滋賀県が滋賀食材の認知度向上および販路拡大を目的に実施している「令和7年度世界農業遺産まるごと首都圏PR事業」。その取り組みのひとつとして開催されたのが、‟滋賀の食材 首都圏メニューフェア2025(SHIGA FINE FOOD )“だ。


フェア開催に先立ち、シェフたちに滋賀食材の魅力を伝えるとともに、生産者との交流を深めることを目的とした産地ツアーが開催された。ツアーでは、近江牛をはじめ、有機JAS認証の野菜生産者や原木椎茸の栽培地、湖魚を扱う水産会社、朝宮茶の茶畑、日本酒の酒蔵など、多岐にわたるジャンルの生産地や事業者を訪問した
フェア開催に先立ち、シェフたちに滋賀食材の魅力を伝えるとともに、生産者との交流を深めることを目的とした産地ツアーが開催された。ツアーでは、近江牛をはじめ、有機JAS認証の野菜生産者や原木椎茸の栽培地、湖魚を扱う水産会社、朝宮茶の茶畑、日本酒の酒蔵など、多岐にわたるジャンルの生産地や事業者を訪問した

 本フェアには、若手料理人コンペティションの上位入賞者や話題の人気店シェフなど、首都圏で活躍する実力派の料理人,ホテル料理人等19名が参加。フェア開催前には、近江牛や近江の野菜、湖魚、日本酒といった滋賀県内の産地を実際に訪問する産地ツアーを実施し、生産者との交流を通じて滋賀食材の魅力や背景への理解を深める取り組みも行なわれた。シェフたちは現地を訪れ、自らの目と舌で確かめた滋賀の風土や食材の魅力を、それぞれの感性で咀嚼し、各店のメニューとして表現した。


日本一大きい湖である琵琶湖を中心に、山・里・湖がつながる滋賀県では、古から資源管理を意識しながら受け継がれてきた伝統的な漁業や、環境に配慮した農業が長く営まれてきた。こうした風土の中で育まれた、琵琶湖と共生する農林水産業の仕組みは‟琵琶湖システム“と呼ばれ、世界農業遺産にも認定されている(写真提供:江六前一郎氏)
日本一大きい湖である琵琶湖を中心に、山・里・湖がつながる滋賀県では、古から資源管理を意識しながら受け継がれてきた伝統的な漁業や、環境に配慮した農業が長く営まれてきた。こうした風土の中で育まれた、琵琶湖と共生する農林水産業の仕組みは‟琵琶湖システム“と呼ばれ、世界農業遺産にも認定されている(写真提供:江六前一郎氏)

 そこで今回の‟滋賀の食材 首都圏メニューフェア2025“のプロデューサー、石川史子氏に話を聞いた。石川氏は、滋賀県「令和7年度 世界農業遺産まるごと首都圏PR事業」において、企画立案から実施運営までを担っている。そんな石川氏が考える滋賀食材の魅力とは何か。さらに、今回コラボメニューを実装するにあたり、どのような理由で参画シェフたちに依頼したのかについて伺うと、

「滋賀の食材というと、近江牛や鮒寿司に代表される鮒文化がよく知られていますが、それだけではない点を、今回のフェアを通じてより広く知っていただきたいと考えています。滋賀県の食材は、日本一大きな琵琶湖を中心に山・里・湖がつながる“琵琶湖システム”の中で育まれ、『環境こだわり農業』で栽培された米や野菜、ニゴロブナを代表とする‟琵琶湖八珍“に加え、鰻など多岐に渡る湖魚、そして近江牛や近江鴨など、非常に幅広いジャンルが揃っています。いずれも土地の環境や人の営みが味わいに表れている点が特徴です。

 こうした点は、私自身、この事業を請け負う中で、滋賀の食材やその背景に改めて多くの魅力を感じた部分でもあります。そこで、料理人の表現を受け止める奥行きや、ポテンシャルの高さも感じたことから、今回のフェアを企画しました。ご一緒するシェフの皆さまには、滋賀の食材や生産背景に共感してくださるかたがたにお願いし、産地ツアーなども実施した上で、それぞれの料理として表現していただいています。また、若手料理人の選定については、Food HEROesの江六前一郎さんにお願いし、産地ツアーやイベント運営、プロモーション活動にもご協力をいただきました。

