約10倍大きいことが明らかになった。このことから、磁場と乱流が重力に抵抗し、コアが恒星へと崩壊する過程を制御している可能性が示唆された。

また、化学的に進化した星なしコアと、VeLLOを含む化学的にあまり進化していないコアを比較した分析から、磁気圧力と重力の釣り合いを示す磁気臨界状態が、星が形成されるかどうかを決定する重要な指標となり得ることが示された。磁気的支持が重力より強い亜臨界状態では、星形成が抑制される可能性がある。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部