 今回の取り組みをきっかけに、滋賀県の食材を継続して使ってくださる首都圏のホテルやレストランが増え、都会と産地が交流しながら、農業が持続可能な形で続いていくことを願っています。」

と返ってきた。

 

 滋賀県では今後も滋賀食材の訴求に力を入れていくといい、直近では‟ホテル&レストランショー2026“に近江米振興協会が出展し、近江米の新品種「きらみずき」の魅力を試食と共に提案する予定だ。

 

 滋賀県が取り組む本フェアは、地域の風土や生産背景を料理という表現を通じて都市部へと届ける好例といえる。このように、各地に眠る食の価値を可視化し、持続的な関係へとつなげていく取り組みがさらに広がることを期待したい。弊誌としても、今後もそうした動きを継続して伝えていく。

 

「滋賀の食材 首都圏メニューフェア2025」

https://www.pref.shiga.lg.jp/kensei/koho/e-shinbun/event/348031.html

メトロポリタン丸の内「Dining & Bar TENQOO」で提供される、‟滋賀県産近江鴨のロティ 特別栽培米きらみずき玄米の炊き込みと共に“。ローズ色が美しい胸肉と滋味深いモモ肉、二種の味わいのコントラストを、きらみずきの玄米リゾットとともに楽しめる一品だ。なお、同店の朝食ビュッフェでは、同米の白米も提供されている
メトロポリタン丸の内「Dining & Bar TENQOO」で提供される、‟滋賀県産近江鴨のロティ 特別栽培米きらみずき玄米の炊き込みと共に“。ローズ色が美しい胸肉と滋味深いモモ肉、二種の味わいのコントラストを、きらみずきの玄米リゾットとともに楽しめる一品だ。なお、同店の朝食ビュッフェでは、同米の白米も提供されている

滋賀県出身の北村啓太シェフが率いる「apothéose」では、天然琵琶湖大鰻、みなくちファームのバターナッツ、萩の露‟雨垂れ石を穿つ“貴醸酒を用いた‟琵琶湖大鰻と穴子の生ハム包みフリット みなくちファームのバターナッツピュレ 萩の露 貴醸酒ソース“を提供。フランス時代から大切にしてきた食材や技法に滋賀県産食材を重ね、そのエスプリを受け継いだ一皿に仕上げという
滋賀県出身の北村啓太シェフが率いる「apothéose」では、天然琵琶湖大鰻、みなくちファームのバターナッツ、萩の露‟雨垂れ石を穿つ“貴醸酒を用いた‟琵琶湖大鰻と穴子の生ハム包みフリット みなくちファームのバターナッツピュレ 萩の露 貴醸酒ソース“を提供。フランス時代から大切にしてきた食材や技法に滋賀県産食材を重ね、そのエスプリを受け継いだ一皿に仕上げという

「No Code」の久松暉典シェフは、近江鴨、菊芋、あやめ雪かぶ、人参を用い、‟メキシカンフレンチ“で表現。画像はトルティーヤとブイヤベースの香りに菊芋の土感の香りを合わせて上品さを加味した‟エンチラーダ風ブイヤベースリゾット”
「No Code」の久松暉典シェフは、近江鴨、菊芋、あやめ雪かぶ、人参を用い、‟メキシカンフレンチ“で表現。画像はトルティーヤとブイヤベースの香りに菊芋の土感の香りを合わせて上品さを加味した‟エンチラーダ風ブイヤベースリゾット”

「RYOZAN PARK GRAND」では、フードヒーローズのメンバーであり人気インスタグラマーでもある為房拓真氏が監修したメニューを提供した。上質で脂の乗った白身が特徴の琵琶湖産ブラックバスを用いた‟琵琶湖産ブラックバスバーガー“をはじめ、ホンモロコのフライなどを通して湖魚の魅力を訴求。かたぎ古香園のほうじ茶コーラや和紅茶とのマリアージュ提案も行なわれた
「RYOZAN PARK GRAND」では、フードヒーローズのメンバーであり人気インスタグラマーでもある為房拓真氏が監修したメニューを提供した。上質で脂の乗った白身が特徴の琵琶湖産ブラックバスを用いた‟琵琶湖産ブラックバスバーガー“をはじめ、ホンモロコのフライなどを通して湖魚の魅力を訴求。かたぎ古香園のほうじ茶コーラや和紅茶とのマリアージュ提案も行なわれた

イノベーティブフレンチ「枯朽」の清原洸希シェフは、「みなくちファーム」の野菜にフォーカスした2品を提供。一品目は‟葛切りを巻いた蒸菊芋“。菊芋の上品な甘さと水分量を活かし、お茶請けのような一品に仕立てた。アクセントには、ネパール山椒のティムルを合わせている
イノベーティブフレンチ「枯朽」の清原洸希シェフは、「みなくちファーム」の野菜にフォーカスした2品を提供。一品目は‟葛切りを巻いた蒸菊芋“。菊芋の上品な甘さと水分量を活かし、お茶請けのような一品に仕立てた。アクセントには、ネパール山椒のティムルを合わせている

二品目は‟原木椎茸のフラン“。椎茸の軸から取った出汁をベースに仕立てた茶碗蒸しに、大根の葉とナスタチウムで作るソースを流し、竹の葉に包んで炭火焼きにした椎茸を盛り付けている。焼成の途中で竹の葉を開き、蕎麦焼酎を霧吹きで吹きかけながらじっくり火を入れることで香ばしさを引き出し、椎茸の濃厚な味わいが際立つ一品に仕上げてある
二品目は‟原木椎茸のフラン“。椎茸の軸から取った出汁をベースに仕立てた茶碗蒸しに、大根の葉とナスタチウムで作るソースを流し、竹の葉に包んで炭火焼きにした椎茸を盛り付けている。焼成の途中で竹の葉を開き、蕎麦焼酎を霧吹きで吹きかけながらじっくり火を入れることで香ばしさを引き出し、椎茸の濃厚な味わいが際立つ一品に仕上げてある

親鴨飼育から精肉まで、近江鴨を自社一貫生産で行う㈱グッドワン。古より琵琶湖、とりわけ長浜市周辺では、伝統漁法の網にかかる真鴨を捕らえ、食してきた独自の食文化がある。その文化を、豊かな自然と琵琶湖と共生しながら継承するのが同社の‟近江鴨“である。ジビエとしての鴨本来の旨みを備えつつ、雑味のない清らかな味わいに定評がある
親鴨飼育から精肉まで、近江鴨を自社一貫生産で行う㈱グッドワン。古より琵琶湖、とりわけ長浜市周辺では、伝統漁法の網にかかる真鴨を捕らえ、食してきた独自の食文化がある。その文化を、豊かな自然と琵琶湖と共生しながら継承するのが同社の‟近江鴨“である。ジビエとしての鴨本来の旨みを備えつつ、雑味のない清らかな味わいに定評がある

琵琶湖の環境保全と食味の両立をコンセプトに開発された近江米‟きらみずき“。大粒でしっかりとした食感を持ちながら、噛むほどにもちもちとした瑞々しい甘さが広がる。化学肥料や農薬の使用を抑えた厳格な基準で栽培され、近年の気候変動に対応する高温登熟性にも優れる。食味評価ではコシヒカリ同等以上とされている
琵琶湖の環境保全と食味の両立をコンセプトに開発された近江米‟きらみずき“。大粒でしっかりとした食感を持ちながら、噛むほどにもちもちとした瑞々しい甘さが広がる。化学肥料や農薬の使用を抑えた厳格な基準で栽培され、近年の気候変動に対応する高温登熟性にも優れる。食味評価ではコシヒカリ同等以上とされている

取材・執筆 毛利愼 ✉mohri@ohtapub.co.jp